第二十四話 金額
俺と師匠は報奨金の受け取りを終えて帰路についていた。
盗賊団に関しては組合からの謝礼金として、盗品については奪還の依頼が出ていたのでそれの達成報酬として俺に金銭が支払われた
「馬と馬車をセットで買えるぐらい金貰っちゃったんだけど……」
その日暮らしの生活を送っていた俺には違和感のある所持金だった。さてどう使ったものか
「まぁそれでも報酬は結構少ないぐらいなんだよ」
「そうなの?」
「あぁ、エリクは冒険者組合員ではないからね。その場合は依頼を仲介している組合が5割ほど報酬をもらってっちまう。ま、組合は規模を拡大させてく方針だし。組合に入ってくれればお得で情報なんかも仕入れられて同志も多いですよ~ってことなわけよ」
「ふーん」
「ありゃ、興味なしかい?」
「まぁ~何かに所属してるのは俺の肌に合わないかなーって思っただけだよ」
組合に入りますか?とかソイリオさんに言われていたら、もう少し真面目に考えていたかもしれない。結局は不自由になりたくないなと思い、あまり組合に入ることは考えなかった。
「師匠、何軒か店に寄ってっていいか?」
「それはいいけど。私は先帰ってていいかい?」
「店員に師匠の顔が効きそうだしついてきてくれよ」
「ん~時間もあるしいいよ。寄り道してノアちゃんが怒らないといいねぇ」
「旅に必要なものが買いたいんだ。多分その理由を言えばノアも怒らないさ」
「そういうことなら。とりあえず何軒か紹介しようか」
俺と師匠は表の商店街で何軒か巡る。
鎮痛や解毒、解熱など手持ちを補充する形で薬品を買った。
また、ロープや靴も新調した。
ノアが裸足なのもなんとかしたいがサイズが分からないな……魔道具屋のじーさん、作ってくれていたりしないだろうか。
次は少し裏の路地に入ったところの武器屋だ。
師匠が使ってる店というだけあってナイフが多めだな。
比較的安価だが品質も良さそうだ。
ここでは戦闘用と剥ぎ取り用のナイフを買い替えた。
安価と言えど高品質故に値は張るが、今は金銭的に余裕があるので良いものを買うべきだろう。
師匠は特に買うものは無かったらしく、その後はまっすぐ酒場まで帰ってきた。
「ただいまー」
「おー二人とも早かったのぉ」
綺麗に掃除された酒場には魔道具屋のじーさんが居た
「そうか?俺たち寄り道してきたけどな。んで、ノアは?」
「二階で着替えとる。服の代金はキリータに請求すればいいんじゃったかな?」
「あぁ私が払う。いくらだ?」
「18万Z」
「服だけでか!?」
「靴も勝手に作ってしまったわい」
「それでも18万は……いや、すまない。少し驚いただけだ。そうか、そんなにか……」
俺は荷物を片付けながら、師匠とじーさんが支払いの交渉をしているのを横目に見ていた。
とりあえず荷物の整理が終わった頃に、二階から階段を駆け下りる音が近づいてきた