クソッ、なかなかやるじゃねえかよ
まさかの二日連続更新
四天王を名乗る二体のテネスが俺の前に立ち塞がり、俺はドラゴン・アクセルを使った。竜の翼に竜の尾。右手には普通のガントレットが嵌められているが、左手にはドラゴンの頭を模したガントレットがあった。
「……ほう? それが噂のドラゴン・アクセルか。さすがに凄まじい威圧感だな」
豹っぽいヤツが感心したように言うが、「ほう?」は口癖だと思うので嬉しくない。大体テネスに褒められても嬉しい訳がない。
「……よく言うぜ。何とかなると思ってる癖によ!」
俺は速さでは勝てないと分かっていながらも、先手を取って突っ込んでいく。
「……確かに。これなら何とかなりそうだな」
俺が右拳を構えて突っ込んでいくのを、背後に回り込んだ豹型。ドラゴン・アクセルで全ての能力が上がっている俺でさえ目で追えない程の速度だった。そして無防備な俺の背中に八発の蹴りがほぼ同時なんじゃないかって思う程の速度で叩き込まれ、前に吹き飛ばされる。俺は体勢を立て直そうとするが、その前には両手に盾を装備したような双盾型がいて、
「……反射」
と短く呟き俺の吹き飛ばされる方向に右手の盾を構える。俺はマズい! と思って翼を羽ばたかせるが、盾にぶつかりガン! と言う衝撃と共に後方に吹き飛ばされた。
「……ほう? 盾にぶつかる直前で翼を羽ばたかせて勢いを殺すとは考えたな」
吹き飛ばされてからは追撃がなく、俺が体勢を立て直すと豹型が双盾型の隣に立って感心したように言った。……チッ。こいつら、強い。
「……反射は何倍かして跳ね返すんだな。攻撃など、全部かは知らないが」
「……さすがに補助とはいえ俺達四天王の部下であるビッグ4を倒しただけはあるようだな」
俺が呟くと豹型がそんなことを言った。……補助っつったか、今? 確かに索敵に加え何らかの方法で四天王に俺達の居場所を知らせた。ゴツいヤツはシールドを展開出来るヤツだった。ってことは、確かに戦闘より補助の方が性に合ってるヤツらだったんじゃないか?
「……チッ。そういうことかよ」
「……ほう? 気付いたか」
「……ああ。てめえら四天王が実働部隊ってことで、あくまでビッグ4はてめえらの補助ってことかよ。テネスの精鋭揃いって聞いてたから四体でドラゴン・アクセル使わない時点でおかしいって気付くべきだったな」
「……ほう? さすがにアウラの調査員は優秀だな。やはり仕留めておくべきだったか」
「……ま、追う側なら捕まえられないから調査してるんだろうよ」
「……ほう? ならこの場で三人共始末しなければならないようだな」
豹型のテネスがスッと拳を構えて言う。……元は格闘か何かやってたな。構えに隙がない。一対一なら負けるとは思わないが、二対一だと勝機は薄い。
「……させると思ってんのかよ?」
「……まさか。だがここで貴様を倒せばそうなる可能性が高い」
……確かにな。
俺は口には出さなかったが、心では豹型に頷いた。俺は相手の実力を読み誤らないために少し慎重になることを覚えたんだが、倒せない相手に無理な勝負を挑んでもただ負けるだけ。それなら仲間を信じて時間を稼ぐしかないだろう。
「……スピード・アクセル。フレイム・ドラゴン」
俺は右手のガントレットに二枚目のカードを差し込む。ドラゴン・アクセル状態でのデュアル・アクセルは体力的に厳しいモノがあるんだが、そんなことを言える相手じゃない。さらに左手のドラゴンの籠手の新機能を使う。ドラゴンに能力を持たせるカードを差し込めるようにしたのだ。
新機能の追加は作戦前におっさんがやったことだ。
スピード・アクセルはかなり初期のカードだが、ドラゴン・アクセル状態なのでかなり効果が上がっている。フレイム・ドラゴンにより左手のドラゴンが火を吹く。
「……ほう? データにはなかったな」
豹型は感心したように言って、俺の背後に回る。さっきは見えなかったその動きが、今の俺にははっきりと見えていた。
「……」
だから、スッと後ろを振り向いて、左拳を豹型テネスに叩き込む。だが上手くいなされたようで、手応えはなかった。
「……ほう? さすがに二回目は対処してくるか」
「……そりゃそうだろ。対処出来なきゃ倒されるだけだからな」
俺は笑って言うが、正直勝てるとは思わなかった。いなされるってことは、それだけまだ相手に余力が残ってるってことだ。……初期カードじゃデュアル・アクセルの意味がないな。フレイム・ドラゴンで威力が上がっても直撃しなきゃ意味がない。
「……ほう? ならもう少し本気を出せそうだな」
「っ!」
豹型はそう言うと左右と前からの三方向から攻撃を仕掛けてくる。……クソッ! どんなスピードだよ! 全然追いつけねえ!
俺は内心で焦りながらも両腕を交差して翼で全身を覆い、何とか攻撃を防ぐ。防いだものの衝撃で後方に吹き飛ばされるが、そこにも豹型がいた。双盾型は豹型が俺の足止めをしている間にゆっくりと近づいてきていて、加勢する気はあるようだ。翼を防御に使ったため直後は上手く飛べず、背後から放たれた十五連続の拳をまともに受けてしまった。前に吹き飛ばされる俺だが、それだけでは終わらない。今度は勢いを殺せないようにしようとしてるんだろう、さらに俺に対して追撃を行い吹き飛ぶ速度を上げられる。
「……アクセル・アクセル……っ!」
俺は吹き飛ばされながらも何とか右手のカードを違うモノに変える。そして、自分から双盾型に加速して突っ込んでいく。
「……自爆か」
「……双反射」
豹型が感情のない声音で言い、双盾型が二つの盾を構えて突っ込んでくる俺をさっきの倍以上の衝撃で跳ね返す。
「がっ! ……クソッ、くらいやがれ!」
俺はαの装甲腹部を大きく破壊されながらも物凄い勢いで吹き飛ぶのに逆らわず、さらに加速させて後ろにいた豹型に突っ込んでいく。
「……っ!?」
豹型は驚き回避する――その前に俺は身を翻して黒炎は吹き散らすドラゴンの拳を叩き込んだ。直撃だ。
「がはっ!」
豹型は勢いよく吹っ飛ぶと廃工場にあった廃材の山に突っ込んだ。俺は加速を止めて翼を開き勢いを殺して何とか止まる。……危なかったな。ま、腹から血が出るくらいで済んでよかったってとこだな。あの速いヤツに一発くらわせてやったんだから結構な成果だ。
「……立てよ。こんなもんで終わりじゃねえだろ?」
「……当たり前だ。貴様はここで殺す。盟主様に会わせるのは危険だ」
豹型は廃材を軽く退かして立ち上がってくる。……ヒビは入れられたが、さすがに強い。倒すまでには至らなかったか。
「……盟主ってのがどんなヤツかは知らないが、俺が死ぬ前にてめえらが負けるぜ」
「……ほざけ!」
俺と豹型は、互いに本気で突っ込んだ。




