さて、ゲームでもしましょうか
「お前、ふざけてんのか?」
宏介が珍しく睨んで言う。まあ、さっきから睨んでるけど、怒りを込めて睨んできた。
「いや、別に」
俺は軽い調子で言う。
「チェスは頭脳戦だし、じゃんけんなら平等だろ?」
「まあ、そうだな。順番にゲーム、しりとり、UFOキャッチャー、靴飛ばし、じゃんけんにするか」
宏介が考え込むようにして言う。
「いいのか? チェスでもいいんだぞ?」
俺は宏介に聞いてみる。
「いや。じゃんけんの方が公平だし、俺の予想だと二対二になるから」
「気が合うな。俺も、二対二になると思うな」
ニヤッと笑って言った。
「そうかよ」
やや怒ったように言う。さっきから喧嘩中だもんな。
「まあ、審判を決めて、明日からやんね? 今日はまだ用意出来てないだろ?」
未だに怒ってる宏介に対し、苦笑して返す。
「いや。実はさっき用意してもらった」
「へ?」
思わず間の抜けた声を出してしまう。用意周到なことだな。
「審判は浅井美雪、厳島亮介、坂井理奈の三人だ」
その三人が一歩前に出る。……あらかじめ言っておいたのだろうか?
「用意がいいことで」
俺はやや呆れて苦笑し、言った。
「因みにUFOキャッチャーもゲームもあるぞ」
「……」
よく見ると、色々セットされていた。暗幕で覆っているという念の入れようだ。
「……まあ、他の三つは用意しなくてもいいしな」
俺は今日からやることにした。ってか、それ以外に選択肢はないらしい。
「じゃあ、一回戦はゲームだな。どうする?」
俺は切り替える。
「DSの2Dバトルアクションだ」
あの一対一から四人対戦まで出来るというあれか。
「何のだよ?」
俺はとりあえず聞く。一口にバトルアクションと言っても、キャラクターやアニメなどが違うし。
「もちろん、俺らのだ」
「は?」
訳がわからん。
「だから、俺らをキャラクターにしたバトルアクションだって言ってんの!」
はい? 俺はもっとわからなくなる。
「さっきゲーム会社に頼んで作ってもらった」
マジかよ。早すぎじゃねえ?
「キャラクターはこのクラスの皆と、正義の味方、最強無敵の生徒会長だ」
その人選には疑問を覚えるが、生徒会長って誰だよ。
「まあ、いっか」
諦めて、宏介とのバトルを開始する。
◇
「三対三で、一戦ずつやってくんだ。二回勝った方が勝ちな」
「オッケー」
俺は軽い調子で言う。
「DSにコード付けて、この大画面で観戦出来るからな。さあ、キャラクター選択するぞ」
「ああ」
ゲームに関しては宏介に勝てないので、なるべくあっさり負けないように頑張らなければ。
「さて、と。誰にしようかね」
のんびりと呟いて、キャラクター選択を始める。
俺は使うだろ? あと二人はどうしようか。正義の味方は宏介が使うだろうしな。女子でも入れてみるか? 浅井と坂井の二人を入れるか。何で選ばれたのかは知らないが、何らかの能力はあるんだろうし。
「キャラクターセレクト終わりっ」
軽く言って宏介の方を見る。宏介はとっくに終わっていたようで、じっとしている。
「じゃあ、始めるか」
宏介が言って、画面が進み対戦画面になる。一戦目は宏介対俺。二人とも自分を選んだ。
「……俺の技って何だよ」
やっと気付いた。バトルアクションには技があるんだった。まあ、普通の人ならそんな大した技はないだろう。
レディ・ファイト!
一戦目が始まる。弱攻撃と強攻撃を使ってみる。……パンチとキック。普通だな。
対する宏介は、ゲームが武器のようで、ゲームから何かを召喚して戦っていた。
「おいおい。宏介って強いじゃねえかよ」
苦笑して言う。俺は現実的なのに。
「……ゲーム会社の勝手だ」
なるほど。宏介は関与してないと。
まあ、どっかで勝たなきゃいけねえんだからな。
「ガチでやるか」
俺は張り切ってゲームに集中する。
「くっ……」
俺が押していた。珍しいな、宏介が押されるなんて。
「いける!」
俺は必殺技を放つ。しかし、簡単に避けられた。
仕方なく、必殺技はやめて攻撃して間を取る。
「もういっちょ!」
また必殺技を放つ。今度はちゃんと当り、俺の勝ちだった。
「くっ!」
悔しげに宏介の顔が歪む。
「二戦目だな」
俺は坂井理奈を、宏介は最強無敵の生徒会長を選んだ。
「何で私?」
坂井が不思議そうに言う。
「ん? ま、なんとなくだ」
俺はそれに軽く答える。
言い忘れてたが、浅井美雪は黒い長髪に黒い瞳。髪は腰まで届いていて、身長も高くスタイルもいい美人だ。確かクラス委員長。坂井理奈は金色の長髪に澄んだ瞳。身長は普通でスタイルもいい美少女だ。厳島亮介はスポーツ刈りのイケメンで、めっちゃ運動神経が良さそうだ。確実にモテるな。
レディ・ファイト!
俺はとりあえず攻撃しまくる。回し蹴りと気功弾だ。……俺、現実的過ぎねえ?
しかし。
「なっ!」
生徒会長は坂井を抱えてジャンプし、地面に叩きつけた。
「言っとくが弱攻撃で、実際にやったんだ」
マジかよ。生身で何つう強さだよ。
もう体力が半分しかねえ。
「これが強攻撃だ」
「っ!」
遠距離攻撃だった。両手を前で合わせて波動を放つ。ジャンプして避けようとしたが、攻撃範囲が広く当たって、負けた。
会長強すぎ。
更新が不規則ですね。
二週間に一度くらいで更新していきます。
次の話も読んでいただけたらと思います。