くっ、何て強さだよ
「おらぁ!」
「はぁ!」
俺とβが四天王共同体みたいなテネスに突っ込む。ドラゴンと獣、二つの強力な力を発動させており、しかも四天王と戦った時よりさらに強い。
二人同時に殴りかかり、しかし敵は反射が使える盾を構えて肩の大砲で照準を定めてくる。
「……チッ!」
βは舌打ちして拳に獅子のオーラを纏わせ、拳より先に到達させる。獅子のオーラが敵の「反射」という言葉の後で反射されるが、すでにそこにはβの姿はない。獅子のオーラを囮にして体勢を立て直し、殴るのを止めて懐に潜り込んだのだ。しかもその間に俺の拳が届く。
「……くらえ」
俺は呟いて敵の大砲二門と俺を迎え討つための盾に向けて、火山弾を放つ。それらは豹型並みの速さで動かした盾によって反射されてしまうが、それでいい。意識がこっちに向いてくれれば、βが攻撃出来る。
「……おらぁ!」
βが右拳をドゴォ! と敵の腹部に叩き込む。だが敵はビクともしない。
「……緩いな」
ボソッと呟く敵。俺は火山弾をかわしつつ背後に蜃気楼を作り出す。砂漠で川に見える蜃気楼は時に人を殺す災害ともいえるので、少しだけなら発動出来るのだ。背後に俺が殴りかかる蜃気楼を作り出し、その中に溶岩の塊を混ぜてみる。無視すればくらい、迎撃してもくらうように。
「……うおおぉぉぉぉ!」
だが盾で反射されては意味がないので、俺は左拳にドラゴンのオーラを纏わせて殴りかかる。βが放った拳とは強さが違う。ファンタジーでもよくドラゴンってのは最強のモンスターとされる。βが魔獣の力を解放しようと、ドラゴンには敵わないのだ。
「……超反射」
聞いたこともない反射が発動し、ドラゴンのオーラが跳ね返って俺を吹き飛ばし、続いてそのまま腕を後ろに回して盾で溶岩入り俺の蜃気楼を反射させて防いだ。その間もβが拳を叩き込んでいるが、ダメージはないか極端に少ないようだ。
「……ぐっ!」
俺が思いっきり後方に吹き飛ばされている間、二門の大砲がゆっくりとβに照準を合わせる。
「……そういえば、攻撃の四天王を倒したのは貴様だったな」
敵はそう呟いたかと思うと、僅かに顔を上げたβと自分の身体の間に光を放ち、慌てて回避しようとするβを容赦なく光を中心に爆発を起こす攻撃の四天王の能力で吹き飛ばし、続いてすぐに二門の大砲を放ち追撃する。
「がっ!」
βは俺よりも大きく吹き飛ばされて、壁に激突する。俺も数瞬遅れて壁に激突した。
「……サンダー・ボルト!」
室内なのに落雷が起き、敵を貫く。
「……ヒール・フォース」
銃にカードを差し込んだθが俺とβに回復の銃弾を撃ち、治癒してくれる。
「……上からの攻撃とは、反射しても意味はないな」
敵は落雷を受けても平然と呟いた。
「……じゃあこれならどうだ!」
俺は四方から災害を巻き起こしてやる。前方から溶岩流、後方から津波、右方から土砂崩れ、左方から雪崩れ。ついでに俺自身も遅れて突っ込んでいく。βもそれに続いた。
「……なかなか面白い。だが、足りないな」
敵は呟き、超反射を使うと四つ全てを高速で動かした盾により反射させてくる。三方向からのはこっちに戻ってこないが、溶岩流はおよそ三倍もの大きさになって襲ってきた。
「……ディザスター・アクセルにそんなもん、効くかよ!」
俺は言って溶岩流の中に突っ切り、地獄の業火、くすんだ黒い炎を纏った拳を放つ。
「……てめえは周りの被害も考えろ!」
βが怒鳴りつつ溶岩流を高速で放った連続の拳で掻き消し、遅れて突っ込んでくる。俺が放った拳は双超反射というらしい反射を使われ、二つの盾によって思いっきり弾かれる。
ピシッ。
「……ほう?」
だがそう簡単にやられる訳がない。地獄の業火は全てを破壊する効果があり、左の盾にヒビが入った。
「……ぐあっ!」
それでダメージが軽減される訳ではなく、俺は吹き飛ばされ数秒で壁に激突し、またθの回復の世話になってしまうが。
「……吹っ飛ばされるだけなら出てくんなよ!」
βが言いつつ、敵の背後から拳を連続で放つ。拳一発ずつに獅子や虎、犀や牛などのオーラを纏わせて動物大行進と名づけられそうな技を放つ。それらは反射せずに直撃し、敵が大きく吹っ飛ばされる。……何で今のは反射しなかったんだ?
俺が不思議に思っていると、βが後方に向けられた二門の大砲に撃たれ、吹っ飛んでいた。しかしそれで終わりではなく、吹っ飛ばされたβの背後に回り込み、双超反射で今度は前に吹っ飛ばす。ダメージがヤバそうなので俺が間に割って入ることにし、飛び上がって竜巻と共に飛び蹴りを放つ。
だが敵は吹っ飛ぶβを無視して俺の蹴りを双超反射で跳ね返し、さらには吹っ飛ぶ俺を大砲で追撃、さらにさらに圧縮空気砲を放ち追撃、さらにさらにさらに光の線を俺が吹っ飛ぶ直線上に出し爆破。攻撃のオンパレードをくらった俺はそのまま天井を突き抜けて吹っ飛び、重力で勢いが死んで墜落していき、天井を壊して地面に墜落した。
……クソッ。滅茶苦茶強いぞ、こいつ。
「……α!」
εが悲鳴に近い声で俺を呼び、フル・ヒールをかけてくれる。おかげで傷が完治した。
「……クソがっ!」
βが吐き捨てて突っ込み、背後から襲いかかる。獅子と虎のオーラを纏った両拳での連打だ。何故かまた敵はそれらを受けたが、前に向けた大砲を溜め、放つ。何をする気かと思えばその先には反射する盾がある。
「……避けろ、β!」
回復したばかりの俺が思わず叫んでしまう程、危険な一撃。双超反射で強化された砲撃がβに襲いかかり、装甲を破砕する。
「……クソッ!」
εが射程距離内にいくまでの間、時間稼ぎをするために俺が突っ込む。θの援護射撃はダメージがないのか少ないのか、無視して俺を迎え討つ敵。
「……終わりだ」
「……があぁ!」
敵が言って災害と地獄の炎、ドラゴンのオーラで猛攻を仕掛けていた俺が、吹っ飛ぶ。反射を溜めて溜めて、一気に解き放ったのだ。両翼と尻尾が吹き飛び、装甲がボロボロになる。その間にεがβを回復させていたが、フル・ヒールは消耗が激しいのでもう使えないのだろう。俺にはハイ・ヒールを使っていた。
……つ、強すぎる……っ!
それが俺達四人が抱いた感想だ。正直言って勝てる気がしない。地獄の炎を何度か叩き込んだので二つの盾はヒビが入っているが、例え壊したとしても能力の足し算や掛け算が凄すぎる。一つ失くしたところで倒せるかどうか。
「……あっ、アウラだぁ。丁度いいねぇ」
そこに一人の少女が階段を上がって登場した。
熊柄の水色でブカブカな子供っぽいパジャマを着た、色素の薄い髪を無造作に伸ばし地面にまで着けているぺったんこな少女。かなりの小柄で、どう見ても子供にしか見えない。
「……盟主様」
敵のテネスがその幼女の前で跪き頭を垂れる。
「「「……えっ、ええぇぇぇぇぇ!?」」」
俺達四人はその子供にしか見えない幼女が盟主と呼ばれたのを聞いて、驚きの声を上げた。




