はい、無駄に長かったです
次は、最後の勝負、じゃんけんだな。
「んじゃ、ラスト勝負といきますか!」
俺は張り切って言う。さっき教室に戻って来た。
「何回勝負にする?」
「ん? もちろん、一発勝負だろ」
ニヤリ、と笑って答える。
「そうか。全ては運次第、ってことか」
「ま、んなとこだな」
さて。
「いくぜ」
「ああ」
「じゃんけんーー」
俺が言って、
「「ぽいっ!」」
二人同時に出した。
俺はグー。
宏介はパー。
「負けた~」
この勝負、宏介の勝ちじゃねえかよ。
「……お前な、俺にじゃんけん勝ったことあったか?」
「当たり前だろ。じゃんけんの勝率は、五分五分ってとこだろうよ」
勝ったり負けたり。
「確かに、平等だったな」
「くじ引きも面白そうだったんだがな」
平等だし。
「ああ。いい勝負だったぞ」
「おうよ」
俺達はハイタッチする。
『……』
ん?
「どうした?」
クラスが静まり返っていた。
『いや、何のために戦ってたんだよ!』
全員にツッコまれる。
「何だっけ?」
覚えてないな。
「さあ?」
宏介も覚えてないようだ。
『おい! 付き合わされた身にもなってみろ! お前ら、ケンカしてたんだろうが!』
そうだっけ?
「ま、こうして仲直りしたってことでいいだろ」
俺は提案する。
「ケンカの原因を覚えてないことには、な」
宏介は苦笑して言う。
「んじゃ、オッケーだな。これにて勝負終了!」
俺は笑って言った。
『……はあぁ』
クラス全員が揃って大きなタメ息をついた。
「おいおい。タメ息つくと幸せが逃げるって言うぜ?」
俺が笑って言うと、
『誰のせいだと思ってんだ!!』
揃ってツッコまれた。
「ははっ」
俺は笑ってクラスを見渡す。やっぱ、クラスは一丸となってないとな。
もちろん、宏介も俺もケンカしていたことは思い出したのだが、それがこういう結果に終わるんなら、ケンカを忘れたってことにしてもいいんじゃないかと思う。
そこは、利害の一致ってヤツだよな。
こうして、入学初日は終わった。
◇
「ん……?」
俺は意識が覚めるのがわかった。
「あー……。もう朝かよ」
そういや、昨日は珍しくちょい勉強したんだったな。道理で眠いわけだ。
「って、やばっ!」
びっくりして目が覚めた。
「く、九時……?」
寝過ぎだろ。ってか、もう遅刻決定だな。
「はぁ」
タメ息をついて、のそりとベットから起き上がる。
「……んじゃ、とりあえず着替えてからのんびりと学校行くか」
しゃーない。
……遅刻しそうなら走るけど、遅刻決定ならのんびりするさ。
メシは……食わないでいいか。昼飯は購買で買うとして、メシの問題はいいな。
「ん~。んじゃ、着替えますか」
呟いて、着替え始める。
◇
「ふあぁ」
登校中、大欠伸をした。登校中といっても、もう学校の中で、クラスの前に着いたのだが。
「おはようございま~す」
俺はのんびりと言ってカラカラと教室のドアを開ける。
『はい、遅刻な』
先生含め、クラス全員が俺に言った。
「寝坊しましたんで、しゃーないっすよ」
平然と言って自分の席に着く。
「しゃーなくないだろ。寝坊すんな」
宏介が呆れたように言う。
「いや~。珍しくちょい勉強したら寝坊しちまった」
笑って頭を掻いて言う。
「えっ? お前が勉強!? 有り得なっ!」
宏介が驚いて言う。おいおい。心外だな。さすがに失礼じゃねえの?
「ちゃんとやったっての。まあ、慣れないことをするから寝坊するんだが」
笑って返す。
「……はぁ。ま、授業再開すんぞ」
教科担任が言って、授業が再開される。……この時間って何だっけ? 新しい教科書とかは全部置いてきたハズ。……いや。勉強したから置いてきたな。
「今って何の時間?」
一番知ってそうな先生に聞く。
「現文だ」
ふむ。どうやら、現文の授業らしい。
「あっ。教科書忘れた」
適当に突っ込んで来たから入ってないな。
『おいおい。遅刻しといてそれはないだろ』
クラス全員及び教科担任に呆れ顔で言われる。
……そう言われると言い訳出来ないな。
「はぁ。しゃーない。寝るか」
勉強出来ねえし、寝ることにする。
『寝るな!』
全員でハモったツッコミが聞こえたが、無視して眠りについた。
◇
「ん~」
俺は起きて大きく伸びをする。
「へ?」
すでに、夕方だった。……夕日が綺麗だなぁ。
ーーって、現実逃避してる場合じゃねえ。
「やっと起きた?」
「っ!」
声を掛けられて、ビクッとなる。
「そんなに驚かなくてもいいでしょ」
少し拗ねたようだった。
「委員長じゃん」
こんな時間まで何をしていたのだろうか。
「委員長じゃないわ。浅井美雪よ」
委員長と呼ばれるのは嫌らしい。
「そりゃ、悪かったな。浅井」
ちゃんと名字で呼ぶことにしよう。
「出来れば名前の方がいいわね」
ん?
「じゃあ美雪、か」
「そうね」
美雪は満足そうに頷いた。
「私も賢人って呼んでいい?」
「別に構わないぞ。んで、美雪はこんな時間まで何をしていたんだ?」
寝過ごしたわけないだろうし、委員長の仕事だろうか。
「賢人が起きるのを待ってたのよ」
へ?
「何で?」
帰ればいいのに。待つ必要なんかないだろ。
「……窓の鍵を閉めるためよ」
「そりゃ、悪かったな。待たせちまって」
ん?
「って、鍵ぐらい閉めて帰ればいいじゃん」
ってことに気付いた。
「うっ……。べ、別に、一緒に帰ろうと思っただけよ」
「ん? 何つった?」
言葉に詰まった辺りから聞こえなかった。
「別に、何でもないわ」
そうか? ま、本人が何でもないっつうならいいが。
「んじゃま、帰ろうぜ」
「えっ?」
美雪がきょとんとしていた。
「別にいいだろ?」
俺は笑って言う。
「い、いいけど……?」
「んじゃ、帰るか。良かったら送ってくけど?」
待ってもらってたし。
「……ありがと」
夕日のせいで顔が朱色に染まっていた、気がした
。
さてと、帰りますか。
俺の二日目は、大した波乱もなく終わりかけていた。
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