十三話 人間の心は汚い
―ああ、泣いている…誰かが泣いている……誰だ?泣いているのは…助けに行かなきゃ……行かなきゃいけないのに…体が、動かない……何で…何で…!また…裏切られる…のか?
男が一人、自分の前に立った。自分に剣を沿えて。
『貴様は殺してやる…!殺して…殺してやる!』
―ああ、そうか…俺は…死ぬのか…
男の剣は振り落とされた。そこで、扇は夢から起きた。
扇「!!はあ…はあ…はあ…夢…か…嫌な…夢だな」
あれは俺の過去の記憶。この生活がこうも続くとあの時の記憶が邪魔をする。今の所、もう一人の俺みたいなのはない。けど、もしかしたら……
咲夜「兄さん、早く起きて……どうしたの!?」
咲夜は扇を起こしに来たが扇を見て驚いていた。
咲夜「こんなに汗かいてどうしたんですか!?」
扇「……なに、嫌な夢を見ただけだ。気にする必要は…「あるわよ!」だよな…」
咲夜「シャワーを浴びてきて。兄さんの服は替えておくから」
扇「ああ、ありがとう」
それから扇はシャワーを浴びるため、風呂場に行った。咲夜はこの事をレミリアに伝えた。
レミリア「……咲夜、この事は誰にも言わないで。扇を見守りましょう」
咲夜「ですが!」
レミリア「これは、第三者が出てはいけないもの。いくら私でも駄目よ」
咲夜「お嬢様…でも、ですか?」
レミリア「ええ、無理よ。だから、見守りましょう」
咲夜「…はい」
咲夜はレミリアの意思が強いと感じ、従った。
扇「さて、今日も人里へ行くか」
扇は支度して咲夜に言って、人里へ向かった。
扇「んじゃ行ってくるよ」
咲夜「遅くならないようにしてね。兄さん」
扇「おう。分かった」
紅魔館を出て、人里へ続く道を歩いた。
それから人里に着いた。
扇「ふう…疲れた…。よし、いろいろな店によろう!」
それから、いろいろな店によった。すると、一人の男に声を掛けられた。
???「おい、そこの兄ちゃん。あんた、刀持ってるでしょ?」
扇「何で分かった?」
???「いやね。職業柄、分かったんだよ。兄ちゃん、ちょいと刀を見せてくれないか?」
扇「ああ、良いぞ」
扇は男に刀を出して、見せた。すると、男は驚いた表情をした。
???「これは驚いた。なかなか、使いこなれてるね。けど、手入れはしてないみたいだね」
扇「う!いや…めんどくさいからな…」
???「砥石を後であげるから、今は俺が研いでやるよ。あ、俺は鍛冶屋のもんだ。心配するな」
扇「ああ、ありがとう。俺は霧崎扇だ。頼むな」
鍛冶屋「そんじゃ、始めるか!」
鍛冶屋、半妖の刀研磨中…
鍛冶屋「ほい!出来た!」
鍛冶屋は扇に刀を渡す。
扇「ありがとう。代金は?」
鍛冶屋「代金はこんぐらいだ。それと、結構使ってるね。その刀」
扇「ハハハ!まあね。…あれは?」
扇が見たのは屋台だった。鍛冶屋はそれを見て、頷いた。
鍛冶屋「ああ。夜雀の子がここ最近屋台を始めてね。確か…名前はミスティアって言ってたな」
扇「それは本当か!?」
鍛冶屋「あ、ああ。あの子がそう言ってた。あ!」
鍛冶屋は何かを思い出した。それを見た扇は顔が険しくなり、質問をした。
扇「…どうした?」
鍛冶屋「ここだけの話、あの子を殺そうとしてる輩がいるんだよ」
扇「……ほう。何故?」
鍛冶屋「俺のようなもんは別に良いんだが、一部のもんが認めなくてだな。出来れば殺されて欲しくないんだよ。しかも、今日あたりに決行されるらしい」
扇「何故止めようとしない?」
鍛冶屋「そいつらの力が強すぎるんだ。悔しいが、俺達では何も出来ない」
扇「…俺が止める」
その言葉を聞いた鍛冶屋は止めようとしてきた。
鍛冶屋「止めとけ。いくら刀を使いなれてるとしても勝てないよ?」
扇「生憎、俺は術も使えるから強いんだよ」
鍛冶屋「…そうかい。それだったら頼む。俺達の変わりに」
扇「ああ」
鍛冶屋「…慧音さんに言っとかなきゃな。あんたの出る幕がないことを祈るよ。半妖の少年よ」
それから扇は鍛冶屋から離れ、どういう風に懲らしめるか考えていた。すると、頭の上を何かが飛んでいった。
扇「何だ?」
文「あやや、これは初めてですね。清く正しく、文々。新聞の射命丸文です!」
扇「俺は扇だ。…そうだ!お前、記者何だよな!?」
文「はい!そうですよ!だから…」
扇「取材のかわりに手伝ってほしいことがある」
文「…私としてはいいですよ。それで?何があるんですか?」
扇「実はな…」
今は夜。ミスティアは何時もの森へ帰ろうとしていた。そこに三人の男がミスティアの前を遮っていた。
ミスティア「えっと…もう屋台は終わったので無理ですよ?」
男1「いやぁね。違うんだよ。今回は…お前を殺すために来たんだよ!」
ミスティア「え…」
男1「お前ら!かかれ!」
男二人『おう!』
ミスティア「イヤ!来ないで!」
二人の男はミスティアに向かった。ミスティアは逃げようとするが逃げ切れず、男二人に捕まった。
ミスティア「イヤ…イヤ!」
男1「さて、どういう風にやるか…」
男2「こいつ、犯そうぜ。どうせ、妖怪だから文句は言われねぇし」
男3「お、賛成だ。ここんところ溜まってたんだよね~」
ミスティア「!?や!止めて!お願い!離して!」
男1「よし、殺す前にヤるぞ!」
男2「そんじゃ、俺からいくぜ。ほら…」
ブチッ!
何かがキレる音がした。
ドサッ
男は急に倒れ、他の二人は固まった。
男3「は?何が起きてるんだ?」
男1「誰かが邪魔してるんだな?何処だ!出てこい!」
しかし、その声は無視されもう一人の男も倒れた。
男3「がっ!」
男1「おい!起きろ!」
???「何処のどいつだ…?そいつを殺そうとしてるは…」
男1「ヒィ!だ、誰だよ!」
木の影から白い仮面を着けた黒装束の男が出てきた。
イルジメ「そうだな、イルジメと名乗っておこう。今は見逃してやる。この場所から消えな!」
男1「ヒ、ヒィ!お、お助けを……」
男はこけながら逃げていった。黒装束の男はミスティアを抱えた。
ミスティア「!?ちょ!離して!」
イルジメ「…少し、静かにしてくれ。それと喋るなよ」
ミスティア「え…まさか…」
イルジメ「そこに誰かいるだろ!出てこい!」
イルジメは木の影に隠れているものを呼んだ。すると、そこから慧音が出てきた。
慧音「何故分かった?」
イルジメ「…何故止めなかった?」
慧音「…すまない。タイミングを図ろうとしたらお前が出てきたからな。けど、こんなのは只の言い訳だな…」
イルジメ「守護者たる者が何だ。只の臆病者だな」
慧音「!?」
イルジメ「俺は半妖。人間であり、妖怪でもある。人間の味方にもなれるが、妖怪の味方にもなれる。逆を言えば、人間の味方にならず、妖怪の味方にもならない。しかし、今回は何だ?例え妖怪が悪くとも、これは見過ごせない!俺は妖怪の方に味方する。それを肝に命じておけ。それと、あの人間どもに罰を与えておけ。与えなかったら、分かるよな?」
慧音「……分かった。それと、お前は何だ?何者だ?」
イルジメ「…一度、会ってる者だ。それじゃ」
イルジメはミスティアを抱え、すぐに消えた。一人、残された慧音は思考に耽っていた。
慧音「一度、会った…者…?」
イルジメ、と呼ばせた扇は離れた場所で休んでいた。
ミスティア「だ、大丈夫?」
扇「ああ、すまない。少し疲れただけだ」
扇はあの白い仮面を出すのに疲れていた。
ミスティア「いくら助けようとしたって、そこまでしなくても…」
扇「これは俺の気が済まないだけだ。気にする必要はない。それより、その…お前は、大丈夫…か…?」
ミスティア「へ?あああ、うん…大丈夫…。そ、それよりも、何でここが分かったの?」
扇「ああ、それはな…」
文「私がいるからですよ!」
突然文が入ってきた。
なんとタイミングのいい時だ。
ミスティア「え?何で彼女が?」
扇「お前の場所を教えてもらってたんだ。その代り、取材を受けると言うことでね」
文「まぁ今日は止めときます。扇さんのさっきの白い仮面を出すのに私の妖力を取られたんで。あ、写真だったら一枚なら取れますよ?」
扇「今は止めてくれ。取材なら後で受ける。それと、取材をちゃんと、書けよ?捏造したら…分かってるよな?」
文「ヒィ!分かりましたよ~」
扇「それと、今回のこと、ちゃんと書いておけよ。例え妖怪でも、これは許されることじゃぁねぇからな」
扇がそのことを口にすると、文も真剣な表情で応えた。
文「…ええ分かってますよ。これは許すまじきことですから。それにいくら天狗でも、同じ鳥妖怪を傷つけようとするやつらは放っておけないですから」
扇「ああ、頼んだぞ」
文は記事を書くため、早くも飛んでいった。
扇「ふう…そんじゃ、ミスティア。俺と一緒に紅魔館に来い。暫くはいろ」
ミスティア「え、あ、う、うん…分かった…」
扇「そんで、暫くしたら、俺と一緒に屋台を開くぞ」
ミスティア「うん……ってええ!?」
扇「暫くはそうした方がいいからな。それと、俺のことを誰にも言うなよ」
ミスティア「うん…分かった…」
そのまま扇とミスティアは紅魔館へ帰っていった。そして、紅魔館に着くと門の前で待っていた咲夜がいた。
咲夜「遅いですよって誰なの?この子は?」
扇「実はな…」
半妖説明中…
咲夜「ひどい…なんてことを……」
扇「だから暫く置いてくれないか?」
咲夜「ええ。分かったわ。それと、兄さんの部屋になるけど大丈夫?」
扇「……暫くは誰も会いたくない感じになってる。だからそれでいい」
咲夜「分かったわ。それと、ミスティア?だっけ。私は咲夜よ。よろしく」
ミスティア「ミスティア・ローレライです……」
暫くはこれが続きそうであった。




