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俺、女神に憑かれてます  作者: 塚田恒彦
四章 時空編
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第二十六話 知人

「ここか……」



 朝起きて軽い朝食を済ませた俺とノアは図書館に来ていた。

 知識の宝庫であり、貴重なものが多くある場所だが、来るもの拒まずの方針である。

 識字率の高いこの帝都では、民衆のほとんどに親しみのある場所となっている。

 俺も過去に師匠から文字を学んでいるので、時間をかければ大体は読める

 目的は神話に関する本を読み、ノアの過去を探ることだ。

 宗教的な内容の本も、記録としての本もあるといいのだが。



「うーん。これでもないね」



 二人でうろうろしながら本を探す。

 ノアは完璧に文字を理解しているらしく、二人で効率よく本を確認していった。

 10分ほど探していると『ジルグラッド神話:神々の世界を拓く』という書籍を見つけた。



「これっぽいな」

「どんな感じ?」

「えーと何々……」



 俺とノアは図書館の端の、人気が無い場所を見つけて読み始めた。



「『ジルグラッド神話は『新神話書』に記されている40000年前の天地創造の神話である』天地創造は神があーだこーだの歴史書なんて確実に創作……と思ったけどノアが本当に居るんだから創作では無いのか」

「創作じゃなくて私が居るっていう事実も入ってるんだし、四楔の誰かが書いたんだろうね」

「『ジルグラッド四楔は、時間と空間の神・リエイ、生命と破壊の神・ノア、四元素の神・エレ、創造の神・シロからなる。世界を創造し今なお均衡を保っている』リエイとエレとシロか。今も均衡を守ってると書いてあるし、ノアが封印されたことには触れてないな。ノアは何か思い出した?」

「何にも引っかからない。ごめんね」

「大丈夫大丈夫、時間はたっぷりある。えーと」

「何を探してるのかな?」



 二人で本に目を落としていると、いつの間にか目の前に来ていた金髪ショートのお姉さんに話しかけられた。

 俺とノアはずっと座っていたし、何かを探そうとして困ってる雰囲気は出してなかったはずだがどうして話しかけて来たんだろう。



「えっと、それはどういう」

「困ってないかな~って」

「自分たちで探せるので大丈夫です。リエイさんはどうしてここへ?」



 リエイさんに問うとノアが不思議そうな顔をして俺に疑問をぶつけてきた



「あれ? エリク知ってる人?」

「えっ? リエイさんとはノアも昨日……あれ?」



 俺は強烈な気持ち悪さによって、自身の顔から血の気が引いていくのを感じた。

 なんでだ?まず俺はリエイさんとは昨日冒険者組合で会ったじゃないか。

 会った?会ったよな。

 あの応接室で組合長の横に座って自己紹介してたよな。『リエイです、エリク君を見に来ました』って言ってたよな。

 ノアが新しい衣装に着替えたときも、と師匠とじーさんとリエイさんで褒めたじゃないか。

 その時にノアも会ってるじゃないか。

 けれど違和感が拭えない。

 まるで後からリエイさんが記憶に差し込まれているようだ。

 あの場に居たのは俺と師匠とノアとじーさんとリエイさん、それは間違いない。

 覚えてる。

 でも前後が分からない。

 思い出せない。

 何故この人がノアの新衣装お披露目の場に来た?その前後が全く分からない。

 褒めた後じーさんは帰って行った場面は記憶しているが、リエイさんはノアを褒めた場面以降見てもいなければ会話もしていない。



「一場面づつしかいない……」

「おおっ、エリク君よく気付いたねその違和感に。ノアの近くに居たら神経が研ぎ澄まされるのかしら」

「リエイさん? え、あれ?」



 気持ち悪い。知り合いのように受け入れようとしていたことへの違和感が強烈だ。頭が揺れる



「エリクに何をした!」



 ノアが立ち上がり俺とリエイという存在の間に割って入った。

 そのままノアは俺ですら体が震えてしまうような殺気をリエイに向ける。

 師匠が言っていたものよりはるかに凶悪な殺気。

 人気のないところで良かった、などと考えているのは俺が混乱している証拠だろうか

 しかしリエイは全く動揺せず笑顔のまま言った。



「エリク君始めまして、ノア久しぶり」



 あれ?誰だ、この人

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