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祭中の約束者

向かい合って

示しあって

そこからがスタート

配点(二人)

side京香


終わった。


蓮里の逆転勝ち。


「……」

「……」

「……」


帰って来た皆は黙り込んで俯いている。


「顔を上げなさい」


お姉ちゃんの声が響く。


皆がハッと顔を上げる。


「恥ずかしくなるような試合をしたのですか?」

「……全力でした!」


楓が叫ぶ。


その目から涙が溢れている。


「全力で……完璧で……負けました」

「であれば、受け入れるしかありませんね?」

「いいえ」


お姉ちゃんの言葉に楓がはっきりと言った。


何だかんだでお姉ちゃんのことが大好きな楓。


その楓がはっきりと反抗した。


「受け入れたくありません」


はっきりと、自分の気持ちを吐露した。


「私のほうが強いです。絶対に!」


これが、王者の、栄光のプライド。


「次は証明してみせます、絶対に!」


皆が一様に頷く。


「明日からまた練習です。キツイですよ?」

「「「「「はいっ!」」」」」


この練習試合を組んでよかった。


心からそう思った。




side沢木


「よし、お疲れ、だな」

「ま、それくらいね」

「圧勝できなかったしねー」

「私の中ではイリヤが外したの以外計画通りでしたけどね」

「お、言うね」

「うーん、ゴメンね?」

「いいのよ。今の時点で完璧なわけないでしょ?」

「潰すべき課題も見えた。お前ら、帰ったらもっと厳しく行くぞ、いいな!?」

「「「「「押忍ッ!」」」」」




エキシビションマッチ


沢木兄妹VS健二、知美


side健二


せっかくの機会だ。


目の前に全国トップがいるのだから挑まない訳にはいかない。


こいつを倒さなければ全国はないのだ。


少しでも情報が欲しい。


そう言うと壮は快諾した。しかし、


「1対1、っていうのも詰まらない。知美と2メンゲームでいこうぜ」


というわけだった。


確かに俺はポイントカードだからもう1人いたほうがいいけど……


壮の相方は喜美になった。


知美VS喜美


かなり好カードだ。


果たしてどちらが強いのか。


俺が負けたら何にもならないが。


西条も、蓮里も、栄光も。


全員が観戦している。


負けるわけにはいかない。


じゃんけんで先攻を決め、相手の先攻となった。


壮がボールを持つ。


「さぁて、前からちょっとは強くなったか、見てやるよ」

「頼む」


壮が前屈みになる。


「……」

「……ッ!」


弾丸のように飛び出して来た。


速ッ!?


一瞬で抜かれる。


壮がニヤリと笑う。


……油断したな!


今俺は、わざと抜かれたのだ。


右に体を寄せることで左に隙をつくったのだ。


そしてそこにいるのは……!


「どう!?」

「おぅっ!?」


知美だ。


巨大な沢木の突進にも躊躇なくコースをふさいだ。


「っぶねえなオイ!」


しかし沢木は想像の上を行く。


急ストップ、どころか一気に後ろに飛んだ。


「っと、こんなもんか?」


そのままフェイダウェイショットを決める。


加速状態から0に、それどころかマイナスにするか!?


「ちょっと兄さん、私が活躍してないんだけれど?」

「いやぁ、俺だけで抜けちゃったからなぁハッハッハ」


あからさまに挑発している。


「ほら、そっちの攻撃だ」


沢木にボールを渡される。


俺はすぐにパスを出した。


知美と喜美の対決になる。


「さぁ、来なさい」

「これは勝たせてもらうよ」

「負けたら言い訳できないわよ?」


知美が鋭く切り込む。


「甘いわね」


それでも喜美は抜かれない。


知美は方針を切り替えてパワードリブルで押していく。


それを喜美は受け止めて見せる。


ホントに規格外だ。


しかし知美にも横飛びのシュートという武器がある。


「よしっ!決まった!」

「あら?」


それは見事に決まる。


壮のような無茶苦茶な上手さではないが、丁寧だった。


「喜美、どうだ?」

「2回目はないわね」


喜美があっさりと言ってのける。


「じゃあまたこっちの番だな」


壮がボールを持つ。


さぁ、何で来る?


壮の特徴は技の多さ。


そしてスピンムーブだ。


さっきと同じように切り込んできて、フェイダウェイか?

それともあのスピンムーブで抜き去るか?


喜美へのパスか?


ドライブで切り込んで来た。


俺は何とかそれについていく。


そこにあのスピンムーブが炸裂する。


右にいた壮が左を抜いていく。


しかし知美のヘルプが間に合う。


それを見た壮は後ろに飛ぶ。


フェイダウェイか!?


違う、そこからノールックパスを選択した。


スイッチで俺が喜美につく。


思えば喜美との対戦は初めてだ。


喜美がユラユラと右、左に揺れ、突っ込んできた。


それしか知らぬというふうな愚直な突撃。


しかしその加速力は知美をも上回る。


しかしいくら俺でも小学生にはやられたくない。


なんとかついて行く。


ペイント内に侵入したところで喜美が飛んだ。


まさかフローターか!?


なんとか俺も飛び上がるが、もともとフローターはブロックをかわすショット。


指先をすり抜けるようにボールが飛んでいく。


しかし力加減を間違えたのか、リングまで届きそうにない。


後は俺が着地して取れば……!


その時俺は、人が飛ぶのを見た。


喜美のそれはフローターではなく、パスだった。


兄妹という完璧なコンビネーションの2人だからできる大技。


壮は右手1本でボールを掴むと、そのままリングにたたき付けた。


アリウープ


「っとまぁ、こんなところだな」

「フフフ、アイコンタクトだけでここまで出来るとか私もビビったわ」


壮が地面に降りてくる。


周りの歓声はすごいものだ。


これが、沢木壮なのか……!


全国に至る壁は高く、分厚い。


この練習試合を組んでよかった。


心からそう思った。




side沢木


最後の練習が終わると、BBQ大会となった。


「お兄ちゃん、行っちゃうんですか?」

「壮兄さん、もっといてください!」

「壮さん、コーチお願いします!」


栄光の面々が俺にそんな嬉しいことを言ってくれる。


うん、嬉しいんだけど……


「お兄ちゃん、あっち行こうよ!ねぇ?」

「は、はい……」


イリヤのプレッシャーで離された。


「まったくお兄ちゃんは!ちょっと目を離したら他の女の子を口説いているんだから!」

「いえ、口説いているわけでは……」

「言い訳禁止!」

「はい……」


イリヤには逆らえない。


「あれ?そういえばイリヤ、試合始まる前のお兄さんの信仰告白の時に、ダメだよ、が、まだダメ、になってませんでしたっけ?」


そこに栄光のところから奪ってきた肉を携えて織火が来た。


「あれ?そうだっけか?」


思い出してみる。

……そういえばそうだ。


「ってえええええええええ!?」


それってまさかもしてかしてついにいやでもそんなばかな


「うーんっとね、お兄ちゃん」


イリヤがはにかみながら言う。


「イリヤが大人になっても、お兄ちゃんは私のこと好きでいてくれる?」

「当たり前だ」


俺はロリコンじゃない。


イリヤを愛しているのだ。


「じゃあ、私が大人になったら、イリヤをお嫁さんにしてくれる?」

「喜んで!」

「じゃあお兄ちゃん、約束」


イリヤが小指を出す。


指切りとかちょー懐かしい。


っていうかちょっと待て、これってまさか婚約!?


相手が小学生とかそんなの関係ない。


約束は約束。


「え、えぇ!?ちょっ!?婚約ですか!?」


織火も騒いでいる。


「お兄ちゃん?」


イリヤが首をかしげて言う。


考えるまでもない。


「俺は、沢木壮は、将来イリヤを妻にすることを約束します」


小指を絡ませる。


「嘘じゃない?」

「嘘じゃない。本気だ」

「じゃあ、イリヤも、将来お兄ちゃんを夫にすることを誓います!」


元気よく言って腕を振る。


「「指切った!」」


契約が成される。





side喜美


あっちのほうで兄さんが


「栄光に来てよかったああああああ!!」


とか言ってるけど何があったのかしら?


織火も


「イリヤ……恐ろしい子!」


とか言いながら隅っこでガタガタ震えている。


そのイリヤはどことなく嬉しそうだ。


「フフッ!これからよろしくね!喜美!」

「え、えぇ……」


これからもなにも、すでによろしくしているのだけれど?


何かしら?


すごい寒気が……




side沢木


「健二ッ!ここに連れてきてくれたお前に感謝だッ!ありがとう!心の底からありがとうッ!」

「お、おぅ?」

「はっはっは、やぁ由梨。調子はどうだ?俺は絶好調だがな!」

「沙耶、壮が壊れた」

「え?いつものことでしょ?ほっときなさい」

「いつもなんだ……」


沙耶が何か言っているが知らない。


今の俺は史上最高に幸せな男だ。


全中優勝の100倍は嬉しい。


「はーはっはっは!楓、どうした!暗い顔をするなよオイ!」

「別に暗い顔してないんだけど。というかちょっと話いい?」

「えー?どうした?やっぱ俺が好きか?残念!俺の嫁は名実ともにイリヤなんだな、これが!」

「もうやだマジうぜぇ……」


楓が嫉妬する。


それほど幸せに見えるか。


「喜美のことよ。アンタの妹」

「喜美?」


そこで頭が冷えた。


「喜美がどうした?」

「あんな奴とやったのは初めて」

「あんな奴が2人も3人もいたら迷惑だ」

「アイツとやってるとき、人を相手にしている感じではなかった」


そこまで言われて俺の頭は完全に切り替わった。


「どういうことだ?」


俺が今まで喜美に感じていた違和感がわかるかもしれない。


「ほら、喜美の奴、尻上がりに調子を上げたでしょ?」

「そうだな」

「そういう時って、なんか気持ちが高ぶるというか、気合いが見えるの。強い奴ほどそう。息づかいが感じられる」

「ふむ」


わからない話でもない。


調子がいいというのはテンションが上がるというのと等しいことだ。


「でも、喜美にはそれがなかった」

「……」

「なんか、機械を相手にしてるみたいだった」

「……なるほどな。オッケ。わかったよ、お前の言いたいこと」

「これでわかったの?アンタ」

「当たり前だろ?彼女いない暦0年の俺に何を言っているんだお前は?」

「地獄に落ちろナルシスト」

「はっはっは!」


笑ってごまかしたが、内心は複雑であった。




そしてついに全ての日程を消化し、俺たちは帰途に着くことになった。


最後に楓が


「次は私たちが勝つから!首を洗って待ってなさい!」


と言って、やべぇ少年漫画っぽい!とか思っていたら


「当たる前に負けないでよね」


と喜美が返して本当に少年漫画の世界になった。


「喜美、私も次は勝ちますから」


知美にもそう言われ、この4日のうちに2人ライバルができることになった。




そして帰りの電車。


「……」

「……」

「……」

「……」

「だから、あそこで織火を……ガァ」

「いやな、お前。織火だってそこまで求められたら……ムニャ」

「織火もフロー……グゥ」

「沙耶にミド……」


「「「「「「……」」」」」」


俺たちは全員そろって爆睡し、車掌さんが心配になって起こしに来るまで寝て、しっかり寝過ごすことになった

栄光編完結!

だいぶストーリーを進めました!


前回、調子に乗って次回完結!


とか書いちゃったら書くこと多くて泣けました。


まさかの婚約です。


イリヤも婚約がどういうことなのか幼いなりにわかっています。


幼いなりに、ですが。


次回からは夏休み編、沢木のインターハイ編、2学期の日常パートをお送りいたします。


さて、それでは最後に。


誰が1番本気だったのか、ということで1つ。

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