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俺、女神に憑かれてます  作者: 塚田恒彦
六章 闇討ち編
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第四十七話 説明

 俺は倒れていた男を引きずりながら、階段を降りる。

 下ではムーランが冒険者達に武器を向けられ、両手を上げていた。



「エリクさーん、誤解を解いてくださーい!」

「ありゃ、ムーランはここで置いていくしかないようだねエリク」

「冗談に聞こえないからやめてやれノア」



 俺は冒険者達に事の顛末を説明した。加えてムーランに地面を元の形に戻すよう指示を出し、敵対的では無いことを証明する。それでも魔術の規模からして、要警戒対象であることは変わらなかったらしく、ソイリオさんを呼んでもらうことにした。

 最終決定を下す偉い人が知り合いだと、活動が楽だな。

 しばらくすると病院の方向から、小走りでソイリオさんがやってきた。



「およその報告は聞きました。この片腕の男が犯人なのですね?」

「はい、なんらかの呪具の能力によってエナジードレインを行っていたようです。

 ですがその影響で精神が安定しておらず、事件期間の記憶が無い恐れがあります。裁定の際は検討を」

「報告にあった、土の柱というのは」

「彼の魔法です。家には傷を付けず、路地裏の生活品は元の位置に戻しました。犯人確保以外には使用しておりません」



 俺は指を軽く揃えて、手のひらでムーランの方を指す。

 ムーランは『あ、どうも』という感じで周囲に会釈をしている。



「何が起きたかは分かりました。さらに詳細を知りたいので今から組合までご同行願えますか?」

「えぇ。こちらも協力は惜しみません」

「では冒険者の皆さん一度持ち場へ戻りましょうか、後程各担当ごとに指示をだします」



 ソイリオさんの指示で冒険者達が、再び路地へ分かれていった

 全員の姿が見えなくなったころに、俺は口を開いた。



「ソイリオさんありがとうございます。では僕たちはこれで」

「待ってくださいエリクさん。同行してくださいというのは適当なでまかせではないですよ。この片腕の男が犯人だとは決まってませんし、まだ両手を挙げて喜ぶわけにはいきません」

「冒険者達を再配置したのもそのためですか。

 今夜事件が起きなければ、確保した男が犯人だったと信用していただけるのですね」

「これまでの事件発生頻度からして、そうなりますね。エリクさんは信用していますが、今回の事件はそう適当に終わらせられるものではありませんので」



 ムーランの魔術が大規模なものなので、その辺りの質疑応答は覚悟していたが中々に面倒なことになってきた。ソイリオさんも立場上、組合全体が関係している事件は適切に対応する必要があるのだろう。見逃してくれるかな、というのは見通しが甘かった。


「エリク、もしかして渇きの右腕より書類やら証言とかの方が面倒なんじゃない?」

「そうなりそうだな……これ夕飯食べれないんじゃないか?」

「一応冷えても食べれそうなものだけどね。一晩置いておくのはちょっと」



 早めに聴取が終わるよう祈るしかなさそうだ。奴と会話出来たわけでもないし、そこまで長時間聞かれることは無いかもしれない。

 最終的には俺達が嘘を吐いてないと分かって、何かしら報酬が出たりするだろうか。とりあえず今はそれを楽しみにして、ソイリオさんに色々話すとしよう。

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