第82話 北樺太基地
「おぉ~凄いっす!」
ワープ装置から更にワープベルトの2重ワープで北樺太基地に移動すると、街が出来上がっていた。
「おかえりなさい! 先輩方!」
見覚えの無い怪人の女性が僕達を出迎えてくれた。
「ん? 人造ヒーローの誰か?」
「はい! 元人造ヒーローだったデカデス!」
「えー! デカちゃんこんな姿になったんだ!」
前から背丈が大きく、アメリカ人に居そうな金髪の美少女であったが、身長が2メートル近くまで大きくなり、背中から肩にかけて大砲みたいな筒が2門ほど生えていた。
体型はボンキュボンのグラビア体型で、滅茶苦茶男性にモテそうな容姿や姿をしているなって印象を受ける。
「ウチの他にも怪人化した子が居ますよ! まぁとりあえず先輩方の家から紹介しマス」
そう言うとデカは急に変身を始めて、特徴的な2門の砲を備えた大型車両に変身した。
『ささ、皆さん乗ってください』
装甲車両の後の扉が開くと中に乗り込む。
中は意外にもリムジンみたいなザ·高級車……みたいな感じになっており、前にはワインセラーみたいに酒が置けそうなテーブルに、高級感ある8人が座れるソファーの様な座席になっていた。
「変身系の怪人になったっすか?」
『はい、やろうと思えれば大砲も格納できマス! なので高級車に擬態することができマス!』
車になったデカはゆっくり走り始め、直ぐにメーターを見ると時速100キロまで上がっていた。
イエローが
「デカは燃料とかって普通の食事?」
と聞く。
『YES! ただ食用油を飲むと調子が良くなりマス! 効率は悪いですけど泥炭風呂とかでも皮下で泥炭成分を吸収してエネルギーに変換することもできマス!』
するとカーナビ部分にデカの顔が映って返答してくれた。
「デカ、このカーナビ部分に映ってる地図ってどうなってるの?」
『ウチが実際に行った事のある場所、もしくは衛星の電波をJACしてナビを起動させてマス!』
と答えてくれた。
5分くらい車を走らせると、基地の中心部まで到着し、デカに降りてくださいと言われ、後から降りる。
デカも元の人間サイズに戻り、目の前の住宅を紹介していく。
「ここが怪人達の家になりマス! 一応前に皆さんにアンケートした内装になっているハズデス! 荷物もロボット達が纏めて運搬しています」
と言われ、目の前の薄い水色の家は僕の家らしいので入ってみることにする。
まずは外装……結構急になっているピラミット型の屋根が特徴的な2階建ての家で、先ほども言った通り薄い水色が中心の壁色をしている。
壁はコンクリートの様な物を使われており、入り口は雪国特有の二重扉になっている。
鍵はかけられて居らず、中に入ってみると、入り口からまっすぐ通路が伸びており、2階に行くための階段と地下に続く階段がみえた。
入り口から入ってすぐ左はリビングルームになっており、絨毯の上にソファーが置かれていた。
僕の前の部屋に置かれていたテレビがリビングに設置されており、ソファーで転がりながら見れそうである。
あと荷物系がリビングに段ボールで積まれて置かれており、後で片付けないといけないと思った。
南を玄関とし、リビングから北方向に向かい、スライドする扉を開けるとダイニングキッチンがあり、6人がけのテーブルと椅子。その横にシステムキッチンが置かれていた。
ちゃっかり前に使っていた電子レンジと冷蔵庫もキッチンに移動してある。
ダイニングキッチンの扉を開けると玄関から通じる通路に出る。
そのまま東側の部屋が2つあるので、手前から空けていくとドラム式洗濯機と乾燥機の2台が置かれており、その横に洗面台、後を振り向くとお風呂に繋がる扉となっていた。
お風呂は丸いジャグジーに壁際にシャワーが置かれており、広い部屋になっていた。
そのままもう1つの部屋はトイレになっており、便座が温まり、温水のジェトが出るタイプであった。
2階はリビングの半分程度の部屋が4部屋あり、これを1人で住んで良いらしい。
「マジっすか! こんないい家に住んでいいんすね?」
「土地余ってマスし、怪人だと立派な家を持ってないと格好がつかないから会社からプレゼントだそうデス。人造ヒーローのウチ達はまだ社宅のアパートデスけど……そのうち家に住むようになるらしいデス」
ちなみに地下は第二の玄関であり、地下通路に繋がっていた。
扉を開けて地下通路に出ると、普通の通路と動く床があり、基地が広い為に移動を効率化するために動く床が取り付けられていた。
地下には空いたスペースにロボットが運営する売店が設置してあり、生活用品やお菓子、雑誌類が置かれていた。
まぁコンビニと同じ機能である。
そのまま動く床に乗り5分ほどすると六姉さんの食堂に到着。
今回は社宅とは別々になったらしい。
食堂の広さも広くなり、同時に200人が入れる広さになっていた。
また地下空間を移動すると、大浴場があったり、トレーニング施設や戦闘訓練室、巨大プールもちゃんと作られていた。
そして事務所に向かうと、バニーさんとKさんとT1さんが書類仕事をしていた。
「おう、お帰りイエロー、レグレス、超、ウルフ、テレキ。お疲れさんだったな」
「Kさん!」
僕は久しぶりにKさんに会えたのが嬉しくて抱きついてしまう。
「ちょ! 超!」
「バニーさんが凄い顔してる!」
「あ!」
気を取り直し、バニーさんに僕、イエロー、レグの3人が怪人マッチでS級を取ってきた事を報告する。
「はい、お疲れ様でした。特に超、貴方10位になったからか連日他の悪の組織から貴方の卵子が欲しい、売ってくれって連絡が凄く来てるわよ」
「うぇ~気持ち悪いっす」
「まぁ普通の感性からしたらそうなるわね……とりあえず資産的に超の卵子を売らないといけないほど困窮しているわけじゃないから断っているわ」
「一生売らないで欲しいっす」
「とりあえず、基地もちゃんと出来たことだし、数日休んだら業務に入ってもらうわ。と言っても戦闘員の仕入れと戦闘員の育成が殆どになるけど。あと人造ヒーロー達が順次怪人になっているわ。デカも案内ご苦労さま」
「はい! お疲れました!」
「怪人達には新しい家があるからそこで過ごしてちょうだい。食事は基本六さんのところで、他には……うん、特に無いかな。とにかく怪人マッチお疲れ様でした」
「「「はい!」」っす!」
こうして私達は北樺太基地での生活が始まるのだった。