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お届けのはじまり

 誰かの「起立!」という声にハッと気が付いて、周りよりは少し遅れてしまいながらも立ち上がる。

 たぶん目立つほどではなかっただろうから大丈夫!・・・だと思いたい。

 そして続く「礼!」の声には合わせることができた。

 どうやらボーっとしている間にホームルームが終わってしまっていたらしい。


「ち、千歳さんはまだいますかぁ~?」


 なるべく急いで、けれど折れないように配られたプリントをカバンに詰め込んでいると、りなちゃんに呼ばれ帰る準備を持ったまま教卓に居る先生たちの下に行く。


「はい。なんですか?」

「ふぁっ!ふぇーー・・・」


 いきなり人の顔を見てその反応はどーかと思います。


「・・・なんなんですか」

「あっすいません!し、知り合いにににに、似ていたので」


 さっきまで2対多って状況で向かい合っていても少しは見ていた気がするんだけど?

 そうこうしている内に自分の中で折り合いをつけたのかは定かではないが、軽く1度頷くと質問された。


「あの、遥という名前の」「あの、もしかしてお兄さんがいませんか?」


 しかも阿鶴先生にも同時に。


「え、なんですか?一緒に言われても分からないんですが」


「私は繋ぎなのでお譲りします」


 阿鶴先生はそう言うと半歩下がって場所を空けた。


「もしかしてお兄さんがいませんか?」

「えぇ。いますよ」


 その答えに顔を輝かせるりなちゃん。

 なんと、兄は学生時代の先輩だったらしい。

 そして、定期的にお菓子を貰っ(餌付けされ)ていたんだとか。

 言われてみれば兄は料理やお菓子作りが好きでよく作っていて、さらにここの卒業生だったような気がしないでもない。

 年が離れていたから気にしたことがなかった。


 けれどそれは呼ばれてから気付いたことであって、呼んだ理由は別にあるのでは?。


「で、それがなにか?」

「え!?あ、いえ・・・また食べたいな、と・・・ではなくてですね!」


 ええ。そうでしょうね。もし本当にそんな理由だったらとっくに帰っていますよ。

 ゴホンと咳払いをしながら1歩前に出る阿鶴先生。ここで交代のようだ。


「今日お休みだった子が何人かいたと思うのですが、そのうちの1人があなたのお家の近くでして、届けていただきたいのですが、大丈夫ですか?」

「近くと言われても・・・知り合いじゃなければ家なんて知りませんよ」


 それなら小学校か中学校で一緒だったんだろうけれど、ここに通っている人で、近所で、今日休んでいる人?


「どうやら最近引っ越してきた方のようですよ。それから当然ですが、住所はお教えします」

「それ、個人情報ですよね?いいんですか?教師が生徒の情報を勝手に教えて」

「住所を見る限り直ぐ近くなので、知ることになったでしょう。多少遅いか早いかの違いです。それに、知り合いも居ない上に、初日を休むと周りと馴染みにくいでしょうから、せっかく同じクラスなんですしその辺りのことも頼みたいので、顔合わせのついでに届けてきてください。」


 なんか増えてるし!そういうのって学級委員長の仕事だと思うんだけど。

 あ、まだ決めってなかったんだっけ。

 しょうがないか。これ以上頼み(面倒)ごとを増やされる前に終わりにしておこう。

 なんだか誤魔化されているよりも騙されている気がしてきたよ。


「わかりました。届けますよ。その代わり他のことまでは責任を持てませんからね」

「ええ。それで構いません。ありがとうございます」


 よし。言質はとった!とりあえずお見舞いになりそうな物はないけど、その・・・肝心のどんな人なのか一切聞いてなかった。


「聞き忘れていました。その人の名前とか住所とか。あとプリント類ってどこですか?」

「はい。もうここに纏めてありますよ」


 そう言うと教卓の中から大きな(A4の)茶封筒を取り出した。

 これは、つまり、始めから届けさせる気だったってことですよね?もしも断っていたら次は何を言うつもりだったんだろう?そんな怖いもの見たさがあったけれど、今更「やっぱり嫌です」なんて言えるはずもなく、受け取ると隅に白い四角形の付箋が付いているのが目に入った。


 ここできちんと断れていたら。この時に休んだ理由を聞いていたら。少しは何かが変わっていたのだろうか・・・



「え・・・」



 そこに書いてあった名前を見た瞬間その前に考えていたことなどどこかに飛んでしまった。


間に合った...

本当にこのくらいの文字数にどれだけ時間かけてるんだろ


とまぁ、いつものように後ろ向きな後書きを書いてみる今日この頃

みなさんはお元気ですか? 暑さで倒れないようにこまめに水分補給してくださいね

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