結構、厳しいわね
α、βと通信をする少し前、θは砲撃を受けてそれを回避するために転がり、すぐに狙撃モードを解除して二丁の拳銃に戻す。
「ほっほう? あの体勢から初撃をかわすとは、なかなかやるではないか」
野太い男の声が聞こえ、砲撃がきた方向から大きなテネスが姿を現す。
そのテネスは両腕の肘から先が四角い大砲となっていて、両肩にも大砲を一つずつ搭載していた。くしくもθと同じ遠距離タイプだった。
「俺は四天王が一人。支援を司る遠距離タイプだ。まあ、それは貴様も同じようだがな」
支援を司るという割りには、砲撃の威力が高かった。明らかに自分とは火力が違う、θはそれを痛感して二人の通信に対して暗に救援は無理そうと告げた。
「……ホント、こんなのを二体同時とかα様は違うわね」
θは軽口を叩きつつもこの四門の大砲を持つテネスをどう倒そうか戦略を組み立てていく。
「ふっふん。貴様らは我ら四天王に敗れて世界が崩壊していく様を眺めていればよいのだ!」
敵は言って四門同時に強力な太い光線を放ってきた。θはそれにスピード・フォースを展開して素早く退避する。衝撃を肌に浴びるがダメージにはならずにもう一枚のカードを取り出し、スピード・フォースの入っている左手の銃ではなく、右手の銃にアドヒア・フォースのカードを差し込み、銃弾を自動装填させる。
「……そんなチンケな銃では、我が砲撃を受けられまい!」
テネスはゴツい身体つきで、それに見合ったゆっくりな動きで退避したθに標準をつけ、キュウンと砲口に光を溜める。
「……それはどうかしらね?」
しかしθは微笑んで右手の銃弾を四連発し四つの砲門全てを粘着質な液体で塞ぐ。
「ぬおおおおぉぉぉぉぉ!!?」
敵は上手く発動出来ずに砲撃を暴発させて自身でダメージを受ける。
「……バカなのかしら」
θは少し呆れて言った。
「……ふはははっ! 悪いがこの程度ではダメージの内にも入らんわ! ジェット噴射!」
だが煙の中から笑いながら姿を現した敵は無傷でグッと前屈みになると背中についているらしい大砲からジェット噴射をして真っ直ぐ突っ込んでくる。θはそれに少し驚いたがスライディングで下を潜り回避。その後背後を狙い撃とうとしたらかわされたところで急停止しており、それは前に突き出してジェット噴射する両腕の大砲が原因だと分かったのだが、θが次の行動を取ろうとしたところに背中の大砲二門を止めて両腕の大砲のジェット噴射で推進力を切り替えて勢いよくθの腹部に蹴りを叩き込む形になった。θは苦悶の声を上げてそのまま後方に吹き飛ばされていった。
「どうだ、我が六つの大砲を自在に操る突進は……ぬわああぁぁぁぁ!」
勝ち誇ったように空中でポーズを取る敵だったが、背中の大砲はジェット噴射を止めており手はあらぬ方向に向いている。そんな状態で空中にいたら当然、墜落する。敵も同じで推進力を失った身体は地面に轟音を響かせて墜落していった。
「……ヒール・フォース」
一方道路を削りながら地面を擦ってやっと止まったθは右手の銃のカードを変えて自分のこめかみに銃口を突きつけ、引き金を引く。最初は慣れなかったが慣れると恐怖はない。むしろ回復するための行為だった。
「……全く、突進まで使ってくるのは卑怯じゃない?」
何発が自分に弾を当てて回復させると、θは立ち上がって一人呟き、ベルトに付属する部分にカードを差し込む。ウイング・フォースのカードだ。すると純白の鳥のような翼がθの背中に生えた。
「……っ」
θは翼を羽ばたかせて急上昇し、飛ぶ。
「……ぬおおおぉぉぉぉぉ!」
そこにジェット噴射で飛ぶ敵が突っ込んできて、しかしθはひょいと軽くかわし、敵はあらぬ方向へと飛んでいく。急停止急発進は出来るが旋回出来ない敵は、腕と背中の大砲を発射して交互に突っ込んでくるが、縦横無尽という訳ではないのでθはそれらをあっさりとかわしつつ、作戦の準備を行う。
トラップ・フォースとグレンスライム・フォースのカードを差し込む。αとβにはない特殊なカードで、トラップ・フォースを自分の真下にある地面に、何重にもして設置する。グレンスライム・フォースは衝撃で爆発を起こす粘着性のある液体を設置するのだが、θは設定を変え自分が指を鳴らすことで爆破、しかしそれ以外の衝撃は全て透過するようにした。
θはグレンスライム・フォースを六つの砲門に設置して、しかし透過するので敵は気づかない。
敵は突進だけではθに当たらないと見たのか、両腕を横に伸ばしてすれ違い様に大砲を放ったり、一転してくるくる回りながら全ての大砲を放ちランダムに攻撃してきたりしてくるが、θには当たらない。
「……くそおおぉぉぉぉ!」
敵は両腕をピシッと腰に揃え、背中のと同時に四つの大砲で突っ込んでくる。θはタイミングを見計らい、落下した時に罠の上に落ちるよう真上より少し前で、指を鳴らす。すると六つの大砲が一気に大爆発に包まれ、両腕と両肩の大砲は壊れた。しかし最初の段階で暴発させていなかった背中の二門は壊れず、しかしダメージは負った。見事に敵が罠の上に落ちていく。
「……背中の大砲が使えれば、何とかなるのだ!」
「……っ!」
敵がそう叫んだかと思うと背中の下を向いていた大砲が移動し、壊れた両肩二門の隣に設置される。砲口はθを向いていて、すぐに発射される。θは作戦が成功して油断していて、強力な砲撃をまともに受けてしまい、翼を消し飛ばされ吹き飛ばされる。それを確認した敵だったが、地面に落下するダメージと罠の強烈な爆発により、倒された。
θは自分への支援が苦手らしい支援の四天王に、引き分けた。




