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俺、女神に憑かれてます  作者: 塚田恒彦
六章 闇討ち編
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第四十四話 仮定

「エリク、エリクを襲った奴をさっさと捕まえるわよ」

「そりゃあな。何か作戦はあるか?」

「いえ? しらみつぶしにこの周辺を探るだけよ」

「まぁそうなるか」

「というかお二人はそいつを追う方針なんですか?」



 話を聞いていたムーランが、近くの路地を覗きながら質問を投げてきた。

 俺を襲った敵だからと、ノアは探そうとしているのだろうが、ムーランからすれば、放っておかないのですかという疑問があってもおかしくないだろう。

 さっき冒険者の方から聞いた話を共有しておかないとな。



「俺は追うべきだと思っている。師匠と同様に、昏睡状態に陥っている人々が今多数いて、皆が倒れている原因は恐らくあいつだ。

 しかし誰も現場を見ていないので証拠はない。まず俺はそれを確かめるために、アイツを追う。あんな異様な存在が複数居るとは思えないから、断定で良いと思うがな」

「そうなのですね。目的がはっきりしました」

「なるほどね。生け捕りに出来るか、ちょっと分からなくなっちゃったわ。手加減出来るかしら」

「奴と会話できるかは分からないが、なるべく生け捕りだぞノア。

 それとおそらく暗闇から攻撃してくるが、殺気が漏れていたから近くに居れば攻撃される前に分かるはずだ」



 俺達は俺とムーランの二人と、ノア一人で別れて捜索を始めた。

 今回の事件の特徴として、目撃者がいない。つまり一人で居るときにしか襲われないのではないか、と推測を立てている。ムーランは俺のすぐ後ろに付いてきているが、土中を移動しているため、俺が一人で居るように見えるはずだ。

 三人バラバラに動こうと提案したが、ノアは護衛なしで俺を歩かせたくないらしく、この形に落ち着いた。



「エリクさん。敵の目的は分かりますか?」

「いや、分かってない。昏睡状態にするのは、目的達成のための手段のはずと読んでいるからな。

 奴が獣なら昏睡させた時点で、被害者を食うなりするだろうし。奴が人間なら金品を盗むなり殺すなりするだろうが、今回はそれらの報告がないからな」

「昏睡状態にしただけでは、得るものがありませんからね。でもどうでしょう、昏睡状態になるのが奪った結果だとしたら」

「外傷もなければ、盗品もないんだぞ?」

「皆さん元気を奪われているんですよ」

「そりゃあ、昏睡状態になるからには、脳に衝撃を与えたり強力な魔法を掛けられているだろうからな。体調に影響はあるだろう」

「その部分の認識がちょっと違うんじゃないか、と思いまして」

「それってどういう……いやまて」



 しばし考えこんだが、ムーランが言いたい事が理解できてきた。

 例えば砂時計が割れていたとする。ガラスが割れ、中身の砂がこぼれている。

 俺の認識では、砂時計を割られた事件だと思っていたが、そうではなかった。

 犯人の目的がガラスを割ることではなく、中身の砂を奪う事だったとしたら



「なぁムーラン、犯人は被害者を昏睡状態にしようとした訳じゃないのか?」

「そうですね。今回の事件の目的はエナジードレイン。

 被害者の生命力を奪い、結果としてもたらされるのが昏睡状態だと予想します」

「神話じみてきたねぇ」



 俺は少し早足になっていた。

 昏睡状態にする魔法なら死者が出ることはないと思っていたが、エナジードレインなんていう能力なら話は変わってくる。

 それこそ老人や子供が狙われれば、死者が出る可能性を否定できなくなってきた。

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