THE OTHER SIDE 1
○○年●月△日20時25分
昨晩、恒星が破裂したかのようなまばゆい閃光と金切り声のような高音を一瞬だけ残して、隕石とおぼしき物体はH山を掠めて、T町の国道から離れたおよそ10キロ北西地点の平野部に落ちた。
後の報道によると奇跡的に人的被害はない。
N国政府は速やかに特別調査隊を派遣し、その落下物を回収した。当地は現在、規制線が引かれ、立ち入りは許されない。軍関係者が警戒に当たっているらしい。
こうした事態に備えて空は常時観察されているものの、小型であったが故に監視の範囲外であったようだ。証拠に防空警報は鳴らされなかった。
しかし想定外の出来事であったにも関わらず、調査隊が到着するまでに一時間経たなかったと言うのは、T町に居住する友人の話。
いくらなんでも早過ぎはしないだろうか。
その答えは今、私の目の前にある。