プラクティス―Practice―
西暦2014年4月1日、秋葉原を中心に展開されているARデュエルと呼ばれる拡張現実を利用した対戦格闘ゲームがブームになっていた。
実際の格闘技と格闘ゲームの派手な演出やシステム等を組み合わせたARデュエル、作られた経緯は格闘技の衰退が理由となっているが、それが表向きだけと言う事は意外と知られていない。
しかし、そのブームを利用して超有名アイドルの地位拡大をしようと考えていた人物がいた。彼の名は伊藤零…。彼は超有名アイドル劇場のオーナーでもある人物だったのである。
その一方で伊藤の暗躍を以前から予測していた人物の存在もいた。彼女の名は如月翼。またの名をスカイフリーダムと言う。
この物語は超有名アイドルの栄光や未来を予言したモノリスプレートの記述を信じ、超有名アイドルを唯一神にしようと考えていた人物を止める為に動き出した若者たちの物語である。
そして、この世界線も別の世界におけるアカシックレコードサイトに記され、そこで新たな事件を生むきっかけになる事は想像に難くない。
繰り返される超有名アイドルの唯一神にしようとする動き、それを止められる者は現れるのか…?
そんな中で、アカシックレコードの解析を急ぐ人物、ARデュエルへと新たに参戦する人物の姿も確認されている。
今、ARデュエルを舞台に新たなるステージが幕を開ける。
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西暦2014年4月2日午前10時、秋葉原のゲームセンター近辺。
「プレイヤーの数は確実に増えてきている。アクティブは1万人、現在は休止中のIDが1万弱か―」
ARブレスのデータを見ながら、何かを待っていたのは竜宮クレナというスポーツ刈りの男性である。
「上位10人は揺るがないな。一時は新人プレイヤーが入るか…と思われていたが」
竜宮は常連となっているファストフード店のコーヒーを飲みながら、時間を潰しているようにも見える。
「あるいは、それこそ超有名アイドルのファンクラブや芸能事務所に所属した芸能人が参戦している為にランキングを止めているのか―」
コーヒーを飲み終わった所で竜宮は鞄から何かを取り出して、それを誰も通りかかっていない事を確認して被った。彼が被ったのはドラゴンの覆面である。
同刻、秋葉原の歩行者天国近辺を含め、様々な所でARデュエルが行われていた。基本的には、ARデュエルの端末が置かれているエリアであればプレイは可能となっている。警備等の都合上で電車の駅内やデパート等の店舗内には設置されていないが、その代わりに試合を観戦できるセンターモニターが設置されている。
「始まったか」
上野駅に置かれているセンターモニターの前にいたのは、西雲和人だった。今回は、ノートパソコンの入ったリュックサックも持ちだしている。このノートパソコンには、あるデータが入っているのだが…。
同刻、北千住駅近辺。そこでは、ある1人の新人ファイターがデビューを飾ろうとしていたのである。
「次に一級のファイターを倒せば昇格できると言うタイミングで、十級とは―」
愚痴をつぶやいているのは、先程まで5連勝を記録していたキックボクシングの現役選手である。ARスーツを着ずに試合と同じトランクスとボクシンググローブ、試合では着用していないARブレスとバイザーと言う外見にはテレビで彼の姿を見ているファンにとっては若干複雑である。
「十級だからと言って、油断は禁物じゃないんですか?」
彼の目の前にいたのは、黒のインナースーツの上にブレザー、赤のロングヘアと言う女性だった。特に武器は持っていないようだが―。
「確かに化け物のような九級というプレイヤーがいるのは事実だ。しかし、奴は世界チャンピオンにもなった人物…。お前と比較出来るような存在ではない」
そして、彼はラウンド1のコールを前に彼女に向かってパンチを当てようとするが―。
《エラー発生 2Pサイドにイエローカード1枚―トータル2枚目につき、次のイエローカードでレッドカードに変化します》
どうやら、ラウンドコールの前に攻撃の意思を見せた事でエラーが発生したようだ。イエローカード1枚が相手選手に追加された。彼には別のバトルで追加された1枚も加算されている為、2枚目と言う事になる。
【イエローカードって、本当に格闘技みたいだな】
【格闘ゲームに格闘技のルールを組み合わせた物が、ARデュエルとも言われているが―】
【イエローカードは蓄積され、それが3枚になるとレッドカードとなってICカードが一時凍結されるらしい。反則行為の内容によってはカードはく奪もあるらしい】
つぶやきサイトでも今のシーンを見て、疑問にもつ視聴者も少なくはない。格闘ゲームと格闘技のいい所を集めて作られたという話は事実とみて間違いないようだ。
《ラウンド1 ゲットセット!》
「これは、なかなか面白い人物だ―」
この試合を秋葉原の劇場控室で見ていたのは伊藤零だった。どちらを指して面白いと発言したのかは不明だが、彼にとっては好都合の人物が現れたと言うべきだろうか。
「後は、芸能事務所側の足並みが揃いさえすれば準備は終わりと言った所か」
伊藤は携帯電話を取り出して、いくつかの芸能事務所に電話をかける。用件は、超有名アイドルの基本方針についてである。
「現状で事務所判断で動いている一件に関して、こちら主導に変更出来ないかと言うお願いです。当然の事ですが、こちらの知名度を考えれば利益が今まで以上に上がるのは保証出来ます。それに…」
そして、電話応対をしている途中でARデュエルの方で動きがあった。ラウンド1はキックボクサーの勝利だったのだが、ラウンド2へ入る途中でアクシデントが起こった。
【おいおい、一方的じゃないのか?】
【これでは初心者狩りと同じ…】
【ARデュエルで格闘家が手加減なしバトルか?】
【初心者狩りの場合は、運営が即座に不正マッチングと判断するはず。判定しなかったという事はバトルが成立していると言う証拠だ】
ネット上でも、この対決に関して疑問を抱く者が多かった。前半はキックボクサーが一方的にパンチ及びキックのラッシュを決める。相手はガードするのが精いっぱいで反撃をする余裕はない。
【相手はプロ格闘家。しかも、彼は総合格闘技のリングにも上がった事のある現役選手。実力に差があるのは当然だ】
【一方の選手は…格闘経歴なし? これでARデュエルのフィールドに出られるのか?】
【ARデュエルの場合は格闘ゲームの有名プレイヤーも活躍している話もある。格闘経歴なしだけで判断するのは禁物…】
キックボクサーの方よりも、相手の選手へ同情するようなコメントもある。これは相手が悪かったと見るユーザーも少なくはない。
『おっと、これはどうした事か? 闇月弥生が再び立ち上がったのですが、どうやらドクターストップが入るようです』
運営が異例とも言えるドクターストップをかけるようだ。これによって、キックボクサーの勝利が確定した。格闘ゲームとは違い、こちらは生身の人間が戦うと言う点でTKO勝利というルールが実装されている。その後、倒れ込んだ弥生を運ぶ為に医療スタッフと担架が用意されたのだが…。
「私は、まだ戦える―」
弥生の眼は戦意喪失をしているような目ではなかった。しかし、ARデュエルで死者を出す訳にはいかないと判断した運営によってバトルはストップされる事になった。
「前言は撤回してやる。俺のパンチで人を殺したと報道されたら、それこそ気分が悪くなる―」
キックボクサーは、先程の弥生に言った発言を撤回した。格闘家でもない人間が、あれだけのパンチとキックを受けても立っていられると言う事実に衝撃を受けたのだろうか?
「では、次はこの俺が相手をしてやる」
キックボクサーのバトルに乱入してきたのは、何とジークフリートだったのである。予想外とも言える人物の登場に、会場が歓声に包まれた。
「私は―」
弥生は何かを言おうとしていたのだが、途中で意識を失った。その後、弥生は近くの病院ではなくARデュエル専用の医療センターへと運ばれた。運ばれてから数分後、弥生はバトルに負けた事を医者から告げられるのだが、ショックを受けたような表情はしていなかったのだと言う。
ほぼ同時刻、上野のショッピング街ではスカイフリーダムと覆面ファイターのバトルが行われていた。
《ラウンド2 ゲットセット!》
ラウンド1はスカイフリーダムがパーフェクトで勝利し、ラウンド2も同じような流れになると思われていた。
「これは…」
相手側の予想外とも言える行動にスカイフリーダムは驚きを隠せなかった。何と、相手ファイターは急に歌を歌いだしたからである。しかも、超有名アイドルの楽曲を―。
《エラー発生 2Pサイドに超有名アイドルの宣伝行為で強制ログアウト》
スカイフリーダムのバイザーに浮かび上がったエラー文章は予想外とも言える物だった。相手プレイヤーの宣伝行為は反則負けだけではなく、バトルフィールドからの強制ログアウトという処置となった。
「やはり、日本経済は超有名アイドルだけが全てとなっていると言う海外のニュースは現実だったと言う事ね―」
意味ありげな言葉を残し、スカイフリーダムはフィールドを後にした。
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ネット上では、こんなやりとりもあった。内容は一見するとARデュエルとは無関係のように見えるのだが…?
【別の世界線では超有名アイドルのCDを買う事で減税を受けられる法案が出るらしい。購入枚数によっては優遇処置もあるらしいが…】
【それは、つまり超有名アイドルファン以外は―】
【狙いは別の所だろう。超有名アイドルファン以外の勢力が暴動を起こす→超有名アイドルファンが一斉摘発する→摘発現場を大々的に報道する→超有名アイドルが絶対正義である事を証明すると言う流れだろう】
【彼らの狙いは、超有名アイドル商法で金儲けをする事。つまり、利益さえ上がればどんな非合法手段でも取ると言う事だ】
【最終的には国会も買収して超有名アイドルに反対する勢力を社会的に排除する動きもするだろう】
【国会が買収されたとしたら、超有名アイドルファンになる事を義務化、CDチャートでも超有名アイドルの楽曲が初日で日本国民の総人口と同じ数の売り上げ枚数を記録する世界が生まれるのか―】
【それこそ、文字通りの諸悪の根源か―】
【全ては超有名アイドルの栄光を書いたモノリスプレートの導き通りになる…と】
【そこまでになったら、超有名アイドル依存症も本格的だな。超有名アイドル市場独占の流れを世界線同士で情報を共有して、世界を越えた協力体制の流れを完成させる事が急務かもしれない】
【向こうは、地球の全人口を超有名アイドルファンにして戦争のない世界を…と考えているかもしれない。だが、これが意味するのは悪質な人心掌握、力による世界の強行統一、超有名アイドルファンや第3者によるマインドコントロール等を連想させる。そんなのはアイドルではない。『悪魔の所業』という表現が正しい】
【マインドコントロールと言う単語が出てくる地点でアイドル活動を大きく逸脱している。向こうの狙いは超有名アイドルがリアルチートとして絶対王者として君臨する世界だろう。そして、その舞台は現実世界に向けられている】
【既にいくつかの世界線では、テレビ番組には超有名アイドルしか出ない世界が出ているという報告もある。バラエティー番組の演出をめぐって規制法案が通った事で、超有名アイドルだけをメインにした歌番組等が差し替えられた結果だろう】
【おそらくは、この流れも超有名アイドル側には有利に働く情報として活用されている可能性もある。反超有名アイドル派をテロを企てようとした犯罪者集団として追放する為の…】
【まとめると『超有名アイドルに従わない存在は全て排除される』と言う事か。そして、その規模はありとあらゆるものに及ぶ―】
【何処かの神みたいに超有名アイドルの都合に悪い事が起こった場合には、世界の出来事が全てリセットされるのか】
【超有名アイドルの意思こそが絶対で、それ以外は全て排除された世界。これを阻止しなければ、世界は確実に終焉を迎える。今の我々に出来る事は、現実世界に同じ事が及ばないようにする事だ】
この発言の流れは、後に【とある人物】にとっても誤算と言う結果を生み出すきっかけになる。
同日午前11時、秋葉原の電機店が立ち並ぶ通りでは、新人プレイヤーが破竹の20連勝と言う事で盛り上がっていた。
「本来であれば格闘ゲームは、自分の得意なするジャンルではないが―」
ARスーツを着たドラゴンの覆面は当日にARデュエルのエントリーを済ませ、現在20連勝中だったのである。彼がエントリーした理由は…。
「これ以上、超有名アイドルに全てを掌握されてたまるか!」
どうやら、少し前に目撃したモノリスプレートに由来する物らしい。プレートに書かれた記述に疑問を抱いた中で、スカイフリーダムと対戦相手の無効試合を見ていた事も理由の一つだった。
「新人で20連勝だと…所詮、ラッキーで勝ち残っただけのプレイヤーだろ?」
ドラゴンの覆面の前に現れたのは、虎の覆面をした人物である。彼も覆面にスポンサー名として超有名アイドルグループの名前が入った覆面をしている。
「龍虎対決と言いたい所だが、その覆面は見ているだけで―」
超有名アイドルの名前を見て、ドラゴンの覆面の怒りが有頂天になっているようだ。その後、ほぼ瞬殺で虎の覆面は倒される事になる。
《挑戦者、現る!》
虎の覆面が瞬殺された所で、ドラゴンの覆面のバイザーには乱入プレイヤーの登場を知らせるテロップが表示されていた。
「これは物凄い事になったな」
「どちらが勝っても片方の連勝記録がストップするのか…」
「初段対十段か。ランクで見れば十段の瀬川が有利と見るが、どちらも格闘技の経験は全くない。下手をすれば、互角の可能性もある」
「動きとしてはドラゴンの覆面が良い物を持っている。相手の動きをよく見て避けていた所を見ると、動体視力が良いのかもしれない」
「瀬川の方も格闘ゲームでは名前を見かける事がある。もしかすると…」
観客の様子も周囲の空気も、普段のARデュエルとは違う物が流れていた。ドラゴンの覆面の前に現れたのは、ARバイザーをしていないインナースーツ姿の女性プレイヤーの―。
「あなたは本来であれば音楽ゲームのランカーのはず。何故、格闘ゲームに?」
現在は30と連勝記録を伸ばしている瀬川碧が乱入してきたのである。碧としては彼を撃破して皆伝への昇格を狙いたい所である。
「君の噂も聞いている。超有名アイドルに失望したとか―」
ドラゴンの覆面も後には引けない事情があった。似た理由でARデュエルを始めた事も…。
「そうよ。私とあなたは似た者同士。しかし、同じような存在は2人もいらない。それは、あなたも分かっているはず」
そして、瀬川の右目が黒から緑へと変化する。どうやら、瀬川のARバイザーは特殊な物らしい。
「こちらとしては、こういった形で巡りあわない方が良かったのかもしれない。そうすれば、超有名アイドルを打倒できるかもしれなかった」
ドラゴンの覆面も目の色が青に変化する。先程までは黒のように見えたのだが…?
同日午後2時、秋葉原の超有名アイドルの劇場ではCDリリース記念のイベントがあると言う事で長蛇の列が出来ていた。人数的には350人位で、警備員等を含めると400人弱だろうか?
「人数的にはそこそこ…言った所か」
外の様子を2階にあるオーナールームの窓から見ていた伊藤零は、もう少し人数が増えないか…とも考えていた。
「初日のCD売り上げは2500万枚を記録したが、別の世界では初日で1兆ダウンロードや5000万枚の売り上げもザラだったと言う話を聞く」
そして、彼はパソコンでARデュエルのランキング表を確認していた。彼の指示によって超有名アイドルの宣伝行為を勝手に行うファイターは減っていたのだが、それでも余計な事をしてID凍結などの処分を受けるファイターも少なくない。
「やはり、愉快犯の存在を放置するわけにはいかないか。超有名アイドルが諸悪の根源と判断している勢力の存在を放置すれば、日本はバブル崩壊から2度と復活する事は出来なくなるのは確定的に明らか―」
今の現状を黙っている訳にはいかなくなった伊藤は、芸能事務所に再びメールを送信する。内容は、超有名アイドルの宣伝行為を行う愉快犯の正体を突き止める事だった。
「最近ではPC乗っ取りなどで超有名アイドルの劇場を爆破する等の犯行予告が書かれるケースもある。こちらの犯人は警察に見つけてもらうとして、我々は愉快犯の正体を突き止めるか」
オーナールームには、本棚やオーナー用の机、パソコン等の社長室にあるような物も置いてある一方、異彩を放つ物が1つだけあった。それは、西洋風の漆黒の鎧だった。この鎧に付けられた名称は【ナイトメア】…。
「超有名アイドルが全ての世界を自在に操る事の出来る絶対神になるのも時間の問題だ。そして、日本は超有名アイドル国家としての第一歩を―」
伊藤は超有名アイドルが絶対的存在になる事を夢見ている。その為には、超有名アイドルのやり方に反抗的な勢力を社会的に抹殺し、日本国民を全員超有名アイドルファンにしようと考えていた。その考えは、まさに別世界線で何度も繰り返されてきた事と全く変わらない。やはり、歴史は繰り返されるのか…?
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同日午後8時、動画配信サイトにて1つの動画が話題になっていた。その動画には『スカイフリーダム・コンボ集』と言うタイトルが付けられていた。
《ビームサーベル・突撃→ビームサーベル・強攻撃→ブレイブエッジ→ビームライフル・バースト》
動画で流れたシーンは、スカイフリーダムが相手にビームサーベルで突撃後、右手に持ったビームサーベルで相手に対して大きめの斬撃、その直後に両手のビームサーベルで斬撃のラッシュを決め、最後にはビームライフルでフルチャージ砲撃を行う物だった。
【これだけでライフが4割持って行かれるのか】
【スカイフリーダムはスピード系に該当する。これがパワー系のファイターだったら、6割~7割は持って行かれるだろう】
【スカイフリーダムは格ゲーで言うコンボと言う物を活用していないように思える。格闘家出身のファイターは活用していない場合が多いが、格ゲー出身者は別の格ゲーで使われているようなコンボや必殺技も扱うようだが―】
【どちらにしても、スカイフリーダムを倒す為にはコンボ研究等も必要と言う事か…。まさか、ARデュエルでは格ゲーでの研究方法が役に立つとは予想外だな】
この動画を見た視聴者からは、こんな意見もあった。他にもスカイフリーダムのコンボには多種多様のコンボが存在するが、その中でも極め付けなのが…。
《ビームサーベル・斬撃→ダブルスラッシュ→エクシアブレード→ビームライフル・バースト》
次に流れたコンボは、ビームサーベルの通常斬撃→二刀流ビームサーベルによる斬撃必殺技→合体ビームサーベルによる超必殺技→ビームライフルと言うコンボである。
【超必殺技も入って7割強確定のコンボか】
【ここまでコンボが入るケースはレアケースか…】
【7割と書いてあるが、相手の体格等によっては10割もあり得るんだろう?】
ここで言う10割とはライフゲージ10割を奪う…つまり、コンボが確定した時には相手はKOしている事になる。
【ARデュエルで10割コンボ自体は見た事がない。上手い具合にバランス調整がされていると思う】
【神調整と言った所か?】
【プロ格闘家と格闘ゲーマーでは、それぞれに長所と短所がある。それを考えてのバランスだろう】
検証動画としては、このような物もあった。タイトルは『プロ格闘家とその他ゲーマー出身者の能力比較』と言う物だった。
【なるほど。こういう検証動画もあるのか】
【確かに、パワーでは格闘家が有利になる。その一方で、格闘ゲーム的な要素は格闘家にとっては不利か】
【逆に格闘ゲーム独特のシステム等はゲーマー出身者には有利な一方、実際の体力には問題を抱えるプレイヤーが多い】
【打たれ強さはARスーツでフォローされているが、スタミナはどうしようもない】
【しかし、全てのゲーマーが体力に問題を抱えているというのは間違っているな】
【スタミナも必要な音楽ゲームという例もあるから、全てのゲーマーが体力がないと考えると痛い目を見そうだ】
動画に流れているコメントには検証内容に肯定する意見もあれば、若干の疑問を持つコメントも少なくはない。
一方で西雲は、自宅でアカシックレコードの解析を急いでいたのである。今のままでは超有名アイドルファンが暴挙を起こし、やがてはテロ行為に及ぶかもしれない…と。
「このままでは、超有名アイドルが日本を掌握するシナリオしか見えなくなる―」
モノリスプレートには疑問点が多い…と言う事はネット上でも言われており、そんな中でアカシックレコードの解析を急ぐ。
【超有名アイドルの意思こそが絶対で、それ以外は全て排除された世界。これを阻止しなければ、世界は確実に終焉を迎える。今の我々に出来る事は、現実世界に同じ事が及ばないようにする事だ】
西雲は、つぶやきサイトの発言の一つを見ていた。そして、何としてもモノリスプレートのシナリオ通りに事を進める訳にはいかない…と。
超有名アイドルに従わない存在は排除される世界。
他のジャンルで起こっている炎上騒動は全て超有名アイドルファンが他ジャンルを排除する為に行っている物…とネット上では認識されている。
つまり、超有名アイドルはありとあらゆる非合法手段を持って全世界超有名アイドルファン化計画を動かしていると言っても過言ではない。
武力行動を起こさない代わりに、それ以外の手段で他ジャンルを自分達の都合の良い状態及び超有名アイドルなしでは存在できない状態にする事。
それは、いつしか他ジャンル全てを代償として【超有名アイドルだけが無限の利益を生む為の賢者の石】を生み出す流れとなっていく。
「やはり、超有名アイドル商法が賢者の石という事は事実だったのか。しかし、これを砕く為の手段が見つからない」
西雲は悩んでいた。超有名アイドル商法は、元々は別の商法ではあったのだが、超有名アイドルが乱用した結果、いつしか賢者の石と呼ばれるようになった。
《WL・MIB:賢者の石を利用してアイドルに無敵の力を与え、更には自分自身も無敵の力で永遠の世界を生き、超有名アイドル商法のライセンスを永遠の物にする事―》
《WL・MIB:彼は地球上だけではなく、全銀河、全世界における億万長者の頂点として永遠に祭り上げられる事を望んでいるのかもしれない。そんな事は絶対にあってはならない。法律の盲点を突いた犯罪等は多々あるが、今回の件に関しては見過ごす事は到底できないだろう》
気が付くと、西雲はアカシックレコードを記したサイトを閲覧していた。そこには、超有名アイドル商法が賢者の石として存在する世界ではなく、超有名アイドルに神以上の力を与え、永遠の存在として全ての世界に手を伸ばそうとしている事が記されていた。
「WLは世界線を表す単語、MIBは―」
そして、彼はアカシックレコードを調べていく内に驚愕の事実を知る事になった。
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4月3日午前9時30分、竜宮がいつものゲーセンに姿を見せた。開店は10時の為、シャッターは閉まっているのだが…ARデュエル用のモニターの方は外に置かれた状態で稼働している。
「デュエルの開始は10時からだが、データを調べて―」
竜宮がARブレスを認識させると、そこには予想もしないテキストが現れたのである。
「ARデュエルに対して宣戦布告だと?」
同刻、北千住にあるARデュエルモニターで同じテキストを見て驚いていたのは瀬川だった。
「超有名アイドルが遂に動き出した。彼らが架空の世界であるARデュエルに介入する理由は…」
瀬川には思い当たる節はない。ただ、超有名アイドルの所属する芸能事務所の株価が最近になって急上昇し、1株1京円にまで上昇している事実と関係あるのだろうか?
同刻、上野公園にあるARデュエルのアンテナショップでも…。
「おいおい、ARデュエルも超有名アイドルに買収されるのか?」
「株価が1京円にまでなっているからな。ある程度の株を売って、それを資金源に買収を仕掛ける気配だろう」
「遂に超有名アイドルによる全世界征服が現実味を…」
アンテナショップでモニターを見ていたギャラリーも衝撃を隠せないでいた。
「予定より早い? もしかすると、芸能事務所側でもアカシックレコードを解読している勢力がいるのか?」
ギャラリーの驚く様子を外から見ていた西雲は、まさかの展開に自分も驚きを隠せないでいた。先手を打たれたのか、それとも…。
同日午前9時35分、ニュース番組で何かの記者会見が流れ出した。
『皆さんもご存じでしょうが、超有名アイドルは今までにも日本経済をバブル崩壊の危機などから何度も救って来ました―』
記者会見は秋葉原…つまり、超有名アイドルの劇場で行われていた。会見に姿を見せているのは、伊藤1人である。それを記者達が囲み取材を行い、臨時の記者会見を始めていた。
『今回も、それに匹敵する不景気が襲いかかろうとしています。これを突破する為には、日本が一つになるべきなのです。それには皆様の協力も必要です! 儲かる儲からないという物差しでしか物を見る事の出来ない愚かな争いを続ける事は、日本の為にはなりません』
【この会見内容、何処かで見覚えがあるな】
【全文を見て見ない事には比較出来ないが、調べてみよう】
伊藤の会見を聞いた一部のネット住民が何かを調べ始めていた。それと同時に西雲も演説内容に不信感を抱き、ショップにあるパソコンでアカシックレコードサイトにアクセスをしていた。
『過去にはラクシュミというアイドルグループによる不正な商法、更にはハンターズプロ等による政治家買収事件もありました。これは半年前に起こったことであり、記憶に新しいと思うでしょう―』
『それ以外にも、週刊誌やマスコミでも報道されている超有名アイドル候補生によるファン買収、CDチャート水増し、CD購入を持ちかける振り込め詐欺―。音楽業界と芸能界は闇の時代を迎えました』
『しかし、我々は違います。超有名アイドル事業による景気回復、産業革命、世界規模の一大コンテンツ、更には銀河規模での新規事業開拓―それらを約束いたします!』
伊藤の会見は続く。その他にも自分達のCDが不正な商法で水増ししているのでは…と記者に質問をされたが、それに関しては事実ではないと否定している。
【ビンゴだ。あの会見の冒頭は別の世界線で松永久秀という人物が行ったビデオ会見と内容が酷似している】
【別の世界線で使用された会見内容を利用するとは…。ますます超有名アイドルが全ての世界を制圧しようとしている証拠なのか?】
【超有名アイドル占有率のようなグラフがあれば分かりやすいのだが、そう言った物を安易に作らないのがアカシックレコードサイトのルールみたいな物だからな】
【何としても阻止しなければ、手遅れになる。その前に超有名アイドル規制法案を―】
【規制法案は無意味だろう。政治家も買収されていた場合、超有名アイドル以外規制法案になりかねない】
【結局、規制法案で縛るのではなく、個人のマナーやモラル等に委ねられるのか。他の世界線でも言われているように】
記者会見の内容が別の世界線で行われた松永久秀の会見と酷似していると見破る一幕はあったが、それを記者達が追求するような気配は全くなかった。それこそ、伊藤に踊らされているかのように…。
同日午前10時、秋葉原には例によってアナウンスが流れる。
『まもなく、ARデュエルが行われます―』
しかし、今回に限ってはARデュエルに参加しようと言うプレイヤーは少ないように見えた。ARデュエル自体、プレイ人口が他のゲームよりも少ないという事実はあるのだが…?
「ジークフリートは健在か。他の格闘家も例の記者会見を聞いて撤退するようになってしまうのか?」
上野公園のARデュエルのアンテナショップで見ているギャラリーが何かに対して懸念を持っていた。それは、伊藤が行った例の記者会見である。
「ネット上では、ARデュエルを買収して新しいコンテンツにするという主旨の発言があったと言う事だが、それは超有名アイドルの広告塔としてARデュエルを作り替える事を意味しているのでは…」
「それは考え過ぎだろう。確かに伊藤の発言した事を要約すると『超有名アイドルファンの為のARデュエルに作り替える』と言われてもおかしくはないが」
「おそらく、発言自体は超有名アイドル反対派にテロ行為を起こさせる為の餌だろう。最終的には超有名アイドルファンが増やす事の出来ないコンテンツは排除する流れになるに違いない」
「何時から日本は超有名アイドルの力押しをするような国になってしまったのか―」
周囲からは、伊藤の発言が日本が『超有名アイドル大国』と思わせるような流れを生んだ事で、超有名アイドルが消滅した時には海外コンテンツ勢に日本が制圧されてしまうのでは…という懸念もあった。この懸念も他の世界線で言及されていた物である。
《だが、ネットに出回っている情報だけが真実とは限らない。中には偽りの情報も混ざっている。そして、この世界ではアカシックレコードの技術に代表される情報は大金を出してでも入手し、それを実体化させようと努力する企業も現れる》
《企業の中には超有名アイドルを有する芸能事務所と契約、超有名アイドルにだけ有利になるようなガジェットを作り出し、日本支配を企んでいるという噂もある。そういった状況を打開する為に動き出している勢力もあると言う噂だ》
西雲は周囲の発言を聞いている内に、ドラゴンの覆面が話していた事を思い出していた。
「アカシックレコード、改めて調べてみるか―」
そして、リュックサックから別のノートパソコンを取り出し、アカシックレコードへアクセスを開始した。
「そう言えば、あの発言が気になるが…?」
アカシックレコードへアクセスして数分後、新規の発言として何かが引っかかったのである。
【WL・ARD:他の世界線では、超有名アイドルがその他のジャンルを追放する為に日本の法律を悪用、ある意味で合法的手段で全て排除し、超有名アイドルのファンになるのを法律で義務化しようとした世界線も存在する。それだけ、超有名アイドルが賢者の石と同じ存在になったと言う証拠だろう】
西雲が発見した発言は、ドラゴンの覆面が話をしていた事の一部だった。何故、この発言がアカシックレコードに登録されているのか…若干の疑問を持っていた。
「もしかして、アカシックレコードの正体は―」
何かに気付いた頃には、アンテナショップを後にして秋葉原へと電車で向かっていた。
【WL・ARD:いずれ、超有名アイドルが人を破滅させる存在になる時が来る。それを止めなければ、日本だけではなく地球や他の世界にも悪影響を及ぼす。この世界でも、政府が超有名アイドルに買収されていると言う証拠さえつかめれば―】
その一方、竜宮はARブレスでアカシックレコードサイトへアクセスし、ある発言を見つけて衝撃を受けていた。自分以外にも同じような考えを持っている人物がいたと言う事に。
「証拠か…。週刊誌や大手サイトのニュース記事等では超有名アイドルファンも見ている以上、当てにならないだろう。もっと別のサイトを―」
そんな竜宮が見つけたのは、別の世界線から書きこまれたような謎の発言だった。
【WL・PS:やはり、この世界線でも同じような事が行われていたみたいだね。政治家も運営資金欲しさに超有名アイドルを利用した結果、逆に超有名アイドルに利用された。自業自得と言えるかもしれない】
【WL・PS:人は失敗を糧にして、やがては成功を掴もうと努力する。しかし、それさえも許さず成功のみを求めた結果、彼らは賢者の意思を生み出した】
【WL・PS:更には確立さえも操作し、超有名アイドルのみ確実に成功、それ以外は失敗するというシステムを生み出して、無限の利益を生み出す。それが、彼らの最終目的だろう】
【WL・PS:別のアカシックレコードを調べて見て分かったよ。本当の意味で諸悪の根源と言える存在は、虎の覆面をした人物である事が…】
PSという単語の意味は分からなかったが、別の世界線からの介入だろうか。チャットと言うよりは一方通行みたいな発言状態になっている。
【WL・ARD:虎の覆面、調べてみる事にするわ。ありがとう】
【WL・PS:僕も他の世界線を調べて、何か分かったらアカシックレコードにメモを残しておくよ】
最後の文章だけは、何故か一方通行ではないように見えた。先行入力か何かだろうか?
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同日、午前10時30分、竜宮のいるゲーセンにジークフリートが現れた。先程まで静かだったギャラリーも、一気にヒートアップしている。
「少し話がしたい」
ジークフリートは竜宮に用事があったようだ。そして、2人は近くファストフード店へ向かった。
「まさか、ジークフリートがゲーセンに現れるとは―」
「ARデュエルのエントリーは基本的に加盟店でしか行えない。ネット上でも行える事は行えるが、最終的には加盟店でICカードのデータを登録する必要がある」
「つまり、ジークフリートがゲーセンに現れた位で騒ぎ過ぎと言う事か」
一部のギャラリーがジークフリートが現れた事について話をしていたが、その話をしている頃には2人はゲーセンから出ていたのである。
「話と言うのは、例の覆面軍団の事か―」
竜宮がコーヒーを口にしながら話す。彼の目の前には、フライドポテト、ミニサイズピザ、ハンバーガー等が置かれている。
「自分はアイドルの事についてはさっぱり分からない。そして、最近になって覆面ファイター以外が乱入してくる気配も見せないが、何がどうなっている?」
ジークフリートもコーラを片手に事情を話している。彼の目の前は中華サラダ風サンドウィッチと焼きそばパンが置かれている。
「確かに、自分は覆面集団が活動を活発にした事情も知っている。しかし、それを知って何をしようとしている?」
コーヒーを飲みほし、ピザに手を付けた状態で外の光景を見ている竜宮は何かを考えていた。
「まさか、超有名アイドルファンを力でねじ伏せるとか…そんな事は考えてないだろうな?」
図星だった。竜宮にはお見通しだった…と言う事だろうか。そして、ジークフリートは話を改めて切り出した。
「あの覆面集団を追いだすだけでも構わない。その為に協力をして欲しい―」
ジークフリートが頭を下げて竜宮に頼み込んだ。ARデュエルを守る為にも、安易な宣伝活動で試合を妨害する彼らの行動が許せなくなってきていた。その怒りは、相手選手を必要以上に殴り飛ばしたい程にまで上昇している。これ以上、そんな状態でARデュエルを続ければ、再起不能者を増やしかねない。そう、彼は考えていた。
「顔をあげて下さい。確かに超有名アイドルのファンがやっている事は、ARデュエルのレギュレーションにも違反している。それに関しては既に報告済みです。しかし、問題なのは―」
竜宮はレギュレーション違反をしているプレイヤーに関しては報告済みとした上で、ジークフリートにとある提案をした。
【日本の景気が超有名アイドルのCD売り上げに左右される世界…それは何としても阻止したい】
【しかし、力でねじ伏せるやり方は超有名アイドルと何ら変わり映えがしない。仮に武力等を使った場合、超有名アイドル側がチャンスとばかりに動きだすのは明白だ】
【それこそ、超有名アイドル以外のコンテンツがない世界になるのか。そして、利益優先型アイドルが増えた結果、海外勢に吸収合併される運命をたどるのか】
【超有名アイドルに主人公補正があるという疑惑もあるらしい。他の世界線でも実際に超有名アイドルが主人公だったが、別勢力が勝利したと言う世界があると言う話だ】
【主人公ならば何をしても問題はないとでも言いたいのか、超有名アイドルのファンは…】
ネット上のつぶやきは、超有名アイドルに反旗を翻すような発言が目立ち始め、『超有名アイドルは神』というような発言がかき消される位の勢いになった。
同日、午前11時30分、丸の内のオフィス街では予想外の展開が起きていたのである。
「何だ、アレは…」
「何かの工事もしているのだろうか?」
周囲のビジネスマンも工事をしている光景を見て、不思議な表情をしている人が多い。今回の工事はARデュエルのシステムを増やす為の物らしい。
【丸の内で工事中。何を設置しているのか回答求む。 っ《URL省略》】
あるビジネスマンがその様子を写真で撮って、つぶやきサイトへと流す。すると、予想以上に素早い反応が来たのである。
【ARデュエルが丸の内でもできるのか?】
【丸の内はモニターだけでデュエル自体はできないはずだが…】
【公式ホームページには何も書かれていない。ひょっとするとロケテストの類かもしれない】
【ゲリラロケテか。何処かに設置されていた物を移動したとか―】
ゲリラロケテ説等もあったが、どうやらARデュエル用の筐体である事が判明した。そんな中で動きがあった。
「我々は超有名アイドルが神となる世界を実現させる為に、ARデュエルプレイヤーを全て倒す!」
丸の内に突如現れたのは、カイザーと言う名前の覆面ファイターだった。どうやら、超有名アイドルサイドが公式と認めたタイアップファイターらしい。
「あなたに、この私が倒せるかしら?」
カイザーの前に現れたのは、破竹とも言える10連勝を記録していた闇月弥生だった。あの敗北から努力を重ね、ジークフリートの試合動画を見ていく内にARデュエルに慣れていき、気がついてみると5連敗からの10連勝を記録していたのである。
《ラウンド1 ゲットセット》
先手とも言えるファーストアタックを取ったのは、弥生の方だった。カイザーに対し、突撃をしてきた際に放った裏拳のカウンターがヒットした格好だ。
「ファーストアタックを決めた所で、勝敗が決まる訳ではない!」
カイザーの放ったマッハパンチが弥生を直撃し、数メートル先まで吹き飛ばされた。これは単純にカイザーが格闘技経験を持っているだけではなく、別の何かで弥生が吹き飛ばされたのだが…?
「超有名アイドルこそ、絶対王者。彼女達に従う事こそが、日本経済にとっても栄光の日々となるのだ!」
吹き飛ばされた弥生に対し、容赦のないパンチの連打がさく裂する。弥生の方もガードはしているものの、ガードを貫通してゲージが削られているという状態である。
「我々の目的を妨害しようとする者は、全て抹殺する!」
止めの一撃とも言えるアッパーカットが決まると、弥生はそのまま倒れ込んだ。
《ウィナー カイザー》
【何てパワーの持ち主だ】
【データによると、プロ格闘家クラスの能力を持っているらしいな】
【まさか、プロ格闘家でもないのにプロ格闘家クラスのパワーを持っているとは…】
【何か、違法なチップでも搭載されているのか?】
果たして、カイザーの狙いとは一体…?