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チュートリアル-Tutorial-

※この作品はフィクションです。地名は一部が実名になっておりますが、実在の人物や団体等とは一切関係ありません。一部でノンフィクションでは…と突っ込まれる要素もあるかもしれませんが、この作品におけるフィクション扱いでお願いします。


※コメントに関しては『ほんわかレス推奨』でお願いします。それ以外には実在の人物や団体の名前を出したり、小説とは無関係のコメント等はご遠慮ください。


※小説家になろうへ投稿するにあたって、各話にエキサイト翻訳の英文を追加しております。


※一部演出等の関係上、小説家へなろうではR12指定にしています。

君達はアカシックレコードと言う物をご存じだろうか?


この世界では『複数の世界線で起きた出来事を記したサイト』と言う意味で使われている。実際のアカシックレコードに関しては、ネットで調べて見ればどんなものか分かるはずだろう。


その一方で、この世界にはモノリスプレートという謎の物体が存在している。主だったものは、秋葉原のとある劇場前に置かれているのだが…どうも、このモノリスプレートの記述をめぐってネットで論争になっているらしい。


この物語はモノリスプレートの記述を信じ、超有名アイドルを唯一神にしようと考えていた人物を止める為に動き出した若者たちの物語である。


そして、この世界線も別の世界におけるアカシックレコードに記され、そこで新たな火種を生む事になる事は想像に難くない。


繰り返される超有名アイドルの唯一神にしようとする動き、それを止められる者は現れるのか…?


#####


西暦2014年4月1日午前10時、日本・秋葉原某所…。

「やっぱり、向こうでも同じ事の繰り返しがあるのか…。失敗は成功の母と言われた時代は、既に風化してしまっているのか―」

秋葉原駅より徒歩で2分位の所にある、超有名アイドルの劇場では1人の男性が劇場前に建てられたプレートを見て思った。

「過去のアイドルが起こした商法での失敗を生かし、新たなスタートを切るとばかり思っていた。しかし、現実は非情で―」

身長170センチ、セミロングの髪型に帽子を被っている男性、西雲和人にしぐも・かずとはモノリスプレートと言う目の前にある存在を否定していたのである。


モノリスプレートとは、何者かが超有名アイドルがこれからの日本経済を導く存在だ…と言う事を色々と書き記した物である。どのような経緯で現れたかは謎となっているが、確かな事は超有名アイドルを英雄視する組織が劇場前に建てた人工物である事だけ。

「モノリス自体は異世界を連想するが、これには異世界からの物質で作られたような痕跡はない。では、一体何の為に作られたのか」

色々と思う事はあったのだが、西雲は他の用事もある為に劇場を後にした。


その西雲が劇場を後にした辺りで、もう一人の人物がプレートを眺めていた。


身長167センチ、3サイズは推定で90、60、88。赤のロングヘア、服装は軽装気味のへそ出しルック。しかし、肌が露出している訳ではなく黒のインナースーツを下着代わりに来ていると言う気配だろうか。

《超有名アイドルこそ、日本経済を救う唯一の存在。他のアイドルでは一時的な経済回復は見込めても、1年後に同じ勢いが保てるかどうか疑問に残る》

《全ての産業が超有名アイドルブランドを売れば、1年弱で1京円以上の利益が見込めるだろう》

《超有名アイドル商法こそ、日本が誇る一大成長分野であり、海外にも真似する事が出来ない商法である》

他にも色々と書かれて入るのだが文字が解読できない物、意図的に文字が伏せられている物が存在している為に読める範囲としては、この3つだけになる。

「超有名アイドル…それこそ、日本を救う救世主! 自分は超有名アイドルになる!」

周囲の視線を気にすることなく、彼女は叫んだ。そして、彼女も何処かへと用事があるらしく、姿を消してしまった。


『まもなく、ARデュエルが行われます―』

秋葉原周囲に響くような音量のアナウンスがされると、歩行者天国ではない道路も一時的に通行止めとなった。そして、次の瞬間には通行止めになったエリアにギャラリーが集まってきた。

「さて、俺の相手は誰だ?」

通行止めになった東側エリアから現れたのは、身長180センチ、白髪交じり、目は青だが日本人の男性である。彼の出現と同時に、会場となったエリアでは歓声が上がる。

「お前が有名格闘家だったのは、既に過去の話。この俺が貴様を倒してやる!」

西側エリアから現れたもう一人の人物は、スポンサーの名前が書かれている覆面をした格闘家だった。マスクの形状はライオンを連想させるのだが、スポンサー名がある為に見た目がシュールなのが欠点か。


「あれはジークフリートじゃないのか?」

観客の一人が、東エリアから現れた人物がジークフリートではないかと指摘する。

(ジークと言えば、格闘技界では有名な人物。それほどの人物が、ストリートファイトに転向したのか?)

西雲は少し人混みから離れた場所から観戦をしていた。本来であれば、別の目的があったはずだが…それをすっかり忘れている様子である。

「このカードは非常に見物だな―」

別の男性がファストフード店で買ってきたコーヒーを片手に西雲の隣に現れた。コーヒーを片手に持っている割には、顔はドラゴンの覆面をしており、何処から飲むのか想像がつかない。覆面を外して飲むと言うのだろうか?

「これは一体なんですか?」

西雲は隣の人物に尋ねる。ストリートファイトであれば警察が出てきて止めるような展開になるのだが、警察が現れる様子もなければ自警団が出てくる様子でもない。公認のイベントか何かだろうか?

「これはARデュエル…簡単に言えば、拡張現実を利用した次世代の格闘ゲームと言った所か?」

ドラゴンの覆面は西雲にある物を手渡した。見た目はサングラスのように見えるのだが、西雲は疑問を抱きつつもサングラスをかける。

「これは…!?」

彼の目の前に広がっていたのは、予想もしないような空間だったのである。ジークフリートの方は何も変化はないが、変化していたのは相手の覆面ファイターである。


『いよいよ、世紀の一戦が始まろうとしています―』

西雲の耳元で何やら実況のアナウンサーらしき男性の声が聞こえる。ヘッドフォンは付けていないはずだが…?

「この実況は?」

西雲はドラゴンの覆面に尋ねると【ARデュエルのオプションで実況をオンにしてある為、実況が流れる】らしい。オフにすると実況の声は聞こえなくなっていた。

「ネットで広く知られている拡張現実等とは違いますね」

ARの画像を見て、西雲はスパッと言い切った。確かに、相手の覆面ファイターの鎧はAR用サングラス越しではないと見る事は出来ない。しかし、本来のARとは若干程遠い印象が西雲にはあった。


「だが、ネットに出回っている情報だけが真実とは限らない。中には偽りの情報も混ざっている。そして、この世界ではアカシックレコードの技術に代表される情報は大金を出してでも入手し、それを実体化させようと努力する企業も現れる」

ドラゴンの覆面が話している間に、試合の方は始まっていた。【ラウンド1】と言っていたが…?

「企業の中には超有名アイドルを有する芸能事務所と契約、超有名アイドルにだけ有利になるようなガジェットを作り出し、日本支配を企んでいるという噂もある。そういった状況を打開する為に動き出している勢力もあると言う噂だ」

彼は話し続けていた。アカシックレコードの取り扱い方、超有名アイドルが地球だけではなく全世界を超有名アイドルが完全無敵となる世界を創造しようとしている事、その他にも色々と…。

「他の世界線では、超有名アイドルがその他のジャンルを追放する為に日本の法律を悪用、ある意味で合法的手段で全て排除し、超有名アイドルのファンになるのを法律で義務化しようとした世界線も存在する。それだけ、超有名アイドルが賢者の石と同じ存在になったと言う証拠だろう」

西雲にはドラゴンの覆面が話している事に関して『電波じゃないのか?』と疑問を持っていた。そんな状況の中で試合の方は動き出し、ジークフリートのワンマンゲームになりつつあった。覆面ファイターは完全に押され気味である。

「超有名アイドルは過去の遺産を改良、容易に金を生み出す事が出来る一種のシステムにしたものであり、音楽業界を導く存在ではない。ネット上では、そう言った動きが活発になっている。彼らが行っている事は、国内だけで金の動きを活発にさせて経済成長をさせているように見せかけているだけだ。そんな事を続ければ、次第に日本経済は壊滅的なダメージを受ける」

彼の話は続いているが、その間にも覆面ファイターの鎧がジークフリートのパンチで粉々に砕け散っていた。AR専用のサングラスなどを付けていない観客にとっては鎧を見る事は出来ないが、それでも観客には何かが分かっているような気配である。イメージによるものだろうか?


『ジークフリート得意のパンチコンボがさく裂! 見事に相手をKO―』

ドラゴンの覆面が話している事に集中していた為か、試合の方を見逃していた。実況によると、ジークフリートが勝利したらしい。

「普通の格闘技ではダウンでカウントを取るはずなのに」

西雲が再び疑問をドラゴンの覆面にぶつけるが、彼が答える前にシステムナレーションが流れる。

《ラウンド2 ゲットセット!》

相手がダウンしたと思ったら、すぐにラウンド2が始まった事に違和感を持った。このシステムは、もしかすると…。

「言い忘れていたが、ARデュエルは格闘技ではない。あくまでも『格闘ゲーム』だ」

ドラゴンの覆面の一言を聞いて、西雲は思わず目を疑った。格闘ゲームと言うと、作品によっては必殺技の演出が凄かったり、更には超必殺技に至っては―。

「あの、本当に格闘技ではなく格闘ゲームなんですか?」

「間違いない。このパンフレットにも格闘ゲームと具体的に書いてあるからな」

ドラゴンの覆面は西雲の疑問も一理ある…と言う事で、彼に1冊のパンフレットを渡した。そこには、はっきりと表紙に『次世代AR対応対戦格闘ゲーム』とジャンル名として書かれている。

「近年のARゲームブームに沸き、遂には対戦格闘ゲームでもARを実装し始めた。ジョイスティックを使うタイプでARを使った物もあるが、これは実際にプレイヤーがファイターとなって戦うタイプの物になっている」

再びドラゴンの覆面が語り始めるが、西雲はパンフレットの方をチェックしている。


《ウィナー ジークフリート》

西雲がパンフレットに集中している内に試合は終わり、ジークフリートの勝利となった。

「実力がなってない。最近のARファイターは、ここまで弱くなったのか?」

ジークフリートの一言にカチンと来た覆面ファイターが、彼に殴りかかろうと突進してきたのだが―。


「馬鹿な…片手で受け止めたのか?」

覆面ファイターの前に現れたのは、身長170センチ、青をメインとしたカラーのパワードスーツで、見た目はSFと言うよりはミリタリーに近いデザインをしている。

「敗者は早々にステージを去りなさい」

声からして女性である。バイザーの色が濃い関係で顔を確認出来ないが、声のトーン等で彼女が覆面ファイターに対して怒っているのは確かである。

「貴様、スカイフリーダムだな? この俺の勝負を受けないか―」

覆面ファイターは、目の前にいる人物をスカイフリーダムと言った。彼女のコードネームか何かだろうか?

「あなたのような下位ランクファイターには、私と戦う権利は与えられない。ARデュエルは、あくまでも同ランクか1ランク差までのバトルしか認められない―」

スカイフリーダムは覆面ファイターに忠告のような物をした。そして、何かに気付いて自分の腕に装着されている端末を確認する。

「馬鹿な…。既に3ランクも差がついているだと?」

覆面ファイターは負け惜しみ気味の言葉を残し、その場を立ち去った。一体、どういう事だろうか?


「通常の格闘ゲームではランクに関しては実力を知る為の目安に過ぎないが、ARデュエルでは実際にスーツを着てファイトをするという関係もあってランク差マッチを申し込む事は出来ない。例外は、全国大会のような大規模大会だが―」

今の状況を見ていたドラゴンの覆面が西雲に解説をする。

「実際の格闘技と格闘ゲームのいい所を取ったような物なんですね」

西雲の一言を聞いて、ドラゴンの覆面も言い返す事は出来ない。ARデュエルの作られた背景には、格闘技ブームが衰退した事、ここ最近で格闘ゲームのブームが起きている事が理由のひとつだからだ。

「気になるようであれば、そのパンフレットは君に譲ろう―」

そして、ドラゴンの覆面はこの場から去っていった。結局、コーヒーには手を付けていない。後から飲むにしても、コーヒーは冷めている可能性もあるが…。


###


4月1日午後1時、秋葉原のゲームセンター内。

「相変わらず強いな、スカイフリーダム。もうすぐ、段位を超えて皆伝か?」

「それよりも、あの覆面集団は一体何者なんだ?」

「噂では日本の全産業を超有名アイドルで独占させる事だったと思うが、具体的な事は分からない」

「他の世界線では、超有名アイドルが唯一の神になろうという世界もあったらしい。そんな世界になったら、日本は海外コンテンツ勢に敗北するのは確定的に明らかだろう」

「超有名アイドルが何とかの一つ覚えみたいに力押しで来ると言うのであれば、それに対抗出来る新たなコンテンツを作り出す事が急務か…」

ARデュエルの模様は、ゲームセンター内に設置された専用モニターやネット上の動画サイト等でもチェックする事が出来る。格闘技の興行と違うのは、この辺りだろうか?


「ARデュエル…正直言って、ここまで広まっているとは予想外だったと言うべきか」

別のゲーム用の待ち席でパンフレットを読む西雲。体感型ゲームや実際の格闘技とも違う存在に対し、彼は困惑をしていた。

「アカシックレコードによれば、ARを利用したゲームは多くの世界で取り入れられている。それほどまでにARを取り入れようとする目的は…?」

パンフレットを読んでもさっぱりである。結局、自分の番が来たのでARデュエルに関しては後回しでゲームに集中する事にした。

「ARが急激に広まりを見せるのも何かの前触れなのか?」

彼は再び自問自答する。ARがこの世界に広まっている理由と、他の世界にも存在するAR…それが何を意味しているのかを。

「ドラゴンの覆面が言っていた事が事実ならば、日本が超有名アイドルの独裁国家になると言う世界は現実世界でも避けられないように聞こえる…」

しばらくして、西雲はスマートフォンを取り出し、ネット上で情報を探す事にした。


同刻、西雲がいたゲームセンターの3つ隣にある電機店。店舗内では家電やゲーム等を販売している一方、店頭では珍しい機械を販売していた。

「いらっしゃいませ。ただいま、ARデュエル専用のARブレスとバイザーがセットでお買い得となっています―」

電機店の名前が入った法被を着ている男性店員が新商品のPRではなく、スマートフォンにベルトを付けたような形状をした端末のARブレスを優先的に宣伝をしている。ちなみに、ARブレスがなければARデュエルに参加する事は出来ない。ブレス以外は専門店でレンタルも可能だが、ブレスのみは機能的な都合で販売のみとなっている。

「これが、ARブレス?」

へそ出しルックの女性が店頭に展示されているスマートフォンを指さす。すると、店員が商品についての説明を始めた。


ARブレス、それは格闘ゲームにおけるICカードに該当する物で、ARデュエルには必要不可欠の物である。このブレスには、通信機能だけでなく、お財布機能やGPS、スマートフォンも顔負けの機能が搭載されている。初期の相場は2万円以上だったが、転売屋等が横行した影響でメーカーが一気に値下げすると発表し、13000円にまでなったのである。

「―当時はお高い商品でしたが、今ではお手頃価格で手に入れる事も可能になっております。ARデュエルを始めるのであれば購入して損はないはず」

男性店員の話を聞いて、彼女は即決でバイザーセットを購入する事にした。そのお値段は税込25800円である。

「では、こちらの書類に必要事項を―」

男性店員から渡されたのは、住所、氏名、電話番号と言った必要事項を書く書類である。スマートフォンの機能も持っている事や転売防止のために記入する為の物らしい。それでも転売を100%防げるかと言うと…絶対という保証はどこにもない。


「ブレスとバイザー以外に買う必要のある物は?」

ブレスを購入した女性、闇月弥生やみづき・やよいが店員に尋ねる。すると、店員からは意外な答えが返ってきた。

「特に必要なものではないですが、このお店の前にコスチューム店があります。そこでARスーツを購入する事も可能です。後は、向こうのお店で問い合わせるのも良いでしょう」

彼は目の前にあるコスチューム店を訪ねる事を勧め、西雲が持っている物と同じパンフレットとARデュエルのICカードを渡された。

「このカードは?」

弥生もカードの方に関心が向いている。店員によると、ブレスにカード挿入口があり、そこに入れるカードだと言う。

「すぐにARデュエルを始めるのであれば、3つ隣にゲームセンターがあります。そこでカードの認証を行えば、エントリー完了になります。個人的にはARスーツなしでは非常に危険なので、スーツの購入も勧めておりますが―」

店員がスーツなしよりもスーツありの方が良いと言う為、弥生は電機店の前にあるコスチューム店へ向かう事にした。


同日午後1時30分、電機店前にあるコスチューム店。

「いらっしゃいませ。ARデュエル専用のARスーツが、今ならお買い得価格で販売中です」

先程の電機店と同じパターンの宣伝である。今度は何処かの作品に出てくる魔法少女姿で売り子をしている。お疲れ様と言うべきだろうか?

「このスーツは、いくら位の物に―」

弥生が尋ねると店員は別のチラシを見せる。どうやら値段表らしい。安い物で5000円、高い物は5万円以上と言う物もある。

「基本デザインによって値段は異なりますが、性能に関しては全く同じ物になっています」

店員の説明によるとスーツのセットによって値段は異なるが、性能に関しては全く同じらしい。どういう事なのか、先程のパンフレットを確認してみると…。

【スーツの基本性能等はARデュエルの性質上、全て同じに統一されている。高いスーツが高性能であると言うRPG等で良くあるような認識をされる事を防ぐ為である】

どうやら、重度の課金等を防ぐ為の処置らしい。一時期にアイテム課金で問題なった事もあって、それにARデュエルも対応したような形らしい。

「スーツのデザインに関してはARで設定出来ますので、こちらではベースとなるスーツのみを販売している形になります」

ベースと店員に言われて、弥生は疑問を持った。デコレーション等は課金による物になるのだろうか…と。

「デザインに関しては、こちらでもカスタマイズ可能ですが、まずはエントリーの方が先になると思います」

最終的に、基本となるノーマルスーツを1万円で購入した。スーツに関しては普通に着ていても問題はないらしい。

「基本性能って、どういった物に?」

弥生の疑問に、店員が出した答えとは―。

「簡単に言えば、対衝撃スーツですね。警察とか自警団でも実際に採用されている防弾チョッキをイメージしていただけると早いと思います」


###


同日午後2時、弥生は電機店でも説明があったゲームセンターへ足を運んだ。のぼりには【ARデュエルエントリー出来ます】と書かれた物も確認出来る。

「なるほど。1階で受付が出来るのね―」

入口の自動ドア近くにはアルミ製の宣伝用の立て看板があり、そこには…。

【ARデュエルのエントリーに関しては1階の専用窓口で受け付けております。試合観戦は2階のセンターモニターへ】

既に専用窓口には何人かの列が出来ていた。待ち時間は特になく、何かを書いた後にICカードを渡し、その後に返却されたカードをARブレスに挿入しているような流れである。

「こちらに、必要事項を記入してください」

弥生の番になり、店員から用紙を渡される。用紙の記入欄を見ると、普通は聞かないような事を書くような気配である。

「あの、住所とか氏名、電話番号等は書かなくていいんですか?」

思わず弥生は店員に尋ねた。すると…。

「住所等は既にARブレスを購入した時に書いてもらっていますので、特に必要はありません」

弥生の疑問にスパッと答えた。そして、弥生は項目を見て書き始めようとするのだが…。

「お時間がかかるようであれば、あちらのテーブルでお願いします」

店員の言う事も一理ある為、弥生はテーブルの方へと移動した。しばらくすると、エントリー待ちの客が増え始め、10分待ちという看板も店頭に掲げられた。


「??」

弥生は思わず驚いた。頭の上にハテナマークが浮かび上がりそうな項目の数々、本当にARデュエルに必要なのだろうか…と。


【ゲーム歴は何年ですか?】

【あなたがプレイしているゲームの主なジャンルは?】

【主にゲームをプレイするハードは何ですか?】

この辺りはゲーム雑誌のアンケート等でもよく見るような項目だろう。


【スポーツ歴は何年ですか?】

【普段は、どんなスポーツをしますか?】

【ダイエットに失敗した事はありますか?】

ゲームとは無関係なスポーツや健康管理に関する事も項目に入っている。


健康と言えば、こんな項目もあった。

【あなたは、ここ半年で通院歴がありますか?】

【医者から運動を止められていませんか?】

【医者に薬をもらっている、あるいは常に持ち歩いている薬がある】

運動を止められていてはARデュエルも出来るはずもないので、項目があるのは当然だが…薬はどういう意味があるのだろうか?

「この項目は?」

「万が一、医者から運動を止められている場合にはARデュエルのカードを発行出来ません。それ以外でも、問題があれば医者から問題がないと言う書類を後日提出してもらう事になっていますので―」

別の男性がアンケートについて質問していて、その際の店員の回答がこれだった。


【コスプレ歴はありますか?】

極めつけは、これである。確かにARスーツの機能的な部分を踏まえれば、当然と言えば当然か。その他にも項目はあったが、他はあまり覚えていない。


「ご協力ありがとうございます。では、残るはこちらを―」

店員から渡されたのは、カタログだった。どうやら、スーツのカスタマイズ用の物らしい。コスチューム店で言っていたのは、この事だったようだ。


「もしも、あのモノリスに書かれていた事が事実だとすれば、この世界も超有名アイドルによる日本支配のプランになっていると言う事か―」

先程まで別のゲームをプレイしていた西雲が2階から下りてきた。そして、弥生の前を通り過ぎるのだが向こうはカタログに集中していて気付いていないようだった。

「時間は…まだあるか」

西雲は時計を気にしつつ、足早にゲームセンターを後にした。

「今の人って…気のせいか」

カタログをチェックし終わった弥生は西雲に若干の見覚えがあったようだが、気のせいだと思う事にした。


###


同日午後2時30分、西雲は本来の目的地だったパソコンショップへと足を運んでいた。店舗の位置としては、秋葉原駅に近い大規模ビルの2階にある。

「遅かったわね」

パソコンショップの入り口には、身長170、3サイズは92、67、93(推定)。黒のショートヘアにメガネを着用し、服装は地味な物を選んでいるように見える女性が待っていた。

「目的はアカシックレコードか…」

西雲は彼女の狙いがアカシックレコードである事を悟っていた。それもあって、若干の時間を稼いでいたと言う行動を取っていた。

「アカシックレコードには、超有名アイドルに対抗出来るデータがあると聞いているわ。そのデータだけでも渡して―」

如月翼きさらぎ・つばさは、本来であれば他人には見せたくない物を西雲に突き付けていた。それは、AR専用のビームライフルである。

「僕はアカシックレコードを他人に見せる気はない。それも、いきなり銃を向けるような人物には」

西雲の言う事にも一理ある為、如月はビームライフルをしまった。

「超有名アイドルがアカシックレコードを悪用し、賢者の石を作ろうとしている噂を聞いた。その対価は、超有名アイドル以外のジャンル全て―」

「それは、本当に都合がいい対価だな。転売屋やCDチャートの改変、更には超有名アイドル保護と言う名の増税法案…。これ以上の事が超有名アイドルを元凶にして起こっているのに、それ以外を対価にするのか」

如月は超有名アイドルがアカシックレコードを悪用して賢者の石を生み出す前に暴走を止めたいという。しかし、西雲本人は応じるような気配はない。

「超有名アイドルが諸悪の根源であり、絶対悪と言うのであればアカシックレコード以外で確実な証拠を見せてもらいたい。それが、前提条件になる」

西雲はモノリスの存在に関して疑問を抱く箇所はあっても、現状ではテロに代表されるような凶悪事件が起きていない事を理由にアカシックレコードを渡す訳にはいかない…という事だった。そして、西雲はアカシックレコード以外で証拠があれば見せて欲しいと如月に条件を出した。

「そこまで言うのであれば、確実な証拠を持ってくるわ。期限は、どうするの?」

如月の方は条件を受け入れる事にした。そして、期限を尋ねる。

「期限は特に設けない事にする。君が確実な証拠を手に入れたと言うのであれば、ここに来ればいい」

西雲は1枚のチラシを渡して、如月の前から姿を消した。渡されたチラシは近日中にリニューアルオープンするゲームセンターで、そこではARゲーム各種も取り扱う予定だと言う。オープン予定は1週間後の4月8日と書かれている。

「いずれ、超有名アイドルが人を破滅させる存在になる時が来る。それを止めなければ、日本だけではなく地球や他の世界にも悪影響を及ぼす。この世界でも、政府が超有名アイドルに買収されていると言う証拠さえつかめれば―」

そして、如月はパソコンショップへと入店し、買い物をする事にした。


「予約していた商品は、こちらですね」

レジにいた男性店員は、如月にパソコンのキーボード位に大きい箱を渡す。箱には【ミュージックコントローラー】と書かれている。どうやら、音楽ゲーム用の専用コントローラーらしい。

「ええ。間違いないわ」

どうやら、場所の指定をしていたのは如月の方だったらしい。


「超有名アイドルを盛り上げる為だけに、CDチャートを改ざん、CD購入資金の為に転売や非合法商品を売りさばく事さえも無罪になる世界。そんな世界が許されるはずがない」

店を出た如月は、超有名アイドルの為に非合法手段等を行う悪質な集団がいるのでは…という噂を前々から知っていた。そして、この世界を操る元凶が超有名アイドルである事を証明する事…。それが、如月の目的でもあった。

「そろそろ、時間のようね―」

鞄からARブレスを取り出し、周囲を見回す。しばらくして、彼女の目の前に【特別更衣室】と書かれた看板のある店舗を見つけ、そこへダッシュで入店した。


同日午後3時、秋葉原にあるモノリスプレートのある劇場では、超有名アイドルによるライブが行われていた。

「本日もお忙しい中、当劇場への来場、まことにありがとうございます―」

ライブ終了後、ステージに現れたのは身長190近く、黒いスーツにセミロングヘアーと言う男性である。彼の名前は伊藤零いとう・れい、この劇場のオーナーでもある人物である。


舞台挨拶も終わり、ステージではライブを挟んでのトークショーが行われている。

「現状、多数の芸能事務所が超有名アイドルを支持している。日本政府を買収し、超有名アイドルを日本が誇る無敵のコンテンツにする事…それが急務だ」

控室へと戻っていた伊藤はモニター越しでライブの様子をチェックしていた。

「私の行動が、超有名アイドルを絶対神とする。これによって、日本は経済大国として復活するのは間違いない」

そんな伊藤はネット上で、とある記事を発見する。その内容とはARデュエルに関しての物である。

「音楽業界は既に制圧を完了している。それ以外を制圧する手始めに、こちらを狙うか―」

既にいくつかの芸能事務所はARデュエルに目を付けてスポンサーとして参加している。しかし、伊藤は更なる行動を考えていた。


同日午後3時20分、スカイフリーダムが別のゲームセンター外に設置されているスクリーンを見て何かをチェックしている。

「連勝記録の更新? 行ってみる価値はありそうね」

該当するARデュエルの行われている場所は上野公園だった。スカイフリーダムは、様子を見る為にも上野公園へと向かう。


###


同日午後3時30分、上野公園近辺では別のARデュエルが行われていた。

「何て奴なんだ…ケタが違いすぎる」

倒れている元プロレスラーのファイターは、相手を外見だけで判断した事を後悔していた。

「外見だけで油断した方が悪いのよ。ARデュエルは常にランクで決まる…違うかしら?」

プロレスラーよりも小柄な身長174センチ、3サイズは76、59、79(推定)、黒のショートヘア、右目は緑、ARインナースーツを着ていた女性が彼の目の前にいる。

「確かに、ランクが同じと言う事で油断があったのかもしれない」

その言葉を言い残し、彼は公園を後にする。既に彼女は20連勝と言う記録を打ち立てている。そして、気がついてみるとランクは十段になっていた。

「おいおい、もう十段なのか―」

「スカイフリーダムでも連勝記録は15止まり。しかも、乱入してきたファイターの中には現役プロボクサーもいた。彼女の実力が異常の一言か」

「これが中二病とかいう奴の力か?」

「誰か乱入しようと言うプレイヤーはいないのか?」

「これ、格闘技ではなく格闘ゲームだよな…」

ギャラリーの方が若干騒がしいようにも見える。それ位、彼女の実力は折り紙付きと言う事なのだろうか。

「今回はこの位で勘弁してあげるわ。格闘ゲームと違って、ARデュエルはスタミナの消耗も激しいし―」

何かを悟ったかのように、彼女の方も上野公園を後にした。この場合は連勝記録はセーブされ、次は21連勝をかけたバトルと言う事になる。

【この調子だと、連勝記録は更新されそうだな】

【現役のプロボクサーや元格闘家、空手三段…相手は決して弱い訳じゃないはずなのに】

【一方で18連勝中のジークフリートは、覆面ファイターばかりが乱入しているという話だ。向こうはランクこそ同じだが、スキル等は向こうより劣るらしい】

【十段になった以上、相手がいないと言うのも大きい。十段の場合は八段~皆伝がマッチングの範囲だったな】

【十級~一級、初段~十段、皆伝~伝説という三段階だったか。五段までは降格ルールが存在しないが、六段以降では降格が発生するんだったな】

【それにしても、20連勝で七段が一気に十段まで昇格するとは…。恐ろしいプレイヤーがいるものだな】

つぶやきサイトでも、彼女の強さに関しては凄い物があると言う意見が多かった。


同日午後4時、乱入してきたファイターとの対戦等で到着が遅れたスカイフリーダムが上野公園に到着した。

「遅かったみたいね」

既に別のファイトが行われていたが、連勝をしていたファイターの姿はなかったのである。

「貴様、スカイフリーダムだな?」

声をかけて来たのは、日本のムエタイチャンピオンだった。ARデュエルにはプロ格闘家も参戦していると言う噂もあったが…。

「丁度いい所にいたわね。こちらも聞きたい事があるのよ」

スカイフリーダムはムエタイチャンピオンに対し、乱入バトルを挑む事にした。

《挑戦者:スカイフリーダム 乱入バトルを承認します》


同日午後5時、北千住近辺。そこにある住宅街の一軒家に彼女は住んでいた。

「結局は超有名アイドルが日本市場を独占する未来は避けられない―」

彼女の名前は瀬川碧せがわ・あおい、過去にはアイドルにあこがれていた人物だったが超有名アイドルの存在が彼女を一変させてしまった。

「最近になって判明した、PV動画の再生数偽造、更にはハッキングによるCDチャートの改ざん、更には超有名アイドルCD購入の投資詐欺。お金を手に入れる為には手段を選ばない」

ARスーツではなくジャージの上下を着ている碧は、テレビのニュースで流れている海外アイドルのPV動画の再生数偽造事件を見ている。

「ネットによれば、超有名アイドルの人気上昇の為ならばどんなブラックな行動も無罪となる法律を作ろうと画策している世界線もあったとか…。そんな事って、認められるはずがない」

何時もはクールを貫いている碧だが、超有名アイドルが絡むと冷静ではいられなくなる。それでも、手に持っているコーヒーカップをテレビに投げつけたりはしない。そんな事をしても現状が変わらない事は分かっているからだ。そして、中に入っているコーヒーを飲みほして…。

「あらゆる世界の超有名アイドルは、私が消滅させる!」

碧は宣言する。超有名アイドルが他人の人生をも操ると言うのであれば、その存在を世界線から完全に消滅させる…と。


###


同日午後8時、ネット上ではつぶやきサイトで、こんなやりとりが行われていた。

【Q:ARデュエルって、格闘技なのか格闘ゲームなのか分からないんだが…】

一般人から見れば、ARデュエルは格闘技のイベントのような物と言う風にテレビで見た事がある程度の知識しかない。そんな人たちにもARデュエルを知ってもらおうという動きらしい。

【ARデュエルは、元々は格闘技ブームが去ってからの格闘技団体の衰退をどうやって止めるかを考えていた所、格闘ゲームが再び復活の兆しを見せていたので便乗しようとした―】

【しかし、普通の格闘ゲームでは便乗商法と言われてしまう可能性がある。そこで、ここ最近で勢いのあるARを使った格闘技を考えた。現在のARデュエルは、試作型のAR技術を発展させた物である】

【その一方で『プロの格闘家に勝てるわけがない』という意見も多かった。アマチュアがプロに勝てるか…と言われると可能性は0ではないが、厳しい現実もあるだろう】

【そこで、ARデュエルランクやARスーツ、プロ格闘家の参戦ルール等の細かい調整が行われ、現在のような有名ランカー等もプロ格闘家に迫る勢いで増えてきている】


【Q:ARデュエルをプレイする為には?】

こちらに関してはパンフレットを見れば、ARブレス、ARスーツ、ARバイザーが必要である事も書かれていたのだが…。

【エントリー受付募集をしているゲーセン等で書類を書き、提出をすればOK。ただし、持病を持っていたりする場合は医者からの許可書類が必要になる】

【ARブレスが現在は15000円近辺で売られているので、初期投資は16000円前後と考えるのが妥当か。ARブレスはプレイに必須なので、購入してからの方が二度手間にならない】

【ARスーツ及びバイザーはスーツレンタル店で借りられる。時間貸しが多いようだが、店舗ごとに異なるので店に問い合わせよう】

【プレイ料金は100円が多い。初心者用にCPUとバトル出来るモード専用や対戦専用もあるので、これも設置箇所をネットで調べてから出かける事をお勧めする】


【Q:必殺技等はあるのですか?】

格闘ゲームには、作品によるが必殺技や超必殺技のような物も存在する。これに関しては…。

【必殺技と言う概念は存在する。ARブレスにデータを読み込ませて使うような技もあれば、独自の技もある。その辺りはパンフレットを参照した方が早いかもしれない】

【ただし、殺傷能力に関しては皆無である事は忘れてはいけない。ARスーツやARバイザーには重大な怪我を防ぐ為のセーフティーシステムもあるが…】


【Q:プレイして怪我をした場合は? あとは事件等に発展したりはしないのか?】

格闘技には付き物だが、プレイして万が一に怪我をした場合にはどういった対応が取られるのか? そして、そこから事件に発展した場合は…?

【故意ではないアクシデントと認められる物はドクターストップが入る。このケースは、保険が適用される】

【故意的な物、あきらかに悪意があって相手を負傷させたケースはライセンスはく奪等のペナルティが適用される】

ある程度のダメージはARスーツ等でカバーできるが、それでもカバー出来ない物もあるのは事実で、スーツ改良も視野により安全にプレイしてもらうための努力は続けているのだと言う。

【現状では全力を尽くしているが、万が一に重大な事故が起こった場合には原因を究明し、同じ事態が起こらないように全力で改良を続けていくようだ】

パンフレットにも『100%事故は起こらないという保証が出来ない』事は明記されており、『絶対安全』等のような単語はパンフレットにもルールブックにも全く書かれていない。どういった理由で単語の使用を避けているのかは不明である。


事件に発展したりしないのか、という部分に関しては…。

【運営側が不適切と判断したバトルに関しては、両方のファイターにペナルティが入る可能性も少なくない】

【プレイ前に『バトルの結果によって事件等を起こさない事に同意しますか?』という一文が現れ、それに同意しないとバトルは出来ないようになっている】

【しかし、それでも事件が全く起きないとは保証できない。その為、ありとあらゆる物に想定したルール改訂やシステム変更を数カ月単位で行っている】

【バトル外でもARデュエルファイターとしてのモラルを持って行動する事は一番重要である】

このような回答がされていた。バトル外の事件は『管轄外』と言う訳ではなく、『ARデュエルファイターである事に誇りを持つように』と記されている。


【それでも、ファイターによる不正や小規模な事件が全く起きていないかと言うと、残念ながら起こっていると言うのが現実】

【このような事件に関しては厳正に対処するとともに再発防止に努めているが、いたちごっこのような状態になっているのも事実である】

【該当するファイターに関してはブラックリストを作成し、警察へ提出しているらしい。簡単に説明すれば指名手配のような物か】

【ブラックリストに載ったファイターを撃破すると、懸賞金が入ると言う噂もあるが、何処までが事実なのかは不明】

【間違ってもブラックリスト入りしたファイターとはいえ暗殺許可等が出ている訳ではない。発見した場合は警察に通報して欲しい】


「ARデュエル、ここまで管理された格闘技だったとは予想外だったな―」

西雲は自宅のパソコンでARデュエルに関して検索をしていた所、まとめサイトを発見、その内容をチェックしていたのである。

「しかし、これだけの規模で管理されているとなると、超有名アイドルが掌握した時には被害が計り知れない物になる」

そして、彼は超有名アイドルがARデュエルのシステムに目を付けて掌握した場合、想像を絶する被害になるのではないか…と考えていた。

「超有名アイドルファンだけが住みやすい日本にされる可能性も否定できないか―」

別の世界線で同じ事が実行されれば、超有名アイドルファンとファン以外で大きな格差が発生し、更にはバブル崩壊も起こりうる可能性も否定出来なかった。


「何としても止めなければいけない。超有名アイドルだけが存在を許される世界にする訳には…」

西雲は何かのデータを調べる為に別のパソコンを立ち上げ、そこからアカシックレコードの解析を再開したのである。

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