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何者だよ!  作者: 星長晶人


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29/50

さあ、襲撃だ

「……こちらα。目的地に到着した。どうぞ」


 俺は変身後の姿で暗闇に紛れ、仮面に内臓されているという小型トランシーバーに声を放つ。


『こちらθ。αの姿を確認。βはどう?』


 すると耳元からθに変身した坂井の声が聞こえた。……この便利な発明を普通のことに活かせないものなのか。


『……こちらβ。問題ない。透視で見てくれ』


『了解。……大丈夫よ。事前に調査した通りの人数だわ』


 今俺達三人のアウラは敵アジトへの襲撃を果たすため、廃工場を囲むように夜の闇に身を隠して潜んでいた。特に黒い俺の隠蔽度ったらねえな。息を潜めていれば近くを通りかかった人にも気づかれなさそうだ。


 βも物陰に隠れながら進み敵アジトの裏口へ回っているハズだ。俺は正面から。……俺があいつの囮に使われてるのは気に食わないが、これが終わればテネスの進化が止まり、おそらくだが学校に大量のアメがあるということも解決に近づけると思う。


 俺とβの二人で敵アジトの正面と裏から忍び寄っている訳だが、θがどこにいるかというと、百メートル程離れた家屋の屋根の上で狙撃モードに切り換えた銃を構えている。スケーティング・フォースというカードを使えば透視が出来るというのだから便利だ。


 事前に坂井が調査を行った結果、常にテネス数体が警備に当たってるらしい。所謂事情を知ってテネスになったヤツらがいる。そいつらはおっさんが言うに敵が直々に選んだ精鋭だそうで、激しい戦闘が予想される。


  幸い人気のない場所なので夜の今一般人は誰一人としていない。


 因みにここにはいないが俺が過去二回アジトに呼ばれた時にいた美雪は、おっさんに潜在能力を見出だされてアウラへの適性があるか調べていたらしい。……何を勝手な、と思ったんだが、本人の意志ありきと言われればおっさんを責めることは出来ない。一応の説得はしてみたが、それも効果があるかどうか。


 今作戦の切り札という訳でもないので成功しなければしないでデメリットがある訳じゃない。εというのが適性ありのアウラの名前だそうだ。相手は精鋭テネス九体とかなり厳しい状態なので、一人増えるだけで有り難いとも思う。だが個人的な意見としては美雪に戦って欲しくない気がする。


『……こちらε。本作戦の指揮を取らせてもらいます』


 耳元から緊張した美雪の声が聞こえてきた。変身した訳じゃなく、アジトにある通信機器からの音声だ。


「…………あんまり気負うなよ、美雪」


 俺は苦笑混じりに応える。


『……αの言う通りよ、美雪。そんなに緊張することないわ。失敗したら博士の作戦ミスだし』


 それもどうかと思うが、θが自分の緊張を解そうとしてるのが分かったのか、少し微笑む声が聞こえた。……解れたんならいいんだけど。


 今回の作戦内容は単純だ。俺が正面から堂々と侵入。警備のテネスを引きつけておき、βが裏口からこっそり侵入。θの援護ありで九体または五体ぐらいのテネスと戦闘し、廃工場を壊しながら戦う。その隙に敵のボスをβが確保。それで状況終了となる予定だ。


 だがそうはいかないだろう。いくら俺がドラゴン・アクセルを使ったからといって、精鋭テネス達に勝つことは出来ない。きっと苦戦してθと共闘しつつ時間を稼ぐしかなくなる。それに加えて中にテネスが数体残っていた場合はβが負けて作戦失敗となる可能性が高く、各個撃破が一番なので厳しい戦いになるかもしれない。


『……では、作戦開始といこう。頼んだよ』


 おっさんがアジトの通信機器から言って、俺達は動き出す。といっても真っ先に動き出すのは俺だ。


「……メテオ・アクセル!」


『アクセル・レボリューション』


 低い無機質な男の声が俺に続く。俺は金色のカードをガントレットに差し込み、いきなり必殺技を決める。


「おらぁ!」


 俺が拳を振るうと同時に、金色のオーラの塊が放たれ、廃工場のシャッターが閉まった入り口を吹っ飛ばす。


『『『……』』』


 堂々と、とは言ったものの呆れているらしい雰囲気が通信で伝わってきた。


「敵襲! ただちに正面に戦力を集めろ!」


 一体のテネスが叫んでいた。


「……チッ! ビッグ(フォー)を集結するしかねえな!」


 新たに来たテネスが言い、ビッグ4とやらの残り二体が到着して横並びに一列になる。……何だ?


「……我ら!」


「テネス!」


「ビッグ!」


「4!」


 淀みなくそう言って各々ポーズを決める。……何だこいつら。


『油断しないで。何かしらの特殊能力を持ってる可能性もあるわ』


 θの位置は俺を後ろから見える場所なので通信で忠告してくる。……特殊能力ね。


「……ビッグ4だか何だか知らねえが、俺の邪魔すんなよ」


 俺は拳を打ち合わせて並ぶ四人と対峙する。


「……悪いがそれは出来ないな。何故ならお前はここで俺達に倒されるからだ! リー!」


「おうよ! ……敵影捕捉! アウラ三体!」


「……っ」


 リーと呼ばれたシャチっぽいフォルムのテネスが地面に両手を着くと、レーダーを展開したのか潜んでいる俺達三人の居場所がバレてしまったようだ。……チッ。これが特殊能力ってヤツか。だが索敵能力が高くても俺には勝てない。


「一人は前方百メートル付近の屋根の上! もう一人は――裏口だ!」


 見事に居場所がバレてしまい、俺は残る五人に連絡されない内に倒さなければならなくなった。


「……四連メテオ!」


 俺はガントレットに金色のオーラを纏い、四体全てに向けてオーラの塊を放つ。


「キャッスル・ウォール!」


 だがそれらは全て、当たる前に城のように展開された巨大な虹彩を放つ盾によって防がれてしまう。……必殺技だったんだが、それでも破れないか。なかなか硬いな。


「……チッ。なかなかやるじゃねえか、ピッグ4」


「ピッグじゃねえビッグだ! てめえわざとだろ!」


 ビッグ4に誇りを持っているのか、きちんとツッコんでくれる。


「……はっ。どっちでも一緒だろ。相手が悪かったな、丸焼きにしてやるぜ」


「……我ら四人に勝てると思うな、アウラ風情が!」


 互いに挑発し合い、戦闘が開始された。

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