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神様、恨みますよ!?  作者: マドンナリリー
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入学式にて

第二話です。

まだまだがんばります。

次に目が覚めた時は、仰向けでベッドに寝ていた。思わず手を見る。私の手とは程遠いごつごつした手だった。残念ながら、夢オチではなかったようだ。

私はくるりと、あたりを見渡した。青い家具が多いです。

アオイだからでしょうか?

私は起きてカレンダーを見る。今の季節は春。どうやら今日が入学式のようだ。

いまさらながらキミヒマの世界でも、入学式から始まることを思い出した。

「どうしよう。」

私がつぶやいた声は、ただむなしくひびいただけ…?

ヤダ、なにこの美声。オペラ歌手?うわー、どうしよう。神様、私自分の声に恋したかもです。

ふー。

十分後。私はほてっていた顔を洗って落ち着いた。今はまだ5時半だ。入学式までまだ大分時間がある。とりあえず、落ち着こう。

わかっていることを整理する。

私、今の私は新藤アオイ。思い出したのだが、苗字が一緒だった気がする。なにせ脇役なのであまり覚えてないです、ハイ。

年は15歳。シンの幼馴染。鏡で見たところそれなりにカッコイイと思います。前世だったらきっとモテモテでしょう。しかし、あの五人にはめちゃくちゃ劣っています。

アッザーによると、楓ちゃんを落とせなかった場合は、自然消滅してゴキブリになるのだとか。

改めて考えてみると、なかなかひどい。これならい異世界にモブキャラとして転生したほうがまだましだ。だが考えていても仕方がない。

これは、現実であって、ゲームではないのだ

という有名な言葉のように、

ここは漫画の世界であって、現実ではなにのだ。

うん、つまり『君の瞳に乾杯』なんて超キザなセリフを使っても、結果的に楓ちゃんをおとせればそれでいいのだ。

うん、なんかいける気がする。

落ち着いたところで、また整理に戻る。

「えっと、それで?」

・・・・・・。

アオイがあまりに脇役なためそれくらいしか知りません。せ、生徒手帳。きっと中学のものがあるはず。せめて誕生日くらいは知らないと。

私はごそごそしてみつけた。アルバムもある。

新藤アオイ 15歳

1998年生まれ15歳 2月14日

好きなこと サッカー。得意な教科 数学。 成績 中の下 

ピアノができる。祖父がお金持ち。兄弟は弟がいる。4人家族。

 部屋をあさりまくって見つけたのは、これくらいの情報だった。

「兄ちゃん?何やってんの。」

私がドタバタしているから、起きちゃったらしい。たしか2002年生まれ。四歳差だから、今小六だろう。

「あ、えっと、おはよう連君。起しちゃったかな。」


わあ、ヤバイ。いや、かわいすぎるでしょ。何これ。くりくりした目、寝癖がついた髪。

これで獣しっぽがあれば完璧だ。

抱きついちゃっていいかな?いいよね。一回だけだから。

というかアオイにこんな可愛い弟がいたなんて

「連君?」

「あ、いや連。」

今連ちゃんって呼びそうになった。

連の魅力は半端ないです。死にます。

「兄ちゃん、入学式で緊張してんの。バカみたい。」

可愛い!!

「兄ちゃん、緊張しているからちょっとこっちきて。」

連が座った途端、抱きつきました。ゴメン、連。兄ちゃんもう我慢できません。

「に、兄ちゃん。マジで大丈夫か、顔赤いぞ。」

君のせいだよ。

「連、兄ちゃんの入学式来いよな。絶対だぞ。」

「もちろん、行くけど。兄ちゃん高校行ったら彼女作るんだぞ。兄ちゃんはモテるんだから。俺なんて可愛いとか言われていんだぞ。」

小六にして俺ってかわいい。連が私の弟でよかった。

「俺ってモテていたのか。」

初耳である。鏡を見てなかなかカッコイイとは思っていたけど、比較対象があの五人だったからな。

「何言ってんだよ。兄ちゃんは中学校でファンクラブあったじゃん。もう忘れたの。」

それから連としばらく話をして気づいたら7時だった。

大急ぎでご飯を食べていたら、そんなに急がなくても鈴蘭高校は歩いて15分と言われた。

あ、前世の学校は7時半には出ていかないと遅刻だったため、つい癖でやってしまった。

連は、

「ホントに大丈夫か。」

と顔を覗き込みながらいわれた。そんな風に見ないで…。アッザーに続き、連君、マジ天使すぎます。


私はさっと身支度をして、出て行った。

入学式は9時からだ。それまでいろいろするのだろう。

そしてキミヒマの中では楓ちゃんを含みテルとセイとシンは同じクラス。

テルは人気アイドルだから、楓ちゃんも恋に落ちる確率が非常に高い。

ゴキブリには絶対なりたくないので、何としてでも楓ちゃんをおとします。

「アオイ君~。」

俺がパンフレットの地図通りに鈴蘭高校へ歩いていると、私を呼ぶ声がした。

きっとシンだ。シンなんだ。

いつもはおどおどしているけど、アオイの前ではきちんと話してくれる。

「おはよう、シン。」

男ことばを使うことを意識しながら、桜の木の間を通る。前世ではこんな光景は見たことがないけど、こうやって歩くと桜に祝福されているように感じる。

「おはよう、入学式緊張するね。アオイとおんなじクラスだといいな。」

やめて、シンやめてください。

そんなはにかむような笑顔をみせないで!



「アオイさま。おはようございますわ。春休みの間、会えなくて夜も眠れませんでしたわ。」

……。

誰ですか?キミヒマではこんな人出てこなかったような。

私が戸惑っているとシンが助け舟を出してくれた。

「中学の時のファンクラブ会長の綾小路さんだよね。おはよう。」

「シン様。おはようございます。」

綾小路さくら。出てきていたよ。キミヒマの中で、カッコイイ男子に目がなく、高校になったらテルのファンになって、ライバルキャラとなっていた。さくらはいつも悪役で、高飛車なところしか描かれていなかったから、全然気付かなかった。

まあ、楓ちゃんはちっとも気にしていなかったけど。

世の中って狭いね。登場人物限られていますね。てか、アオイのファンだったんですね。

知らなかった。

「キャー。やっぱり、神谷輝君よ。この学校って本当だったんだ。」

「テル。こっち向いて。」

学校に入ると、神谷輝のことテルが女子たちに囲まれていた。困っているらしい。

女子でテルの後ろへ行けた人はいない。

いや、いた…。

「楓ちゃん。」

おもわずつぶやく。

「アオイ様何の騒ぎですかしら。」

さくらが中心人物を見ようとしているが、なかなか見えないらしい。

「神谷輝知っているだろ、アイドルの。そいつがこの学校の一学年つまりは、俺たちの学年に入るんだってさ。」

大丈夫、さくらはたとえ今見えなくてもファン全員を率いるくらいテルを好きになるのだから。

俺はさくらにテルを見せるために、腰らへんを持ち上げてあげた。

たぶん、見えただろうけどさくらはこういったのだ。

「大丈夫ですわ。いくらかっこいいといっても、私はアオイ様のファンですわ。」

高い、高い、をされたからか少し照れた笑顔で言う。

キミヒマの中では悪役だけど、さくらちゃん美人ですね。

でも気になることもある。入学式の日、さくらはテルに惚れたはずなのに私のファンだと言い続ける。なぜなのでしょうか?


私とシンとさくらは一足先に教室へはいる。もちろんキミヒマの設定と同じ1年1組だ。

チャイムが鳴る寸前、何とか逃げてきたのかテルが席へ座る。神谷と新藤なので近い。

そして見つけた。黒崎星。私の前の席だ。

「黒崎…。」

黒崎君といいかけてやめた。

今の私は男子だ。

「あ?何か用かよ。」

「ごめん、俺新藤蒼よろしく。」

いきなり自己紹介したため、セイは驚いているようだ。

それはそうだ。黒崎星といえば、危険人物。中学校は同じではないそうだが(シンから聞いた)不機嫌な時の彼はたちが悪いらしい。よって、ちかづくものもいない。

でも、私は違う。セイってばマジでかわいいんだから。不器用すぎるのに、なにかをしようとする。私はキミヒマのなかでも一番好きかも知れない。

キミヒマファンクラブでもセイを応援していた人は多い。

普段クールなだけに、照れた時の表情がヤバイ。

男子版ツンデレというところだろうか。

「お、おう。俺は黒崎星だ。よろしく。」

今改めて思う。楓ちゃんじゃなくてもいい。だれでもいい。私女に転生したかったです。

「セイってよんでいい?あ、馴れ馴れしいかな。」

「べ、別にお前が好きなようによんだらいいんじゃね。」

でたー!私の一番好きなセイ様のツンデレ!

御馳走さまです。

「俺のこともアオイって呼んで。」

思わず私と言いそうになった。慣れは怖いです。

セイがうなずいた瞬間、担任の君代先生が入ってきた。これまた絶世の美女で、楓ちゃんの恋愛相談にものってくれる素晴らしい先生である。

「みなさん、君代です。一年間よろしくお願いします。まだ少し時間があるので、自己紹介をします。東君からどうぞ。」

着々と回ってくる。

私、こういうの、苦手なんだけどな。

「神谷輝です。今、アイドルやっています。仕事で来られないことも多いけど、皆と一緒に頑張りたいと思います。よろしくおねがいします。」

彼は座り間際にウインクした。ま、まぶしい。キャーという歓声が上がる。

「綾小路さくらですわ。アオイ様のファンを中学校の時はやっておりました。家元は茶道なので、楽器から茶道はもちろん華道書道もできますわ。どうぞよろしく。」

さくらちゃん。

女子からすると自慢にしか聞こえないから、やめたほうがいいよ。

うん、にらまれているからね。

「黒崎星だ。趣味はない。人と話すのが苦手だ。先生もういいですか。」

セイはだるそうに手を挙げ座った。

先生もちょっと目を泳がす。女子どもは怖いのか、目を合わせないようにふせている。

「つ、次行きましょう。新藤君。」

「は、はい。」

前世では新藤さんと呼ばれていたため、なんか違和感がある。

「新藤蒼です。サッカーが好きで、中学校はサッカー部でした。人と話すの、結構好きなんで、いつでも話しかけてください。」

一応フラグを立てておく。

この自己紹介ごときで楓ちゃんが話しに来るとは到底思わないが、ないよりましでしょ。

それと私が座った後も、小さく歓声が起こったのは、なぜなのでしょうか。

順番に淡々と終わっていく。

「た、滝川伸です。新藤君とは幼馴染で、しゅ、趣味は読書です。一年間よろしくお願いします。」

シン、自己紹介ぐらい私のことを語らずに、自分のことだけを語ってほしい。

「橘かえでです。よろしく。」

次の橘かえではそれだけ言うと座った。

さすが無表情。ちっとも表情を変えない。面白い自己紹介があってもくすりとも笑わない。

「これで自己紹介は終わりました。みなさん、体育館へ移動しましょう。」


 入学式。

あと会っていないのは九条慧と楠陽太だけだ。

「みなさん、静かにしてください。」

出た。一言で有無を言わせない迫力。

さすが九条先輩!前世ではこんな先輩居ないかな。と思い、探したけどリアルではいませんでしたというオチのあるそれほどすごい先輩だ。

「みなさん、入学おめでとうございます。高校二年、九条慧といいます。・・・・・・

この学校でたくさんの友達をつくり、勉強も部活も両方励んでみてください。」


先輩、カッコいいけど話ながすぎです。

入学式はどんどん終わっていく。

「新入生代表、黒崎星!」

「はい。」

うそ…。漫画ではこんなイベントなかった。セイ、新入生代表だったんだ。というか鈴蘭高校一位で合格したの?漫画でもセイは頭が良かったが、ここまでとは。

「以上を持って、入学式を終わります。」

こうして私が目覚めて新藤アオイとしての第一日目が終わった。これからたくさんのイベントがあるのだ。私はそれらを阻止しながら、楓ちゃんをおとさないといけないわけです。はあ。前途多難です。そんなことできるのでしょうか?

もし私が楓ちゃんやさくらだったら、恋愛を楽しめたのに。それもこれも神様もとい、アッザーのせいなのだ。では、ここでお決まりの一言。

「神様、恨みますよ!?」


読んでくださってありがとうございます。

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