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俺、女神に憑かれてます  作者: 塚田恒彦
三章 荒野編
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第十七話 二人

「お前。俺の言うことなら素直に聞いてくれてたじゃないか」

「まぁ昼の私はあなたを信用しているようだけど、夜の私はあんなに幸せな脳内してないわよ」

「昼のノアも夜のノアも同一人物って言ってたよな。恥ずかしくないのかその変わり様。ずっと乗り気だったじゃねぇか。反論もせずにここまで来たじゃねぇか。なんで今更止める? 俺が目的を見失った?お前が協力してくれれば完璧に目的を達成できるはずだろ。お前が協力しないから!」

「今のあなたには何を言われても響かないわ。エリクに指示される以外で私が動くわけないじゃない」

「そうかよ。俺は俺ですらないってか」

「そうね。今のあなたはエリクじゃない。今の問答ではっきりしたわ」

「今の会話で? 俺が怒りもしない聖人君子とでも思ってたか?」

「私が何で今こんなことを言ってるか分からない内は頭を冷やすことね。」



 夜のノアとの会話はそうやって途切れた。重い沈黙が続く。

 なんでこんなに反抗する?何故指示通りに動いてくれない。昼間はあんなに素直に『お安い御用!』とか言ったりしてたのに。



「俺は操り人形が欲しかったのか?

 違う、俺はノアと一緒に何かしたかった」



 ノアの言うとおりだ。

 俺が自覚していなかっただけだとやっと気づいた。

『昼のノアなら』なんて言葉は俺がノアの事を便利な道具としてしか見てない、という深層心理がにじみ出てるじゃないか。

 俺の考え方がまずい方向に振り切れる前に止めてくれたのに、俺はそれをノアが反抗してると思い込んでいたのか


「分かってくれた? ちょっと意地悪だったかしら」

「ノア……」



 月明かりに照らされたノアは笑顔だった。その姿は一切の不純を感じさせず、女神であることを強烈に印象付けるものだった。俺が何も言い出せないでいるとノアが語り掛けてきた



「私は未熟です。自身の力を制御できない時もあります。今だって、エリクを皮肉るような言い方はしなくてよかった。けど必要以上に冷たく当たってしまいました。女神様なのにね。なんだか人間のフリしてるみたいで変だよね。でもそれが私みたいなんだ。あなたが道を見失ったら、私は不安で不安で、歩くことさえできません」



 ノアは一呼吸入れて続ける



「だからどうか、自分を見失わないでください。迷ったら相談してください。時には立ち止まってみてください。私はあなたの隣にいたいです」



 ノアは不安だったんだな。

 初めて経験することだらけで、俺だけが頼りだった。

 なのに俺は大した目標もないで無計画に進んでいった。

 森で盗賊を倒した時だってひどく混乱していたようだったのに、大したフォローもできていない。

 しかもノアに頼ることを覚えて俺の意志はすぐにぶれるようになる。

 泥船に牽引されてるように感じることだろう



「ごめんノア、俺……」

「ごめんじゃなくて?」



 ノアがにっこりと笑って俺の返答を待っている。

 自信を無くしてちゃダメだ。

 しっかり反省して次に繋げよう。

 そして、ノアと一緒に歩いていこう。

 俺はもう道を誤らない。

 俺たち二人のために返す返事は決まった



「ありがとうノア。これからもよろしく」

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