こっからが、本番だぜ
敵アジトを襲撃しにきた俺は、ビッグ4を名乗る四体のテネスに立ち塞がれていた。その内一体のテネスに俺達三人の居場所を索敵されしまい、バレてしまった。βの居場所がバレると俺が囮としている意味がないんだが、まあ戦闘系アウラなんだから大丈夫だろう。だがθは違う。本来は支援を得意とするアウラだ。だからこそこいつらをここで仕留める以外の選択肢はない。ってか俺に逃がす気がない。
「……出せよ、破壊を司るドラゴンの力をよ」
相手は俺の切り札を知っているようだ。だがその程度では驚かない。だってあんだけ派手に戦ったんだから。
「……いいぜ、お前らがそれだけ強いんならな!」
俺は言ってカードを変える。メテオ・アクセルからバースト・アクセルへと。『アクセル・レボリューション』と言う声が続き、俺の全身が金色のオーラに包まれる。
「嘗めるな!」
四体のテネスはそれぞれ俺を迎え討とうと動き出す。だが限界を超えた今の俺には遅く見える。ゴツい身体を持ちメテオ・アクセルを防ぐ程のシールドを展開出来るテネスが俺に殴りかかってくる。しかもただの拳じゃない。防げないよう拳にシールドを纏わせての攻撃だ。だが見た目通り鈍重なので素早く背後に回り込み、両拳を三発ずつ入れてやる。
シャチっぽいテネスはそこそこ速く俺に突っ込んでくるが、あまり強くなさそうな索敵要員らしいので、真っ向から殴って吹き飛ばした。狐っぽいテネスはさすがに素早い動きを見せて先手を取られるが、攻撃が軽いので腕で防御し思いっきり蹴りを叩き込んでやった。リーダーっぽい悪魔型テネスは背中の蝙蝠のような翼で飛翔し上から突っ込んでくるが、回避しながら脚を掴んでぶん回し、ゴツいのを追撃して廃工場に叩きつけた。
「……口程にもねえな」
俺は言って、無傷のまま構えを解く。
「「「……おぉ!」」」
四体は所々に傷を負いながらも俺に突っ込んでくる。
「……新機能、試してみるか。ブレード・アクセル」
『デュアル・アクセル』
俺はバースト・アクセルを発動させたまま別のカードを差し込んだ。おっさんがガントレットにつけた新機能、デュアル・アクセルだ。カードを二枚差し込むことで二つの能力を発動出来る。因みに銃二つ鉤爪二つの残り二人は別々にカードを差し込むことで二つの能力を発動出来るようになっているため、機能としてはやっと追いついたところだ。
ブレード・アクセルはガントレットの先に刃を展開するカードで、バースト・アクセルの発動中だからか刃は金色だ。
「……バーストブレード・アマタチ!」
俺は叫んで、突っ込んできた四体のテネスを刃を縦横無尽に振るって切り刻んだ。四体のテネスは防御力が高そうなゴツいヤツでさえ切り裂かれ、全員バラバラになって地面に落ちる。このまま人間に戻っても危ないので、二枚のカードを抜いて解除し、ブリーズ・アクセルのそよ風で端に寄せておく。
「……ほう? あの四人後をやるとはさすがだな、アウラの始祖αよ」
「っ!」
俺はいきなり現れた二体のテネスに声をかけられ、やっとその存在に気付く。……何だこいつら。さっきのヤツとはまるで次元が違う。俺がドラゴン・アクセルを使っても二体同時で勝てるか分からねえぞ。
俺は細長い豹のようなフォルムのテネスと、ビッグ4のゴツいヤツとは比べ物にならない程ゴツい巨体で両腕に盾を装着したようなテネスを見て警戒を高める。
ドゴォン!
そこで丁度俺のいる反対側から、轟音が聞こえてきた。……チッ。βが見つかったか。
「……ほう? あちらも始まったようだな」
「……我、戦闘。討伐」
三メートルの巨体を持つテネスが言って、フシューッと大きく鼻息を発する。……βが足止めされてるんじゃ、作戦に支障が出る。さっさと片付けて俺が突き進むしかねえな。
「……あんたら二体が相手だと俺も厳しいが、βが二体相手にしてくれてるんだったらもう一人に潜入してもらうかね」
俺は言って構える。
「……ほう? 誰がいつ向こうに二人送ったと言った? あちらには一人だ。我ら四天王の攻撃を司る最強のテネスを送り込んだ。我ら二人は速度と防御。残る一人は攻撃も高い支援。さてあと一人はどこへ行ったでしょう?」
ふざけてるのか、クイズ形式でそんなことを言った。だが聞き捨てならない。
「……θ!」
俺は仮面の中で通信していたθに呼びかける。……チッ。何らかの手段で俺達の居場所を知られたのか。シャチっぽいテネスのせいだ。
『……大丈夫よ。それよりこんな相手を二人同時だなんて、αさんは大変ね』
すると少しの間があってθから返答が来た。……まだ戦闘が始まったばかり、といったところか。いつ出てきたのかは分からないが、同じ支援だったのを喜ぶべきなのか。
『……てめえはうるせえんだよ。こちとら滅茶苦茶なヤツと戦ってんだぞ!』
さらにしばらくして、βから通信が届いた。……まだ無事か。
「……こっちはそれと同等のヤツ二体だっての。全く、ドラゴン・アクセル使っても無理そうだから、出来るだけ早く終わらせてくれよ。片方ぐらいは倒してやるさ」
『いつになく弱気ね。でもこっちだって厳しいんだから、自分で何とかしなさいよ』
『……こっちだって厳しいんだよ。勝っても負けてもボロボロで加勢出来るか分からねえっての!』
そうは言うが、最悪俺は死ぬ。……まあ二体同時つっても何とかなるかもしれないし、希望は捨てずにやるしかねえな。
「……そうかよ。だが頼んだぞ、お前ら。出来れば俺が死ぬ前に勝ってくれ」
俺はそう言って、通信を切断する。……雑念はなしだ。そんな余裕のある相手じゃねえ。
「……別れの挨拶は済んだか?」
豹のテネスはお決まりのセリフを吐いてくる。
「……ああ。だから死ぬ気でかかってこいよ、てめえら。俺の覚悟ってのを、見せてやるよ。--ドラゴン・アクセル!」
『アクセル・エボリューション・オーバードライブ!』
俺はガントレットにドラゴンのカードを差し込んで叫び、破壊の力を顕現させる。
さあ、ここからが正念場だ!




