これが、坂井理奈の正体だ
半年振りくらいですかね
遅れてすみません
お気に入りがいなくなってしまいましたが、せっかくなので完結させます
のんびりゆっくりですけどね
「……あれ、何?」
クラスの誰かが呆然と呟く。
「……こっちに向かってきてるな。軍か何かが動かないのか?」
ウルトラ〇ン並みのデカさだ。……俺一人で対処出来るわけねえ。
「……この中で賢人が変身するとバレるわよ。どうするの?」
美雪がコソコソと耳打ちしてくる。
「別んとこ行ってもバレるしな。こうなったらーー」
俺は歩いて窓際まで行き、窓枠に足をかける。
「っと」
俺はクラスの視線を集める中、窓枠に上る。
「……さあ。正々堂々いくぜ! ーー変身」
俺はニヤッと笑いながら、ベルトを出現させ、アルファへと変身する。
「なっ! お前が正義の味方だと……!?」
宏介が驚いて言う。
「いや。何のことだか」
すっとぼける。
「おい! 目の前で変身しといて、何惚けてんだ!」
「いや、知らないし。俺はただ、あのデカブツが気に入らないから、ちょっと殴り飛ばして宏介ん家潰すだけだから」
「俺ん家潰すな!」
他のクラスメイトは唖然としている。
「やっぱり、あなただったのね」
そんな中、一人頷いていた。坂井理奈だ。
「……お前はどっちだ?」
俺は警戒して言う。
「もちろん、あなたの側よ」
坂井はそう言いながらベルトを出現させる。
「……クラスに、正義の味方が二人……?」
誰かが呆然と呟いた。
「ーー変身」
坂井が変身する。俺とは真逆で純白だった。綺麗でカッコいい。……俺なんかよりもよっぽど正義の味方っぽい。
「私はアウラのシータ。よろしくね、アルファさん」
「ああ」
「あれは集団テネス化現象。個々のテネスを集めて作った巨大テネスよ」
「……いや、あんなの俺達の手におえる相手じゃねえよ」
蟻のように踏み潰されておしまいだ。
「大丈夫よ。博士からカードを貰ってるの」
坂井が銀色のカードを渡してくれる。
「……ふーん? ウイング・アクセル」
俺はそれをベルトに差し込む。
博士ってのは、あの変なおっさんのことだろう。
「おっ?」
俺の背に、漆黒の鳥のような翼が生えた。
「ウイング・フォース」
坂井のはフォースというらしく、純白の翼が生える。
「じゃ、ちょっくらあいつぶん殴ってくるわ」
俺は唖然とするクラスメイトに軽く言い、飛翔する。
「ふふっ。気楽に言うわね」
坂井は楽しそうに笑って、俺を追うように飛翔する。
巨大テネスはスマートな細マッチョ体型だ。……速くないといいんだが。でかくて速いとかもうそれチートだし。
「……で、どうやってあんなの倒すんだよ?」
俺の持つカードにあんなでかいのを倒せそうなのはない。
「……自信満々だったのに、方法を思いついてたわけじゃないのね」
坂井は呆れたようにクスッと笑い、二丁の銃を構える。
やけに銃身の長い銃だ。あいにく俺は銃に詳しくないからどれに似てるとかわからん。側面に鳥の翼のような飾りがある。
「私、見ての通り遠距離だから、頑張って。援護するから」
……そうなるよな。
「私の力はフォースよ。銃のカートリッジを変えて様々な効果を得るの」
坂井は解説しながらカートリッジを何かを押して抜いて、ベルトの方から射出された新たなカート
リッジを差し込む。元あったカートリッジは粒子になって消えた。そういう仕組みなんだろう。
今さらだが、俺達自身に影響を与えるような、例えばウイングのようなモノはベルト。バトルに使う時は武器に差し込む。
俺と坂井は巨大テネスの目線の高さまで飛翔して、ゆっくりと、それでも俺達から見れば早く歩く巨大テネスの様子を見る。
俺達を視界に捉えたようで、止まった。
「……妙な力とか持ってんのか?」
見た感じでは完全な人型で、武器なども見当たらない。
「知らないわ。でも、注意した方がいいんじゃない?」
坂井は言って、少し下がった。走られたら一気に詰められる距離だし、それを警戒してのことだろう。
俺もガントレットにカードを差し込んで戦闘準備をしようとするが、巨大テネスがスッと構えたことに気付く。……動きがスムーズだ。巨大化すると動作が遅れてもいいと思うんだが、人間と同じ早さらしい。
その構えは、ボクシングのファイティングポーズだ。
左手と左足が少し前に出ている、右利きのファイティングポーズ。
その構えを取ったということは、次の動作は決まっている。
「っ! ガーディアン・アクセル!」
基本の効果、ガードの上位に当たる防御だ。
ガントレットから物々しい程の漆黒の大盾が出現し、さらに何かの紋章がその前に幾重にも張られる。
そして、完全防御態勢の俺に襲いかかってきたのは、紋章も大盾も貫き、俺を遥か後方に吹っ飛ばす重い衝撃だった。
翼があるのに耐えられず、学校を突き抜けてさらに後ろへと吹っ飛び、何回か建物を突き抜けて、やっと止まった。地面に墜落し、痛みで俺はボーッとしてしまう。
左だ。
プロ並みの左が俺を襲い、斜め下へと吹っ飛ばされた。
あの巨体でボクシングとか、容赦なさすぎだ。
避けられればそれが一番なんだが、俺が後ろに飛ぶより向こうが一歩踏み出す方が早く、ジャンプ力がわからない今、上へ飛ぶのも危ない。左右でも左が連射出来ることからわかるように、一発避けただけじゃ終わらない。
よって、後ろからこっそり近付くしか近接に持ち込めないかもしれない。かといってそれをやると坂井が危険だ。遠距離だから飛びながら攻撃出来るが、右をくらったら死ぬかもしれない。いくらアウラといえども容量オーバーの攻撃は致死の可能性がある。
……だが倒さなければ、学校にいるヤツは全滅。ここら一帯もたたでは済まないだろう。
「……だったら、どうにかするしかねえだろうが!」
俺は痛む身体に鞭打って立ち上がる。背中と腕が主に痛い。だが、俺は正義の味方だ。
逃げるわけには、いかねえだろ。




