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十五話 見られない

お互い気まずく沈黙してると妖精メイドが朝食のことを知らせてきた。


妖精メイド「それでは、私は次の仕事がありますので」

扇「ああ。ありがとう」


妖精メイドは出ていき、扇はミスティアに伝えた。


扇「ミスティア、一緒に行くぞ」

ミスティア「う、うん…」


部屋を出て、食堂へ向かう。


ミスティア「…ねぇ、手、繋いでもいい?」

扇「ああ。いいぞ」


そのまま、手を繋いだまま食堂へ向かった。食堂に着き、扉を開けるとレミリアが挨拶をしてきた。


レミリア「あら、扇おはようってあなた、その子誰よ?」

扇「レミリア、おはよう。こいつはミスティア。お前だったら分かるだろ?」

レミリア「……ああ、な…るほ…ど……あなた達!付き合ってるの!?」

扇「おい、そこまで詮索しなくてもいいだろ?」

レミリア「嘘でしょ?…いくらあの朴念仁の扇でも……」


レミリアは大声を出したと思ったらぶつぶつと喋っている。レミリアがぶつぶつと喋っている時にフランが聞いてきた。


フラン「ねぇ、その子の名前はミスティアって言うの?」

扇「ああ、そうだが?」

フラン「ミスティア!一緒に遊ぼ!」


フランは唐突に言い出し、そのまま行こうとした。


扇「フラン、遊ぶのは食べてからにしな。それと暫くしたら出掛けるからな」

フラン「はーい」


フランは扇の言うことを聞き、自分の席に座った。パチュリーと小悪魔が聞いてきた。


パチュリー「あなた達付き合ってるのね。頑張りなさい」

扇「お、おう…」

ミスティア「う、うん…」

小悪魔「ガンバです!扇さん!」


パチュリー達は応援してきたが扇には分からなかった。


美鈴「…扇さん、後でちょっと組み手に付き合ってもらえませんか?」

扇「お、いいぞ。久し振りにするか!」

美鈴「…本気でいきますからね?」

扇「おいおい…美鈴、どうした?」

美鈴「何でもありません!」


そのまま美鈴も自分の席に座った。扇とミスティアも席に着き、朝食を食べた。


美鈴「ハッ!」

扇「おら!」


今は美鈴との組み手をしている。互いの拳が交差した時、途中で美鈴は呟き出した。


美鈴「……で」

扇「?何だ?」

美鈴「どうして…咲夜さんを…選ばなかったんですか!?」

扇「……どういうことだ?」

美鈴「あなたは、咲夜さんをどう思っていますか?」

扇「…咲夜にも言った通り、あいつは妹だ。それ以上でもなく、それ以下でもない。まず、選ぶと言うことが分からないな」


扇は自分が思ってることをそのまま言った。それを聞いた美鈴は弾幕を放ってきた。それを避ける扇。


扇「ちょ!?危ねぇぞ!美鈴!」

美鈴「咲夜さんの…咲夜さんの気持ちを知らないで!」

扇「咲夜の気持ちがどうしたんだよ!」

美鈴「咲夜さんは…咲夜さんは!あなたのことが…「それ以上言ったら殺すわよ。美鈴」咲夜さん…」


咲夜は美鈴の言葉を遮り、出てきた。


扇「……」

咲夜「美鈴、勝手なことはしないで。それと兄さん、後で私の部屋に来てください」

美鈴「ちょっ!ちょっと待ってください!咲夜さん!」

咲夜「…美鈴、あなたの気持ちだけで充分よ。だから、私が言うから」

美鈴「……分かりました…」


咲夜は館に戻り、その場に扇と美鈴が残った。



扇「咲夜、入るぞ」


扇は咲夜の部屋に入った。咲夜は扉に背を向けていた。


咲夜「…兄さん、兄さんは、ミスティアが好き…なの?」

扇「おお!?い、いきなり何だよ!咲夜!」

咲夜「正直に答えて。兄さんは彼女のことが好きなの?」


咲夜は扇の方を向き、真剣な目で言ってきた。


扇「……ああ、俺はミスティアが好きだ」


扇は咲夜に真剣に答えた。咲夜は、それを聞いて顔を悲しい表情にしながら、扇に言った。


咲夜「…私は……私は、兄さんが、好きです…」

扇「……そう…言うことか……咲夜、ごめん…俺には、ミスティアがいる」

咲夜「…分かってました。けど、何で兄さんは私を妹だと言うのですか?私はそれが不思議で…」 


扇は咲夜の質問を聞き、おもむろに喋った。


扇「…実はな、その…似ているんだ。俺の妹に」

咲夜「え…?でも、兄さんは…」

扇「まだ、誰にも喋ってないことはたくさんある。俺の、実の妹がいたんだ。けど、人間に殺された…」

咲夜「う、嘘…!」

扇「だからかな…あいつも銀髪だったから凄く、似ているんだ。あいつに、彩月に…」

咲夜「……」

扇「…だから、ごめんな。俺は咲夜を妹としか見れない」


扇が放った言葉は決して優しくない言葉だった。


咲夜「そう…ですか……でも、ありがとう、兄さん。私の気持ち、聞いてくれて…」

扇「…咲夜、辛かったら、言えよ」

咲夜「…分かってるわ。ありがとうね。兄さん」


扇は咲夜の部屋から出て、自分の部屋へ戻った。


咲夜「…辛かったら、こんなに心は痛くないわよ…兄さん……」


咲夜は一人、部屋で泣いた。

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