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第91話 ブラックカンパニーとしての対応

 ブラックカンパニーでは緊急総会が開かれていた。


 僅か2週間に満たない時間でここまで戦局が激変するとは予想しておらず、ブラックカンパニーの上層部でも日本に関してどう見るべきなのが正しいか意見が割れていた。


「状況を整理します」


 ブラックカンパニーに吸収され、事務作業を手伝ってくれているクリネがこの状況を注力して情報を集めた為に進行役を任されていた。


「まず日本政府は九州全土、近畿一帯、南関東、北海道という日本の急所は押さえています。大和連合を名乗る組織は中国四国地方を押さえ、九州と関西方面に攻撃を仕掛けている状況です」


「他の地域は大和連合に賛同するものの、組織として見ると別の指揮系統で動いている為に別の勢力として見て良いでしょう」


「そして日本の海底資源採掘を担っていたマーレという企業がこのどさくさに紛れて海底都市のネオ東京を地上と分離し、独立を宣言。マーレは硫黄島を海外への貿易の為にと大規模な造船や整備施設あるドックを持っているため、ネオ東京の採掘及び工業力と硫黄島の造船能力があれば大規模な海軍戦力を運用する可能性もなきにしもあらずと言ったところです」


 クリネはおおよそ現在日本は政府4:大和連合2:独立宣言したネオジャパン3:その他勢力1という実質三つ巴の戦いが繰り広げられていると説明する。


「政府は人造ヒーロー製造が露呈したことにより支持率が低下し、反対運動が展開された地域もありましたが、武装警察により反対運動を武力で弾圧」


「それどころか適齢期の女性から卵子の提供を呼びかける始末で、大々的に人造ヒーローを作っているようです」


 一方で大和連合もクリネ曰くこの人造ヒーローを怪人や戦闘員の製造ラインに転用しようと目論んだが、人造ヒーローの研究所の守りは堅く、中国地方にあった製造ラインは大和連合に渡る前に爆発処分し、大和連合には阻止することが出来た。


 が、マーレによる電撃的な海底都市ネオ東京の占領によりネオ東京にあった大規模人造ヒーロー製造施設が無傷で鹵獲されてしまい、マーレの技術力で質を落としながらも戦闘員の量産を開始したと発表。


 これでマーレことネオジャパンは人的資源に困ることなく戦争を戦い抜くことが出来る。


 ただこの状況を諸外国も黙って見ているわけでは無く、日本政府に援助という理由を付けて日本に影響力を持とうと大陸系の国々が模索、アメリカは在日米軍を動かし、制海権を確保しているが、あくまで日本国内での問題と陸戦をする予定は無かった。


 ただ武器の供与は開始されており、資源不足で国内工場の生産能力が低下した日本政府にアメリカ製の武器が大量に流れ込んでいるらしい。


「この内戦が起こった経緯も説明しますと」


 きっかけはオママを含めた人造ヒーローによる攻撃の失敗である。


 人造ヒーローによる攻撃で壊滅に持っていけなかった組織経由で情報が悪の組織の間で広まり、そこに人造ヒーローの噂が流れたことで危機感が噴出。


 それにより悪の組織が纏まり出したタイミングで大和連合もしくはマーレ経由で人造ヒーローの製造施設の情報が露呈し、先制攻撃をしなければ、すり潰されてしまうと言う恐怖感が蔓延し、マーレから資金や武器の援助を受けた大和連合が決起し、それにつられて複数の悪の組織も決起、混乱に乗じてマーレがネオジャパンを建国という流れである。


「一応見立てでは長期戦になると思いますが3年程度で本州と四国における日本政府の勝利は揺るがないと思われます。ただマーレの動きや今は日本政府に協力している悪の組織達が大和連合に寝返った場合や近畿もしくは南関東のどちらかが陥落した場合はヒーロー側が勝利出来る見通しも無くなります」


「ありがとうクリネ」


 俺はクリネを下げる。


 ブラックカンパニーに出来ることはこの混乱のどさくさに紛れて日本を攻撃して実行支配をすることや戦線に人員を派遣して大和連合かネオジャパンと友好的な関係を築くこと等の色々な選択肢がある。


 ただ大企業の末席に入ったとは言え末席は末席……強力な軍事力や財力、技術力があるわけではない。


「世界が日本に目を向けている以上、俺達ブラックカンパニーは予定通り樺太の制圧、会社としての規模を拡大した上で余力があればネオジャパンに協力していこうと思う。皆はどうだ?」


「今の大和連合なら燃料が不足していると思うから高値で輸出出来るんじゃないかゼヨ?」


「確かに……大和連合に燃料を輸出することで恩を売るで良いな」


「「「異議なし」」」


 ということでブラックカンパニーからは大和連合に燃料を輸出することにした。


 売れてなかった石炭の液化燃料を中心であるが、それでも彼らは喜んで燃料を受け取り、代金として大和連合制圧地域の日本政府の研究所の資料や機械を受け取り、ブラックカンパニーの技術力向上に充てるのであった。







 日本が大混乱に陥ったことで日本円の価値が暴落し、1ドル1000円という超円安状態となった。


 幸いブラックカンパニーの殆どの資産はアメリカドルで保有していた為にダメージは最小限となった。


 俺ことKは海外の日本企業も本土が大打撃を受けて生産されても売ることが出来なくなった車や家電製品、ロボット等を安く買い叩き、フレームを改造して改造戦闘車両を作ったり、バラして一般戦闘員の技術習得の教材として使用した。


 何なら破産した工場の設備を買収し、ブラックカンパニーでの製造施設に充てたことで、ブラックカンパニーは途上国では十分勝負になるレベルの車や家電製品の製造が可能となり、博士の作ったロボットを用いて製造ラインを整え、格安の車を販売するに至る。


 新車で1万米ドルを切る格安さで売り込みをかけたところ、軽トラタイプが大人気で、軽トラを購入し、大砲や機関銃を設置したテクニカルトラックを紛争地帯では量産。


 ブラックカンパニーの貴重な外貨獲得手段になっていくのであった。

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