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俺、女神に憑かれてます  作者: 塚田恒彦
三章 荒野編
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第二十一話 推理

「ありがとうエド、組合には明日顔を出すと言っといてくれ」

「分かった、その旨伝えておくよ」

「助かる」



 エドと呼ばれた馬車の御者は、エルタの城門をくぐったところで俺たちを下ろし、町の中央部へ馬車をゆっくり進めていった。



「さてとりあえず酒場に戻ろうか。明日はちょっと忙しくなるかもね。エリクと私は」

「偉いさんにお呼ばれ?」

「まぁ……そんな平和な感じで終わればいいがねぇ」

「私はどうすれば良いのでしょう?」

「ノアちゃんは顔を見られてないみたいだし、無関係ってことになってるから明日はお留守番かもね。盗賊の話によるとエリクが一人でやったことになってるから」

「そう、ですか」

「あ、思い出した。ノアちゃんには店の掃除をやってもらうよ」

「またかよ師匠。ノアは昼に掃除やってくれたじゃないか」

「あぁそれがねぇ。今私の酒場の中もぐっちゃぐちゃなんだよ」

「は!?まさか盗賊が!」



 まさか盗賊団は魔道具屋だけでなく酒場まで襲ったのか?



「別に盗賊に襲撃された訳じゃないけどね。いやあれは襲撃と言うべきか……?」



 あれこれ話している内に店に到着した。師匠の言う通り店内はぐちゃぐちゃだ。



「あ」

「あ? あってなんだ。ノア」



 ノアは何か知っているようだったので問い詰めようとしたが師匠が俺を制止した。



「さて、エリク。簡単に状況を説明しよう。まず、帰りが遅いお前たちを心配して私は魔道具屋に向かった。

 すると魔道具屋は貴重品がごっそりなくなり店内はぐちゃぐちゃ。聞けばお前たちは犯人を追いかけて行ったというじゃないか。私はまず知り合いの冒険者の家とギルドへ行き、暇そうにしている友人たちにそれを連絡して馬を城門にまわさせた。ただ様子見に魔道具屋へ寄っただけの私は戦闘用の装備じゃなかったので酒場へ帰った」

「ふむ」

「そしたら店内がぐちゃぐちゃだった」

「は!?」

「さてエリク君。どうしてこうなったか分かるかなぁ? ちなみに私は犯行現場を目撃してはいないが、谷で君たちと合流した時と今のノアちゃんの反応でまぁおおよそ私の推理で当たっているはずだと確信している」

「いや、わかんねぇ。けどえらく楽しそうだな師匠」

「まぁテンションでその場を乗り切るのも大切だということだよエリク。でもまぁヒントは出そう。犯人はノアちゃんだ」

「それもう答えだろうが、ってかノアがなんで!」

「ま、そんなに引き延ばす答えでもないんだけどねぇ」



 俺はノアに真偽を確認しようと目を合わそうとするが逸らされる。どうやら犯人がノアなのは当たりらしいがなぜ?



「一体何があった……?」

「答えはね。箱を取りに来たノアちゃんが勢い余って店内に突入して滅茶苦茶にした!でした~。どう、ノアちゃん。当たってる?」

「ハイ……」 

「あぁ……確かに取ってきてもらった……」

「まさかあの箱の秘密を知るような存在が?とか勘ぐったけどエリクが持ってて心底安心したわ、それで酒場をぐちゃぐちゃにしながら箱だけ持って行った犯人はノアちゃんかエリクだとわかった。そしてノアちゃんは『あ』って言ってるのにエリクが知らない様子だったのを鑑みるに……エリクがノアちゃんに箱を取ってくるよう指示を出したはいいが、ノアちゃんは急げ急げと強風を起こしながら高速で店内を通り抜けて行ったというわけだ」



 ノアは犯行を暴かれた犯人のごとくその場に崩れ落ちた。

 これが演劇なら100点の滑らかな動作である。



「ま、悪いことをしたってノアちゃんが分かってくれてるようだし、明日店の掃除をすることで許すとしよう。明日は忙しくなるよぉ!」



 俺とノアは二階に上がり、師匠が作った軽めの夕食を腹に収めてベットに転がった。

 そういえば、箱にしまって持って帰るはずだった財宝たちは冒険者組合に預かられてしまったな。

 捜索以来の出ている盗品とかは、俺が発見して依頼を達成したということになるのだろうか。

 その辺の交渉は師匠に任せるしかないようだ



「冒険者組合入るかぁ……」

「エリクの行動が縛られることは無いの?」



 隣のベットのノアがたずねてくる



「それは分からないけど……言ってみただけさ。利点だらけなら加入するかもね」

「旅がしづらくなるようなら嫌だわ」

「それなら断るさ。安心してくれ」

「お願いね……おやすみなさい」

「おやすみ」

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