第84話 オママの子会社化
「いやぁ~ブラックカンパニーは充実してますねぇ〜」
そう言うのはブラックカンパニーに新たに所属することになったピクモンが連れてきた戦闘員の男性AK110である。
アトミックカンパニーの略でAK、一番前の1が男性を表し、後の10が個体番号である。
ブラックカンパニーの戦闘員は苗字か名前のイニシャルだけ、もしくはイニシャルと番号って決まっていたが、会社によって戦闘員の名前は少し変わってくる。
ちなみに話し相手をしているのは新しく怪人になったトリサードことサードである。
姿は鳥みたいな怪人になるのかと思いきや、可変型の戦闘機という感じで、人型形態とマッハ8の超音長距離速飛行が可能なアメリカの爆撃機B-2ピリットという機体にそっくりに変形することが出来る。
デカが地上から砲撃が出来るのに対して、サードは空中で戦う事が可能で、砲撃、爆撃、ビーム照射の3つの武装を選ぶことが出来る。
デカみたいに体内に誰かを入れて運ぶことは出来ないし、可変していない人間形態だと高速移動は出来ないものの、腕からジェット噴射をして音速で殴る蹴るをすることが可能な近接ファイターになっていた。
「そんなに他の会社とブラックカンパニーは違うの? AK110さん」
「まず社員食堂を戦闘員も使えるのが珍しい。怪人は表だと目立つから調理人が作った料理とかを食べるけど、戦闘員は私服に着替えてコンビニで弁当を買って食べるのが普通。こんな大量の料理を給料から天引じゃなくて食べられる時点で凄いぞ」
「社宅とかはどう?」
「そりゃもうそっちも凄い。というか社員で使える施設が凄いな。プールに大浴場、でっかいトレーニングルーム、1人1室の社宅……大企業でもここまで福利衛生に力を入れている会社はそこまで無いんじゃないか?」
「まぁ僕から見ても過剰な感じはするけど……」
「それに怪人になれば家を会社負担で建ててくれるんだろ! サードさんは家もらうのか?」
「実はデカって子と付き合い始めて、その子と一緒に家に住むことにして……今建てて貰っているんだ」
「ふぅ! そりゃ良い! ……そう言えばこの会社に来るきっかけになったKって戦闘員……あの人何者だ?」
「うーん、ブラックカンパニー最強の戦闘員で総領の旦那さん」
「それって戦闘員の中で最強ってことか?」
「いや、怪人も含めて……」
「ハハ、まっさか! 騙されないよ。ブラックカンパニーには3人もS級怪人が居るじゃないか」
「そのS級怪人を全員育てたのがKさんで、彼女達が1度も勝ててないし、纏めて相手しても勝てない……」
「マジか……」
「僕も……というより怪人になった僕、デカ、ワン、テトの4人の怪人でKさんに挑んだけど、返り討ちに遭ったんだよね……」
「どんだけ強いんだよ……てかそれならなんで戦闘員なの?」
「体質的に怪人に成れないんだって。まぁ怪人よりも化け物の部類だけど……僕がブラックカンパニーに勤める前にS級に匹敵するヒーローを1人で捕獲したりもしたらしいし」
「うひゃー……化け物だな……でもなんでそんな人とうちの隊長は知り合いだったんだろうか?」
「さあ?」
話題に上がっていたKはオママの所に居た。
「あら、スジ君、ピクモンちゃん、クリネちゃんの3人の会社が潰されちゃったの!」
「一応僻地だから大丈夫だと思うが、オママもヒーローに嗅ぎつけられたら困ると思って避難しないかという誘いをな」
「うーん、あんまり1社に肩入れはしたくないんだけど……K君的に私が逃げた方が良い理由を教えてちょうだい」
俺は人造ヒーローについてと、その人造ヒーロー達が手頃な組織を潰しまわり始めていることを話す。
「人造ヒーローねぇ……確かにそれは厄介だわ。避難ということは場所は用意してくれているの?」
「一応な。北樺太の廃村であるモスカリヴォという場所を提供しようと思ってる。灯台が今建築されているが、付属してオママのビル群の機能は移設出来るだけの空間がちゃんとある。レイアウトとかの要望は聞くが……」
俺はオママに資料を渡す。
「ふむ、悪くない条件ね。ただ1ヶ月は既存のお客さんに周知させる必要があるからここに留まるわよ」
「それだったらレグレスを用心棒として送るわ」
「あらレグちゃんを?」
「あぁ、あとこっちの若いのが性欲が凄いことになってるから明後日に5人ほどの男を連れてきても良いか?」
「勿論よ! サービスするわね!」
「じゃあその時に要望は聞くからよろしく」
「あら? もう帰るの?」
「うちの奥さんが子供が欲しいんだとよ」
「お盛んね。バニーちゃんにもよろしく言っておいて」
「はいよー!」
2日後、俺は人造ヒーローの男児達を集めてオママの所に連れて行くと言った。
「ムラムラを解消できるって本当!」
「ケケ、楽しみ」
「ああ、本当だ。悪かったな。本当はもっと早くに連れていきたかったんだが、ドタバタしていたからな。ワンとサードはくれぐれも巨大したり、変形したりするなよ」
「「はーい!」」
「それにサード、今日行く所の技術は覚えておいたら一緒に住むデカの事を満足させられるぞ」
「ん? どういうこと?」
「今日学んで貰うのは保健体育だ。存分に学んでこい」
「「「「「はーい!」」」」」
というわけで男児達をオママの所に連れて行く。
「あ、おじさんお疲れ様」
「おう、レグレス……受付やらされてるのか?」
「そう。受付くらい出来るでしょってオママに言われて……お、男児達じゃん……ハハーンそういう事」
「まぁそういう事だ。コイツらをソープコースで頼む。俺はオママと相談することがあるんだが……オママは今どうしてる?」
「常連客のマッサージ中。おじさんが来たらバーの方で待ってて欲しいって伝言を貰ってるわ」
「うい、じゃあ子供達を頼むわ」
「は〜い。じゃあ皆エレベーターに乗って。部屋に案内するから」
「「「「「はーい」」」」」
「待たせて悪かったわねK君」
「いや、オママも仕事があるから仕方ねーよ」
「条件のすり合わせだけど、ブラックカンパニーとは今までの業務提携よりブラックカンパニーの子会社という立場になることにしたわ」
「それまた何故だ?」
「ブラックカンパニーの土地を借りてるし、ブラックカンパニーの本拠地と近くってなったら他のお客さんはブラックカンパニーと業務提携と言っても納得しない人も出てくると思ってね。だったら有利な条件で子会社にしてもらった方が良いわ。条件がこれよ」
ブラックカンパニーには社員割が適応で、サービスや人身売買、戦闘員加工代金の40%近くの値引き。
ブラックカンパニーの怪人を用心棒として1人以上営業時間中は駐留させる。
代わりに土地や建物のレンタル代金の値引きをお願いする内容になっていた。
「土地や建物のレンタル代金は要らないぞ。オママの施設が割引して使えるだけでこちらはありがたいし……」
「あらそう? あと戦闘員とかの仕入れも継続で良いのね?」
「あぁ、そのまま頼む」
「わかったわ。これが要望する施設の内装と設備よ。1ヶ月で足りるかしら?」
「まぁ何とかなるだろう。博士に言っておくよ」
「お願いね」
店に入ってから2時間後、男児達はツヤツヤになって帰ってきた。
「どうだった?」
「滅茶苦茶気持ちよかった」
「嬢って言えば良いのかな? その人の技術が凄くて……」
「ケケ、滅茶苦茶可愛い人だった」
「今度デカにも試してみよー」
「サード、デカには避妊を忘れるなよ。1ヶ月したらこの施設が樺太に移動となるから給料の範囲で自由に通え」
「「「「「はーい!」」」」」
その後男児達は自分と当たった嬢の情報交換をしたりレビューの言い合いをするのだった。