自己紹介っている?
お久しぶりです!!
「…。」
………。
「………。」
………………。
「「……………………。」」
……なんでこうなったんや…。
さっきから私は、真っ黒君と見つめ合っている。決して、睨み合いではないと思う。というのも、相手がどういう心境で私を見ているのかわからないからだ。とりあえず、私は一応敵視はしていない。
ねぇ、言っていい?言っていい?
___気まずい。
これが今、私が一番思っていることだ。
想像してみ?さっきから、一応助けてみた自分を襲ってきた奴と無言の睨み合い…じゃなくて、見つめあいしてるところを。気まずくない?…なら勇者の称号を捧げよう。
今更だけど。本っ当に今更だけど!
なんでこの子助けたんだろう?
…別に助けなくても良かったんだよね。なんでだろう?
「…ウヲッホン!!」
ゴリラか貴様。いや、せきばらいかな?
何でもいい。喋るのか?喋るのか?一応言っとくけど、煽りじゃないんだからね。
「…あー、えーっと」
考えてから行動しな。私が言えたことじゃないかもだけど。
「………」
しゃーない。ここはお姉さんが一肌脱いで差し上げましょう!
と言っても、言葉を発せられるかわかんないけどね。
「何?」
一応発しだぞ。随分そっけない返事しちゃったねぇ。
「え、あ…。通じた…!?」
いや、通じた!?って何だよ。
「通じた?」
「いや、すまんな。何でもない。それより、ここはどこだ?」
おい、アイアム命の恩人やで。何でもない、じゃないよ。答えろや。あと、ここは森だよ。
「森」
「はぁ…」
何だよ、教えたのにため息つくって。
ちょっとジト目ってやつで真っ黒君を見る。
「睨むなよ…」
「睨んでない」
「…はぁ」
おいこら。
あれから、いろいろ話した。彼がさっき聞きたかった、ここはどこだって話。これには、丁寧に知らんと返しておいた。それと、ここに来るまでの経路だ。この話を聞いた時の真っ黒君の顔、面白かった。目をまん丸にして、ぽかーんってしちゃってさぁ。ふふっ。
すっかり夜が明けたが、この子大丈夫なのだろうか。何も食べてないし、寝てもいない。ちなみに、私は大丈夫だった。人間と体質も違うんだろう。それよりもだ、私が気になっているのは、此奴の家族のことだ。私の家族は知らん。
…聞くか。
もしもの話。聞いたとして、この子が空腹だったことを思い出して、私を襲うかもしれない。それを覚悟に、聞かないとな。
「君、大丈夫?何も食べてないし、寝てないし。あと、家族とか…」
「は?そんなこと気にしてたのか。ん、全部問題ない」
「えっ、家族も?」
「当たり前だろう。もうとっくに独り立ち済みだ」
と、嫌そうな顔して言う真っ黒君。意外だね。
「そういやさぁ…」
何だ?
「自己紹介してない」
「…あぁ、そうえばしてないね。する?」
いらなくない?と、内心思いながらも聞いてみる。
「やろう」
即答かい。
「俺はクロウだ。一応、結構生きてる方だ。よろしくな」
「よろしくするの?…えーと」
よろしくするのか…。
あれ、私…名前…なくない?
あー、適当に作るかな。名無しです、なんて言いたくないし…。
特に誰と行動するわけじゃないから、適当にねときとーに、ぺルア…とか?
ほんとに適当に思い浮かんだけど、ぺルアでいっか。
「…ぺルア。いつ生まれたかはわかってない」
「お、おう。…ぺルアか…意味はわからないが、良い名だな。改めてよろしく!」
この日、この時適当につけた名前を多くの者に呼ばれるなんて思ってもなかった…。
ありがとうございました!!
適当に切った感がすごいですね…