体育館の変人
もしもし警察ですか?
犯罪者です
配点 (ロリコン)
しかしいつまでも1対1ではおもしろくない。
バスケの真髄は5対5にあるのだ。
ということに天才である妹が気づかないわけがなく、6年生になったその日に俺にコーチのお願いに来た。
俺だって暇ではないのである。
これでも県内1の進学校に入学して、よっしゃインハイ優勝してやんよ!と思っているところなのだ。
「兄さん、バスケクラブ作ることになったからコーチをしてちょうだい」
部屋で喜美が俺に言う。
この野郎。
勝手に上がりこんでしかも人のベッドの上にのってしかもパソコン開いてしかも止めろッ!それを見てはいけない!
それは禁断の履歴だッ!
「嫌だよ俺だって忙しいんだ」
「あらあら、そんなこと言っていいの?このオパーイな本が母さんの手に渡るわよ?」
妹というのは本当に嫌なものである。
こうやって秘蔵コレクションを発見される。そして脅される。
「テメェいつのまに!それは俺がわざわざ賞状の裏に貼り付けておいたのに!」
「この兄さん、思い出の結晶にエロ本貼り付けていたのね……で、返事はどうなのかしら?」
「嫌だよ。俺のオパーイな本が処分されるのはいやだけど、高校生活のほうが大切だ」
「だったらこれを兄さんのクラスメイトにも言いふらすわよ?」
喜美は行動力あふれる女性でもある。それくらいのことは平気でやる。
「ねぇ、兄さん。何も毎日見てくれなんていうつもりは無いわよ。週末。そう、週末だけでもいいわ。兄さんが練習の無いときに見てくれればいい。どうかしら?」
そしてその上でこのような譲歩案を持ってくるのだ。俺だってそこまでお願いされれば無下にはできない。
「しょうがない。じゃあ週末だけだぞ」
「ありがとう、兄さん。あ、そうそう。兄さんの好みの銀髪っ娘もいるわよ」
「……」
こいつ。オパーイな本を見たな?
次の週末。
練習を終えた俺は小学校に来ていた。
きちんと先生に許可ももらっている。
「そうですか。沢木さんのお兄さんですか」
その目が若干哀れみの目だったのはなぜだろう。
喜美は学校でいったいなにをしているのだろうか。
そんな不安を抱えながら小学校の体育館に入る。
「あ、兄さん来たわね」
「あれが喜美のお兄さん?カッコいい!」
「へぇ。あれが去年の中学王者か……」
「よろしくね、壮さん」
こちらを振り返った喜美を皮切りに4人が挨拶をしてくれる。と、そこへ
「お兄ちゃん!」
と飛びついてくる銀髪っ娘。何これ天国?
「兄さん、鼻の下が伸びているわよ」
なんと言われようとこの幸福は手放さない。
ロリコンになっていいかもしれないと真剣に思った。
というか既にロリコンになっていた。
「お兄ちゃん!毎日練習見てくれるの?」
銀髪っ娘に言われた俺は即答した。
「当たり前だろ!!」
既に俺の高校生活は崩壊を始めている。