九話 紅魔異変 四 フラン
扇「俺が、育てたから…か?」
レミリア「ええ、フランは今あなたを憎もうとしてるみたいけど…それよりも、あなたのことが好きだからね」
レミリアは何とも言い表せない表情で言った。
扇「…レミリア、フランは何処にいる?」
レミリア「ここの地下の部屋よ。ついてきて」
扇は静かにレミリアの後をついた。
咲夜「ここから先は兄さんとお嬢様以外の者はご遠慮してくれませんか?」
霊夢「良いわ。ここで待ってましょう」
魔理沙「そうだな。ここの本を読んで待ってるか」
レミリアと扇は薄暗い階段を降りていた。
レミリア「懐かしいわね。こうやって一緒に歩くのは」
扇「そうだな…レミリア」
レミリア「何かしら?」
扇は立ち止まり、レミリアに言った。
扇「勝手に居なくなって、ごめんな」
レミリア「……今更、遅いわよ。ばかっ」
それからお互い無言で降りていくと、扉があった。
レミリア「…フラン、私よ。入っていいかしら?」
フラン「……何、お姉様」
レミリア「入ってもいいかしら?」
フラン「……だから、何って言ってるでしょ!勝手に入れば良いじゃない!!」
レミリア「…入るわよ」
レミリアが扉を開けるとぬいぐるみで遊んでいるフランがいた。
フラン「それで?何か用?」
扇「…フラン、久し振り」
フラン「!?」
扇「元気か?」
フラン「…で」
扇「?」
フラン「ナニイマサラカエッテキタノ?」
扇「!?」
フランは立ち上がり、辺りがフランの力で充満していた。
レミリア「扇!フランを止めるわよ!」
扇「…レミリア、お前は出るな」
レミリア「はぁ!?私も出る…」
扇「フランは俺が止める!」
扇はそう言って飛び出した。
レミリア「ちょっ!扇!?待ちなさい!」
レミリアの静止を無視し、扇はフランに向かっていった。
扇(さっきのフランの言葉が少しごちゃごちゃだった…フランを止めれる!)
フラン「禁忌『禁じられた遊び』」
扇「チッ!密度の高い弾幕だな!」
扇は背中にある刀を抜刀して、スペカを発動させた。
扇「卍解『黒き鎖の刃』そして!」
扇が持っていた刀は黒く染まり、長い太刀になった。さらに扇はもう一つのスペカを発動させた。
扇「斬撃『黒き月の刃』。いけえええ!!」
扇の刀から放たれた黒い斬撃はフランのスペカをブレイクした。フランはその斬撃により怯み、扇はその隙を見逃さなかった。
扇「今だ!」
扇はフランを力一杯抱き締めた。フランは勿論、抵抗する。
フラン「ハナセ!ハナシテ!」
扇「…フラン、ごめんな」
フラン「!」
扇「寂しかったよな…辛かったよな…ごめんな…ごめんな…」
扇が言葉を発してる間のフランは少しずつ抵抗がなくなっていた。
扇「ごめんな…勝手に居なくなって…」
フラン「……いで」
扇「フラン?」
フランは掠れた声で、涙を流した
フラン「もう……何処にも…行かないで……何処にも、行かないで!」
扇「フラン…!」
扇はさらに、フランの体を強く抱き締めた。
フラン「お願い…だから……何処…にも…いか…ない……で……」
扇「ああ、何処にも行かない。だから、もう、泣いて良いぞ」
フラン「う、うわあああああああ!!!!おおぎぃぃ!!」
フランは大声を出しながら泣き叫んだ。扇はそのまま、フランを抱き締めていた。
レミリア「…フラン、良かった…わね…」
レミリアも嬉しく思い涙を浮かべていた。