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第89話 博士の目論見

「ふむ、これがKの精液か」


 博士と皆から言われている私は、目の前の試験管に並々入っている精液を見て呟いた。


 そこから半分ほど精液を抜き取ると別の試験管に入れて検査に回す。


 もう残りの半分は私から摘出し冷凍保存している卵子を解凍して体外受精を行う。


「Kは私の事を女として見てくれてないからな。幼児体型だし、妹みたいに扱われて、結局バニーの奴と結婚するに至ったし……でもねぇ……私もKとの子供が欲しいんだよ。というより私の分身が欲しい。今回はどうにかなったが、私に万が一何かが起こればブラックカンパニーのロボットの維持も設備の更新も出来なくなる。緩やかな衰退ってやつだ」


「私に匹敵する研究者や技術者を引っ張って来れれば良いが、そういうのは大企業が囲っているし、言っちゃ何だが、気分屋の点を除けば日本で5本の指に入るくらい私は優秀のハズだ」


「仮説であるが、Kの肉体的な頑丈さと私の頭脳及び知識をコピーし、人造ヒーローではリミッターをかけていた頭脳の高性能化を施せば……人工的に天才児を作ることが出来るはずだ」


「そうなれば私に万が一が起こったとしてもブラックカンパニーはどうにかなる……たく、気分屋の私が将来を見越して行動をするとは……いや、それだけ理由を付けてKとの子供を欲しいと女としての私が疼いたか……」


「まぁバニーには悪いが、先に彼との子供は作らせて貰うよ。そうだねぇ5人くらいは欲しいなぁ……名前は私が尊敬する博士達の名前でも借りようかねぇ……クックック」








 博士がそんな暗躍をしているとはつゆ知らず、俺ことKは別の仕事を請け負っていた。


 というより俺が稼がないとまだ資源だけでは黒字に持って行くことは不可能だし……何より遅れている兵器類の調達をしなければ……。


 俺は前に仕事で伺ったアメリカの戦車マニアの爺さんの所に来ていた。


『おお、前にダニエルと一緒にIS9戦車を盗む強力をしてくれた戦闘員君が……ダニエル経由で頼み事があるからと聞いたが、儂に何か?』


『会長さんに頼みがあって……戦車をコレクションにしているくらいだから各国の兵器に関しても詳しいと思ってな。近々ロシア軍に対してうちの会社が攻撃を仕掛けることになって……ロシア軍の兵器を上回る兵器の調達をしたいんだが、専門家の意見が聞きたいので伺わせてもらいました』


『なるほどのぉ……それだったら喜んで語ろう』


 製薬会社の会長さん(以後会長さん)は嬉しそうに話し始める。


 量や質において1位となるとやはりアメリカが軍配が上がる。


 ただ高価かつ裏市場に流れないように徹底的に管理されているため型落ちで無ければ量を揃えることもままならないだろうと会長さんは言う。


 一方でロシア製造の武器はある程度の質と裏社会に大量の横流しが起こり、入手しやすいという点では優れている。


 しかし、同じ国の武器というのと横流しされた品なので品質は担保出来ないと説明された。


 武器に強い2カ国がこの状態なので別の国となるが、何を目的とした兵器が欲しいかと言われた。


 例えば無人機……ロボット等の武装パーツが欲しいなら日本が世界一の変態技術を擁しているし、歩兵の装備であればフランスが独自の発展をしていたり、革新的な物だとイギリスが、信頼性ならイタリア、スペックだけを追い求めるならドイツ、総合力ならポーランドと色々選択肢がある。


 目的とするのは無力化である。


 樺太のロシア基地を攻撃した際に欲しいのは戦車、戦闘車両、ヘリコプター、それに戦闘艦等の船である。


 これをなるべく無力化した上で鹵獲できたら最高であり、歩兵に関しては怪人を投入することで制圧する予定だと説明した。


『ふむ、儂も1枚噛んで良いか? ロシアの新しい戦車もコレクションに加えたい!』


「でもそんな新しい戦車を樺太の僻地の基地に起きますかね?」


『まぁ置かないだろうが、1世代前の戦車でも実際に使用する組織が多く、個人の財力だと入手できんのじゃ』


 話を詰めていくと、会長は戦車が欲しい、こっちはロシア基地を制圧した際の大型兵器を研究用に欲しい……利害が一致し、会長は戦車や兵器の電子部品を故障させて機能不全を起こさせる強力な電磁パルスを発生させる爆弾があると説明された。


 先進国では電磁パルスを防御する設備や機能があり効かないらしいが、型落ちかつ辺境のロシア軍基地にその対策予算が割り振られているかは怪しい為、高高度で爆発させれば周囲10キロの電気製品を故障させられ、外装は一切ダメージが起きないので効果的だと言われた。


『アメリカが開発したが各国が防御を整えたから見せ札的な扱いをされていたが、もう効果が無いと倉庫で燻っていたハズだ。中身の素材が砲弾として活用出来るらしいから砲弾に加工される前のを入手しよう』


「ありがとうございます」


『なに、戦車を頼むぞ』


 こうして後日50キロ爆弾と同じくらいの電磁パルス爆弾を入手し、着々と樺太制圧の準備を進めるのであった。

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