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何者だよ!  作者: 星長晶人


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12/50

ん、別にいいけど

「ったく。何で俺が料理しなきゃいけないんだよ」


 俺はとりあえず冷蔵庫を漁りながらぼやく。


「……まあ、作るけどな」


 美雪に頼まれたし。


「……ふむ」


 一通り冷蔵庫を漁ってみたが、やや冷凍食品が多めだ。俺は出来るだけ手料理を作るようにしてるが、美雪は手料理と冷凍食品が半々だろうか。


「……独り暮らしに飲み物四本はいらんだろ」


 何より。


 お茶、炭酸飲料、オレンジジュース、スポーツドリンクまである。気分によって変えるんだろうか?


 まあ、冷凍食品が多いと言っても、冷蔵庫がかなり大きいので、色々食品も揃ってるし、別に問題ない。


「う~ん。結構あって悩むな」


 あるものだけで作ろうかと思ってたが。


「こんだけ材料が揃ってれば、思い付いたもんでも作れるんだけどな」


 俺は買い物ん時に必要なもんしか買わないから、冷蔵庫にはその日の材料しか入ってない時って多いし。


「とりあえず、俺が食いたいもんでも作るか」


 美雪の食いたいもんは知らんが。


「うっし。とりあえず汁物から作るか」


 美雪に借りたエプロンを装着して、晩飯の調理に取り掛かった。


 ▼△▼△▼△▼△


「ん、いい匂い」


 美雪は風呂から上がって、ソファーでのんびりしていた。


「もうすぐ出来るからな。もうちょい待ってろ」


 調理も終盤に差し掛かっている。美雪は手伝いたいと言ったが、俺がお世話になるからせめてもの礼だと言って止めた。まあ、美雪をびっくりさせたいってのもあるが。


「悪いわね、ご飯を作ってもらっちゃって」


「別にいいって。こっちは泊まらせてもらう身だしな」


 さっきも言ったが。


「泊まってもらうのも、私が無理矢理お願いしたからだから、別にお世話になるから、とかは気にしなくていいわよ」


 すっかり元の落ち着いた雰囲気に戻っている。


 風呂で整理をつけたんだろう。風呂って意外と考えるにはいいんだよな。


「よしっ、出来た。美雪、飯だぞ」


 俺は料理が完成して、美雪に呼び掛ける。


「わかったわ」


 美雪はソファーから立ち上がって、テーブルの席に着く。


「ご飯に味噌汁? 意外と普通ね」


 美雪はテーブルの上にある物を見て言う。そう、俺はまだご飯と味噌汁だけしかテーブルに出してない。


 主役は遅れてくるのが普通だからだ。


「ああ。メインディッシュはあるから心配すんな」


 まず、テーブルに酢豚を置く。


 ちゃんとした手作りだ。


「次はこれ」


 キムチをテーブルに置く。ちなみに、これは市販のだ。


「キムチ?」


「そしてこちらが本日のメインディッシュになります」


 俺は、薄いピザを二枚置く。一人一枚計算だ。


「ピザ?」


 テーブルに並べられた品々を見て美雪は首を傾げていた。


「では問題です。これは何の集まりでしょう?」


 ちょっと雑な問題だが。


「……日本、中国、韓国、イタリアの料理でしょ? 皆バラバラな国の料理ってことじゃないの?」


 おっ、いいとこに気が付いたな。


「ブブー。不正解。正解は、俺の食べたいものでしたー」


 作る前にちゃんとそう言ったし。


「……そんなの知らないわよ」


 美雪は呆れ顔で言う。


「不正解だった罰として、ジュースは抜きです」


「えっ? そ、それだけは駄目よ。一日三本五リットルが私のモットーなの」


 どんなモットーだよ。


「そんなモットーは捨てなさい。ジュース代が勿体ない」


 一年三百六十五日で千九十五本の計算じゃねえかよ。一本百五十円だとしたら、……計算めんど。ってか、俺は数学は苦手なのに暗算なんか出来ないっての。


「一食一本よ。別に普通でしょ?」


 いや、飲み過ぎだから。


「一食一本の三分の一ぐらいが精々だっての」


 夏は半分ぐらいいくかもしれないが。


「それでよく喉が渇かないわね。不思議よ」


 ……あんさんのその細い身体のどこに約二リットルのジュースが入るんだよ。そっちの方が不思議だ。


「まあ、とりあえず美雪の飲み過ぎの件は諦めよう」


 止められないだろうしな。


「飲み過ぎじゃないわよ。失礼ね」


「いや、明らかに飲み過ぎだろ。他のヤツに聞いてみろ。『一日何リットルぐらい飲む?』、『う~ん。二リットルぐらいかなぁ』。そうやって答えるに決まってるだろ」


 俺も二、三リットルが普通だ。


「……そんなことはないわ」


 だったらその間は何だ。


「ま、いっか。んじゃ、飯食おうぜ。いい加減食わないと、冷める」


「そうね」


「「いただきます」」


 手を合わせて言う。


「……全部手作り?」


「ん? まあ、ピザ生地はさすがに作れないけどな」


 やってみたいが。


 美雪は黙って箸を置いた。


「不味かったか?」


「……いえ。むしろその逆よ」


 ?


「何で手作りでこんなに美味しいのよ!」


 バン!


 美雪は机を叩いて立ち上がった。


 ……は?


「美雪、料理出来ないのか?」


 あんなに材料があんのに。


「……出来るか出来ないか微妙ね。どっちかって言えば出来ない方よ」


 美雪は落ち着きを取り戻して椅子に座る。


「材料は結構あったぞ?」


「練習中なのよ。作っても失敗するから冷凍食品が多いけど」


 なるほど、だから材料も冷凍食品も多いのか。


「お願いがあります」


「んあ?」


 いきなり美雪が敬語を使った。


「私に料理を教えて下さい」


 深々と頭を下げて言う。


「別にいいけど」


 俺は即答する。


「その代わり、とりあえず飯全部食おうぜ」


 全然進んでかない。


「ありがとう、賢人」


 美雪は笑って言い、飯を再開した。

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