紹介のはじまり
「えっと、み、みなさんには自己紹介をしてもらいましゅ!」
のっけから盛大に噛んだ石榴先生(ものすごい違和感。口に出さなければ良いんだし、りなちゃんにしよう。)りなちゃんが言った。
「まずは、わたしたちからしますね。」
すーはー すーはー だいじょうぶ だいじょうぶ できる できる・・・よし!小さな握りこぶしをきゅっとつくり顔を上げた。お遊戯会に出る園児みたいでほんわかする。
「あらためましてこのクラスの担任になりました石榴梨杏です。これから1年間よろしくお願いします。」
最後にお辞儀をして締めくくった。
思わず心の中で「よくできました」と言って拍手してしまいそうになる。何人か手がピクッとしていたから気持ちは同じなんだろうなー。
「それでは次は私が、副担任の亜鶴湊です。知っている人がどのくらいいるかは判りませんがこの学校は少し変わっています。」
少し?入っておいてなんだけどかなりだと思う。
「この学校に勤めている人は全員この学校の卒業生です。教師はもちろん事務員や、購買のスタッフからゴミの回収にくる業者の人まで卒業生です。理由は実際に体験したとは思いますが敷地内はとても複雑なので知らない人はまず迷います。私の知っている中では地図もなく一度も迷わなかった人物は今までで1人だけです。」
なるほど、確かに学校1つにそんな時間はかけられないから校内を知ってる人のほうがスムーズではあるかな。その1人って誰だろ?すごいなー
そんなことを思っていたらまだ続きがあった。
「なので、卒業生だけしかいない。というのは表向きにすぎません。ここの生徒は何かしらの事情がある人がたくさんいます。政治的に狙われやすい人、世間的に辛い立場にある人、世界的な発見などをした人などなど様々です。そして、その身を守るために素性が明らかでない人間を極力排除した結果が現です。なので安心して楽しい学園生活を送ってくださいね。」
重い!入学して早々に教えられることじゃないと思う!そういうのとは全く関係ない一般人になんてこと言うんですか!
「ちなみによくある『通称』や『コードネーム』 最近では『二つ名』ですか?そういうもので呼ばれる人がいますよ。」
なにそれ!かっこ・・・じゃない、恥ずかしい!
だめだ、なんか変だぞ、私、落ち着け、落ち着け、こういう時は深呼吸だよ深呼吸。スー ハァー・・・よし、落ち着いた。かな?
「そうですね。1例をとしては、たぶんほとんどの人が見た顎髭を蓄えた先生がいたと思います。」
あの人だ!少年漫画に出てきそうな!
頭の中にはさっきの入学式で見た、どこかの師範代のような(勝手な思い込みだけど)絶対に
書道とか上手いだろうなって感じの先生が浮かんできた。
「あの人は『裏の学園長』と呼ばれていますね。そちらばかり有名ですが、本名は知っていますか石榴先生?」
「ふぇ?あ、はいガクチョー先生のことですよね。 学園 長 先生です。」
まんま 学園長 じゃん。二つ名(?)が短くなることもあるんだ。そもそも二つ名になってなかった気がするけど。というか亜鶴先生も一瞬「そうだった」って顔してたけどもしかして、分かってなかった?
「ちなみに石榴先生にも『二つ名』があるんですよね?」
「え?・・・あ・・・や、な、ない、ないです!!その話はいいじゃにゃいんでしゅかにぇ!?」
おぉ!過去最高の噛みごたえ(なんか違う)やっぱりそれに関係することなのかな?
「えーと「わー」なんで「わー」たっけ?「わー」しか・・・「忘れてて下さーい!」あー思い出しました。」
本当に楽しくて仕方がないと言うかの様な表情で驚きの言葉を言い放った。
「『あくなき不良』でしたね。」
「いや―――!!!!」
・・・
・・・・・・
は、はー!?不良!?「あくなき」って「底なしの」って意味だよね!?
え、これが不良!?
これって言っちゃだめだ。えーっとアレ、ソレ・・・ドレ?
「うぅぅ・・・あ、あああああ嗚呼栖さんからじじじ自己紹介お願いします。」
理解ができず思考停止している間に始まり自己紹介をする人の言葉にまた衝撃を受けて私の番の時には何を言ったのかすら覚えていなかった。
他にないくらいのゆっくりなペースですが、これでもギリギリな感じがあります。
猫の手でも借りて、ぷにぷにしたいなぁ…
あ、次回は閑話の予定(未定)です