表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何者だよ!  作者: 星長晶人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/50

私、戦うから

「……チッ!」


 俺は圧倒的不利な状況に舌打ちした。


 ドラゴン・アクセルを使っているにも関わらず、ボロボロにされている。


 はっきり言って、全然勝てる気がしなかった。


 右翼は完全になくなって、左翼も半ばまでしか残っていない。尻尾も先端部分からヒビが入り、身体の装甲も所々にヒビが入っている。


 満身創痍の状態で、相手の二体はちょっと傷ついているだけ。


「……ボーッとするな」


 豹型が言いトップスピードで俺に突っ込んでくる。俺には見えても反応出来ない速度だ。大体高速すぎて多方向から同時に拳が飛んでくるとか、どう対処したらいいのか分からない。


「……ぐっ!」


 俺は前後左右上からほぼ同時に拳が飛んできて、俺は呻く。……少しのタイムラグはあるが、そんなことが些細と思える程に連続して拳が飛んでくる。正直言って厄介でしかなかった。


「……圧縮」


 双盾型が呟き、拳を放つのと同時に圧縮した空気の砲弾を発射して俺を吹っ飛ばす。……このコンビネーションが厄介なんだよ。


 双盾型の能力は三つだと分かった。反射、圧縮、そして拡散だ。反射は主に攻撃の跳ね返し、圧縮は主に空気を圧縮させ砲弾として放つ、拡散は拳を放った衝撃を広げる、などという使い方をしてくるが、厄介極まりない。


 一方の豹型といえば、双盾型よりも単純で、ただ速度が滅茶苦茶速いだけ。それだけに厄介だとも言える。


「……くそがっ!」


 俺は炎で一番強いカード、ボルケーノ・ドラゴンで溶岩を操り、周囲ごと二体を焼き尽くそうとする。だが、無駄なことは分かってた。


「……圧縮。反射」


 豹型は姿が消えたかと思う程の素早さで溶岩の範囲から脱け出し、双盾型は溶岩を波を圧縮してそれを反射させて、俺の方に放ってくる。強烈な波動になって放たれた溶岩だが、俺は溶岩の壁を作って防ぐ。


「……やはり、翼を捥がれたドラゴンはただの蜥蜴か」


「……もう尻尾も減ってるけどな!」


 溶岩のダメージを無視して突っ込んできた豹型に大量の溶岩を浴びせてやる。……確かに翼はほとんど残っておらず、尻尾も半ばまでしかない。ドラゴンの力を持ったアウラというよりもリザードマンだ。


「がっ!」


 だが俺の溶岩は虚しく突破され、背後から十連発の拳をくらって前のめりに吹き飛ばされ、眼前に圧縮された空気の砲弾が迫ってきたと思った時にはくらっていて、続け様に空気の砲弾を受け、しかし背後から豹型の追撃がくる。豹型は俺を前に蹴り飛ばしながら蹴り続けて勢いを増しながらも吹き飛び続ける。


「……双強反射」


 豹型は三連発の蹴りをくらわせ、双盾型が眼前に迫り腕についた二つの盾を構える。


「……う、がぁ!」


 俺は豹型の蹴りで勢いを増したまま盾に突っ込み、思いっきり衝撃を反射されて装甲をボロボロにされながら、今度は後ろに吹っ飛んでいく。


「……ぐっ!」


 だがそれも途中で止められる。後ろで脚を上げて構えていた豹型にだ。ミシミシという音が背中から聞こえてくる。装甲が砕け散ったのか黒い破片が視界の端に映った。


 蹴られた訳じゃなく止められただけなので、俺はドサリとその場に力なく落ちる。


 ……マズいな。ドラゴン・アクセルの、しかもボルケーノ・ドラゴンを使ってさらにフィジカル・アクセルで身体能力を上げてるってのにここまで一方的にやられるとか、一体しか相手に出来ない。今の状態じゃあ一体でも厳しくなった。二体じゃあ勝てない。何とか二人に来てもらいたいとこだが、ヤバいな。通信が途絶えてる。意識がないか死んだか、変身が解けたか。どれにしろマズい状況なのは変わりない。


「……アウラの始祖も、この程度か」


 豹型が冷たく俺を見下ろす。……身体中が痛いな。せめてボロボロでもθが来てくれれば回復出来るんだが。大きな衝撃があったのはちょっと前。θが這いつくばって来てもまだ時間がかかる。自分で回復出来るからもう限界なのか、それとも意識を失ってるかのどっちかだと思う。


「……諦めろ。死ね、アウラの始祖。盟主様には届かないのだ、貴様達はな」


 豹型が言って、倒れた俺の前で脚を高く振り上げる。モーションは踵落としのそれ。高速で踵落としをされればドラゴン・アクセル状態の俺でも頭が潰れて死ぬ。急に死の恐怖が俺を覆っていく。


「……くそがっ……!」


 だが吐き捨てて強がることしか、俺には出来なかった。


「……死ね」


 豹型の脚が振り下ろされる――その直前。


 バリバリバリバリッ!


 物凄い雷鳴が轟き、二体を貫いた。


「……だ、大丈夫? 賢人」


 聞いたことのある声。だがこの場には有り得ない。しかも見慣れないフォルムのアウラだった。


「……美雪?」


 俺は呆然と呟いた。


 紫色でとんがり帽子にローブを羽織ったようなフォルムで杖を持った魔法使い風のアウラ。


「……うん。私、戦うから。もう賢人だけに、辛い思いはさせないから」


 震えていた。だが気丈に杖を構えて立つその姿には、美雪の覚悟が表れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ