僕は主人と一緒に学園に通います。
ていんです。卒業の季節ですね。
ウル「ていんも卒業式だね」
うん、今日で学校も終わりだよ。
ウル「お疲れ様」
色んなことがあったなー。今日で終わりかー。
来月から社会人なんだなー。なんだかあんまり実感湧かないな〜。
まあ、それは置いといて、本編へ入りましょう。前回は決闘で理解者を得て一日が終わったところでしたね。今日から新しいクラスになります!
それでは今回も、どうぞ!!
朝、目を覚ます。小さく欠伸をして体を伸ばす。
この体は本当に軽い、あの頃は体を起こすのも大変だった。まあずっとベッドの上だったから
それにしても、高価そうなカーテンだね、僕が触ると破れちゃいそうだ。
ルミナスはまだ寝ているみたい。
僕はまず声をかけてみる。
ウル「キャンッ!キャンッ!!」
ルミナス「んー」
起きない、ジャンプして飛び乗ってみる。
ルミナス「んっ!・・・クー、クー・・・」
起きないー。じゃあ、風魔法でカーテンを開けよう・・・うおっ!眩しい!!
ルミナス「うーん、あと五分・・・」
でもね・・・僕、ルミナスがいつ出るのかわからないし、起こしておいた方がいいんじゃないかな、と僕は思うわけです。
じゃあ、ちょっと手荒いけど、ルミナスの上で起きるまでジャンプし続けるよ!!
えい!
ルミナス「んっ!うっ!ぶっ!ふっ!くっ!ちょっ!起きっ!たっ!からっ!やめっ!てっ!」
あ、やっと起きたね。
ウル「キャンキャン!」
ルミナス「おはよう、ウル、もうちょっと優しく起こして欲しかったな〜」
ウル「クーン?」
ルミナス「でも、まあいいか、えっと今は・・・うん、結構早起き、それじゃあ朝ごはんを作ろう」
ルミナスはその場で服を脱ぎ始める、僕は素早くベッドの下に潜り込む、コホッ、埃っぽい。
ルミナス「あれ?どうしたのウル」
ウル「キャン!!キャンキャン!!」
ルミナス「やっぱりわかんないや、そこ汚いから出ておいで」
と言うとルミナスはベッドの下に手を伸ばし僕を引っ張り出した。うわっ!!ルミナスの白い生肌が!!
僕は咄嗟に目を閉じた。
ルミナス「あーあ、ウル埃だらけ、しょうがないなぁ、一緒に風呂に入ろうか」
ウル「キャイン!?キャンキャン!!」
ルミナス「だーめ!ほら行くよ」
ウル「クーン・・・」
ルミナスに抱えられた僕はそのままお風呂へドナドナされていった。
◇◆◇◆◇◆◇
はあ、隅から隅までルミナスに見られちゃった、もうお婿に行けない・・・。
それはともかく、今ルミナスは料理をしている。凄くいい匂いがしてる。まあ、僕はミルクなんだけど、お腹壊したくないし・・・。
暫くするとルミナスが僕のミルクと自分の朝食を持ってきた。わーい、ミルクだー、おいしそー、うん、ミルクはミルクだね。
ルミナスの朝食は野菜のスープにベーコンエッグにパンが一つ、料理うまいね、良いお嫁さんになれるよ。
◇◆◇◆◇◆◇
食事を終え、ルミナスは学生服に着替える、前も思ったけど、学生服姿のルミナスって凄く可愛い。
ルミナス「・・・今日からSクラス」
そうだ、僕を召喚した事によってルミナスは今日からSクラスになったんだ・・・。ルミナスは大丈夫かな。
正直昨日見たルミナスの実力は凄いものだった。昔から僕に会いに来た時も時折魔法の練習をしてたから、努力は惜しまない性格だったみたいだし、今ではもう僕以上に魔法を使いこなせるかもしれない。
寝る前に無詠唱の魔法が使えた時は泣いてたな〜、僕は抱きしめられて苦しかったけど、でも嬉しかった、彼女の努力が報われた瞬間だった。
少し不安そうな顔をするルミナス、僕も少し不安かな、やり過ぎ的な意味でね。
何せ今の彼女は大魔導士も裸足で逃げ出すような魔力と魔力操作の使い手だからね!
と言ってる間にルミナスは頬を両手で挟むようにパチンと叩く。
ルミナス「よし!頑張ろう!」
うんうん、流石ルミナスだ。
◇◆◇◆◇◆◇
学園に着き、前と同じような嘲笑の視線を浴びながら校舎を歩く、今のルミナスは胸を張って歩いている。その要因に僕が含まれていると思うととても嬉しい。
横を歩く僕も誇らしい。
ただ、僕を馬鹿にする声が聞こえるとそっちを睨むのはやめてよね。
人気が少なくなって来てやっと教室に着く。ルミナスは深呼吸する、やっぱり教室が目の前に来ると緊張するみたいだ。
そして遂にルミナスが中に入る。
それと同時に教室の中から驚愕の視線を感じた。そんな事も気にせずにルミナスはクラス表を確認する、斜め後ろの席だ。
そんな辺りで気を取り直した生徒の一人が話しかけてくる。
「おい、Gクラスが何の用だ」
ルミナス「今日からボクもSクラスだからよろしく」
「はあ!?そんな馬鹿なことがあるかよ!!」
驚きの顔が段々と怒りの形相に変わっていく、中に一人あのルミナスの両親が帰る前に挨拶していった女の子がいたが、あの子はバツが悪そうに顔を逸らしている。
ルミナスは彼女の事をどう思ってるだろうか。
「ふざけるな!ここにお前の居場所はない!出て行け!!*****…」
うわ、詠唱長い、僕はルミナスの前に出る。
(『エア』)
その瞬間、魔法の詠唱をしていた生徒が後ろに吹き飛ばされ、壁にぶつかって地面に落ちる。
ルミナス「ありがとウル、でもあれぐらいなら大丈夫だよ?」
ルミナスは僕を抱き上げる。
「な、なんだ今の」
「詠唱した様子はなかったぞ?」
「どうやって魔法を放ったの!?」
「ま、まさか、無詠唱!?」
驚いてる驚いてる。
その間に僕達は席に着いた。
騒ついてはいるが、こちらに手を出してくる様子はない。隣は例の女の子だ。
ルミナス「あ!君がセレーナだね!よろしく」
セレーナ「よ、よろしくお願いします」
ルミナス「それにしても助かったよ、君がドラゴンを召喚してくれたお陰で、あのアストラル家から縁を切られる事になったよ!」
セレーナ「えっと、その」
ルミナス、それだとただの嫌味だよ、早く続きを行ってあげて、あの感じ罪悪感に押しつぶされそうになってるよ!
ルミナス「ああ!ごめんごめん!そうじゃなくって、ボクは早くアストラル家から抜けたかったんだ、あんな家には居たくなかったからね、全て君がボクの代わりになってくれたお陰だよ、これから大変だと思うけど、困ったことがあったらいつでも言ってね、相談に乗るから」
セレーナ「えっと、ありがとうございます?」
どうやら悪い子ではないみたいだ。
◇◆◇◆◇◆◇
従魔は一応授業に連れていくことができる、ただし教室に入れる大きさじゃないとダメみたい。
勿論ボクは大丈夫、サイズは子犬だからね。
ルミナスとセレーナはかなり仲良くなっていった。
ルミナス「そういえばさ、学園の近くに美味しいスイーツの店が出来たらしいんだけど、知ってる?」
セレーナ「知ってます知ってます!とっても美味しいって評判みたいですよ!」
ルミナス「おお!いいね!じゃあ今日放課後行ってみない?」
セレーナ「いいですね!行きましょう!」
こんな感じ、周りの生徒は唖然としている。見た感じこのクラスだとルミナスを抜いてこのセレーナが一番魔力が高いみたいだ。
セレーナ「それにしても、ルミナスさんはどうやってSクラスに来たんですか?」
ルミナス「えへへ、この子のお陰なんだ」
ウル「キューン?」
とルミナスは僕を抱き上げる。
セレーナ「この、シルバーハウンドが、ですか?」
ルミナス「むぅ、ウルはシルバーハウンドなんかじゃないよ!ウルの種族はじ」
「おーい席に着けーってもう着いてるか」
ルミナスがセレーナにカミングアウトしようとしたところで先生が入ってきて会話は中断された。
「おーし、ホームルームを始めるぞー、まず最初に、俺はこのクラスを受け持つことになったクロードという、以後クロード先生と呼ぶように、んで、自己紹介だ、さっさと済ませろよー」
ルミナスとは反対側から自己紹介を始める。この順番だとルミナスが最後になる。
紹介の内容は、まず名前に自分の種族、従魔の種族と名前、得意な魔法、逆に苦手な魔法、最後に一言、ぐらいかな。
エレーナの順番が来る。
エレーナ「エレーナです、種族は人種、従魔はフレアドラゴンで名前はペンドラです、得意な魔法は炎と風です、苦手な魔法は氷と雷です、えっと、ドラゴンが召喚出来たことで有名になってしまいましたが、その、私自身はそこまで大したことはありませんので」
「そんな事ないよ、従魔はその人にあった魔物しか契約できないんだ」
「そうそう、それに比べて・・・」
みんなルミナスを見る。
クロード「はいはい、エレーナはそれで終わりだな、次の奴始めろ」
エレーナは自分のせいでルミナスに飛び火してしまったと思ったのかエレーナはルミナスに謝る。
ルミナスは問題ないよと返していた。
そして遂にルミナスの順番が来た。
ルミナス「ボクの名前はルミナス、種族は人種」
「はいはい、もういいぞ、先生次「お前黙れ、黙らんと落第にするぞ、全員キッチリ自己紹介はさせる、俺の授業スタイルを乱す事は許さん」す、すみません」
クロード先生は魔眼の持ち主だったみたいで青い目が赤に変わった。魔眼は才能溢れる魔術師が最後に至る極意の形態の一つと言われている。
それを持っているクロード先生はその境地に至った最高峰の魔術師という事だ。
その魔術師に逆らうのは死を意味する、社会的にも物理的にも、あの魔眼かっこいいな〜。
ルミナス「そ、それじゃあ再開します」
ルミナスもどもっている。
ルミナス「名前はルミナス、種族は人種、従魔の種族は神狼、名前はウル、得意魔法は・・・うーん、一応どの魔法も使えますし、特に苦手な魔法はありません、えっと、ボクは静かに学園生活を送りたいのでよろしくお願いします」
クロード「ほう、銀狼かと思ったら神狼か、まさか生きてる間に神獣種をこの目で見られるとは思わなかった、神狼と言えばその個々の力は古龍にも達し得ると聞くな」
他の生徒は意味わからなさそうにしている。
エレーナ「そ、それ本当なんですか!?」
ルミナス「うん、学園長からもお墨付きもらったから違いないよ、少し前にハイン君のキマイラをも圧倒して実力も検証済みだからね」
すると一人の生徒が立ち上がる。
「そんなわけない!!デタラメを言いやがって!!どうせただのシルバーハウンドなんだろ!!」
その生徒が杖を持ち出す。
「俺が試してやる!!******、******」
何やら詠唱を始める。うーん、これ僕が力を見せないと認めはしないかな。
僕はルミナスを守るように立ち塞がる。
クロード「おい、やめ」
「…*****『プロミネンスバースト』」
・・・幼稚な魔法だ。ただデカければいいというような大きい炎の塊、魔力は疎ら、僕が軽く叩いただけで消えそうに見える。
(『ブリザード』)
その瞬間その炎の塊が凍り、砕け散る。
「な!なんで」
(『ドラゴンブレス』)
また僕の顔の前に魔法陣が現れる。
クロード「ちょっと待て、それはマジでシャレにならねぇ!!」
クロードが生徒の前に立ち塞がって結界魔法を使う。
(・・・『極細バージョン』)
一気に魔法陣が小さくなり、細いドラゴンブレスが放たれる。
ドラゴンブレスはクロードの結界を突き破り、クロードと生徒の顔の横を通り抜けて窓を破って、どこか遠くの山に飛んで行った。
大丈夫、山に当たる前に消滅するようにしてあるよ。
クロード「・・・はぁ、今のはヤバかったな、見た感じ、レベルⅤのドラゴンブレスだろうが、まさかあそこまでコントロール出来るとは、大人になった後のことを考えると、末恐ろしいな」
レベルフィフス?それは言いたことがないよ。
クロード「命の危機を感じたのはこれで何度目になるか、生徒の従魔に味合わされるのは初めてだな、ところでお前」
クロードは僕に手を出して来た生徒を睨む、あ、魔眼が赤く光ってる。カッコいい。
クロード「今回は何事もなかったから落第にはしないが、お前は後で補習だからな」
「す、すみません」
ふぅ、何事も無くて良かった。
◇◆◇◆◇◆◇
エレーナ「ウルちゃんって凄いんですね!」
ルミナス「でしょでしょ?ボクのウルは凄いんだから!」
さっきから僕の事を褒めちぎる二人、美少女二人に褒められるなんて嬉しいなぁ。
二人は僕の頭を撫でている。
エレーナ「その上こんなに可愛いだなんて反則です!!」
ルミナス「だよね!!」
あれー?なんだか撫でるのが激しくなって来た。
クロード「んじゃ、ホームルームは終了だ、次の授業までは自由にしてよし、ただし、騒ぎは起こすなよ?」
それだけ言い残してクロードは教室を出て行った。
エレーナとルミナスは今度は頭だけでは飽き足らず他の体まで撫で始める。
なすがままの僕であった。
実はエレーナは良い子でした。その従魔のドラゴンも個性的な・・・おっと、これはネタバレですね。
ウル「早く済ませないと卒業式に遅れるよ」
わ、わかってるよ!
さて、どうだったでしょうか?
次回、授業が始まります、ウルは一体どんな事をやらかすのでしょうか?
それでは次回もお楽しみに!!