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加速場の速攻屋

本当の強さとは

誰も抵抗できないもの

配点(速攻)

side沢木


おはようございます。沢木です。


本日は朝食バトルに勝利して気分が良いです。


午前中はいつものようにBチームと基礎練習。


そして午後から


蓮里VS栄光B

西条VS栄光A


蓮里vs西条

栄光Bvs栄光A


の試合が予定されている。


今日の午後で2戦、明日の午前中で1戦の総当たりだ。


というわけで今日の午前中は蓮里以外は午後からの試合で頭が一杯のようだ。

3日目ということで慣れもでてきてしまったのだろう。


しかし我等は蓮里。


慣れの2文字はない。


あるのは進化の2文字のみ。


昨日できなかったことが今日できる。

昨日しなかったことを今日する。


常に目線は上で、しかし目の前の課題にしっかり取り組む。


もう俺が怒鳴るまでもない。


コーチの身内贔屓かもしれないが、こいつらが負けるとは思えないんだ。



そして午後。


ついに試合が始まる。


2試合は同時に行われるため、もう1つの試合はチラッとしか見えない。


栄光Bのコーチは京香がやることになった。


「よろしくね」

「ハッハッハ、覚悟しな!京香!」


蓮里、3試合目の実戦が始まる!




「お前ら、やることはわかってんな!?」

「押忍ッ!」

「勝つよ!」

「潰す!」

「ゴッ倒す!」

「任せてよ!」




「みんな、全力で!」

「「「「はい!」」」」




1Q


side喜美


ボールが上がり、沙耶がこちらに弾き飛ばす。


相手に沙耶より背の高い人はいない。


織火にボールを渡して上がる。


1撃目は大切だ。この初撃が流れを決めると言っていい。


織火がサインを出す。


1センター4シューター。


シュートタッチを取らせようということね。

ゲームメイクは完全に織火に任せている。


私はきっちり仕事をするだけだ。


沙耶がローポストに侵入し圧力をかける。


相手の注意がそちらにむいた瞬間に織火が咲にパスを飛ばす。


咲からイリヤへ。


スムーズに回り、0°からの2pシュートをしっかり沈める。ついに1撃目を決めた。




side沢木


今まで様式美のように外れていたイリヤの一発目が入った。まぁ散々練習したからなぁ。


と試合して外した後、イリヤは帰ってからこの世の終わりみたいな顔で頼んできた。


「シュート入れさせて」


そんな単純に解決はできない。

イリヤのそれはメンタルが原因のように思われた。


だっていつもは決まるんだもん。


だけど練習中のミニゲームでもどうしてか初撃が決まらない。


俺はイリヤに沢木式メンタルケアの方法を教えることにした。


「いいか、イリヤ。バスケの神様っていうのはな、よく俺達を見ているんだよ」

「マイケルジョーダン?」

「いや、人のほうじゃなくてマジの神様。神様はな、イリヤが頑張っていれば絶対にイリヤに加護をくれるんだ」

「練習を頑張れば神様が入れてくれるの?」

「そうだ。だから、練習一杯頑張って、後は神様に頼め」

「わかった!そうしてみる!」


見事に成功したようだ。


自分以外の何かに結果を託すというのは結構うまくいくものだ。


「ディフェンス!1本止めるわよ!」


喜美が叫ぶ。


相手のポイントガードに織火がくっつき、自由にパスを出させない。


なんとか隙を突いてだしたパスはイリヤのマッチアップ相手だった。


イリヤのほうが身長が高い。その威圧に呑まれた相手が慌ててシュートを打ってしまう。


その瞬間に喜美とイリヤが走った。


シュートはリングにあたり、跳ね返り、沙耶がむしりとる。


そのまま織火に投げた。


栄光は5人全員がこちら側にいる。

そして蓮里は2人が走っていた。


織火からの超ロングパスが通る。


パス1本で喜美はドリブルすることなくシュートを決めた。


「ファストブレイク……」


京香が悔しそうに言う。


いわゆる速攻というやつだ。


ディフェンスリバウンドを1本で奪うことができて、こちら側がある程度準備していれば仕掛けられる攻撃。


決まれば止めるのは非常に困難というか無理だ。


そしてこちらには沙耶というリバウンドの鬼がいる。


そして足の速い喜美とイリヤがいる。


超攻撃的なウチのチームにはぴったりの攻撃方法なのだ。


「さぁ、1本止めるわよ!」


喜美の叫び。相手には1本だって楽なシュートは打たせない。

そしてこちらはイージーバスケットしか狙わない。


止められない止まらない。

喜美とイリヤ、ただでさえ止めるのが難しい2人だ。


走られたら止めるのはほぼ不可能。


相手としては頑張ってオフェンスリバウンドを奪うか、喜美とイリヤに1人ずつ付けておくかの2つしかない。


沙耶相手にオフェンスリバウンドを取れというのは難しい。

咲や織火だっているのだ。

簡単には取らせない。

ディフェンスリバウンドは何が何でも死守するように指導してきた。


そして喜美とイリヤに1人ずつ付けると、まず体力が奪われる。

喜美とイリヤはずっと走り続けてきたお陰で怪物的な体力がある。

しかし普通の小学生にこの2人をオールコートで相手しろというのは酷だろう。


さて、完全に詰みの状態なわけだが、京香はどうやってこれを切り崩すのだろうか?




side京香


ファストブレイクを立て続けに決められ、こちらのオフェンスはほとんど決まらず、慌ててタイムアウトを取ることになった。


しかし対策は1つだけあった。


「相手の攻撃は全部織火ちゃんを起点にして始まっているよ。だから、喜美ちゃんとかイリヤちゃんを止める前にまず織火ちゃんを止めよう。やえ、行けるね?」

「はい。止めて見せます」

「うん。いい返事です。織火ちゃんにボールを渡さなければ少しはスピードがダウンするはず。

後、こっちが相手のペースに合わせて速くならないように。

24秒目一杯使っていこう。

喜美ちゃんにボールが渡ったらすぐにダブルチームで付いて。イリヤちゃんは1人でいいよ。

もし相手が普通のオフェンスに切り替えてきても慌てずに基本どおりでね」

「「「「「はい!」」」」」




side沢木


「京香ならたぶん織火を潰すことを思いつくだろ。咲、お前がイリヤの代わりに走れ。イリヤは織火の代わりでパスを出せ」

「私は変わらないの?」

「ああ、喜美はもらったらすぐに打っていい。咲は相手がいなかったら自分で、いたら喜美に渡せ」

「了解」

「よし行くぞ!」

「「「「「押忍ッ!」」」」」



side京香


こちらのオフェンスで試合が再開する。

相手のディフェンスは単純なマンツーマンなのだが、これが異常に硬い。

小学生のディフェンスではない。


相手を絶対に抜かせないという気迫に満ちている。

少しスクリーンなど使ってディフェンスを混乱させても、意地でもマッチアップ相手にくらいついてくる。

スイッチを知らないのか、使う必要もないと思っているのか。


結局タフショットを打たされる。


ウチが押されている。


点数的な問題ではなく、精神的なところで。


こういうときは無理やりでもドライブで切り込んでファールをもらってフリースローでつないで行くべきなのだ。


しまった、それを言うのを忘れていた……!


やっぱりコーチというのはパッとできるものではない。


リバウンドは沙耶ちゃんがその身長を生かして奪い取る。


あの身長はすごくうらやましい。


西条の美奈ちゃん、知美ちゃんといい。この世代はかなり強そうだ。


そして指示通りやえは織火ちゃんを潰しに行った。


くっついて離れない。


これでパスは通らない。


後は走った喜美ちゃんかイリヤちゃんを止めれば……!?



イリヤちゃんが走っていない!?



「はい」


沙耶ちゃんからイリヤちゃんへ。そして


「喜美!」


イリヤちゃんが怒鳴ってボールを飛ばす。

見事なパスだった。それはちょうど喜美が駆け込んできた位置に飛ぶ。


「フフフ、流石!」


喜美ちゃんを止めようと愛と美希が止めに入った。


ゴール前、2人同時に飛んで壁を作る。これで1回凌いだか!?


その時、私は喜美ちゃんへの評価が甘かったことを知る。


喜美ちゃんは急に速度を落として飛んだ。

そしてそこからレイアップを放つ。


フワリと浮いたボールは2人の指の上を越えて、ボードの上まで浮いて、そこから落ちてリングにあたる。

跳ねて、リングを通った。


「今の……フローター!?」


フローター、ティアドロップ、スクープ。色々言い方はある。

しかし断言できるのは、小学生の打つシュートではない。


喜美ちゃん……2人でも止められないの!?



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