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第80話 3人娘の怪人マッチ 5

 S級10位の怪人を倒した超は一気に怪人マッチのランキング10位となり、ブラックカンパニーの隠し玉的な扱いを受けることになった。


 私ことイエローはS級に上がれたは良いものの、超みたいに適当に相手選手を選んで勝てるほど強くはないので、一端S級になったことだし、休息を選択。


 試合に勝ては大金が得られるが、正直A級の試合と昇格戦でも1試合1億円近く私の口座に入ることになっているし、今まで8戦したから8億円近く入る事になっている。


 あとS級の試合で1戦か2戦勝てば十分。


 超の場合強い敵の肉体を摂取すれば能力や怪人としての格を上げることが出来るため試合をバンバン挑んだ方が良いからと10位になったことで挑戦者がひっきりなしに挑んでくるので、毎日戦っているが、私はそれはやらないで、せっかく怪人マッチの会場に来ているんだから観光もした方が良いと思い、変装をして怪人マッチの会場や周辺施設を散策していた。


 山をくり抜いて施設を建てているのでピラミットの様に階層が分かれている。


 主に10階層に分かれており、1階は怪人マッチの運営をするスタッフの居住区や怪人マッチを主な収入源としている会社のあるスペースで、2階は商業区域。


 3階に選手達の宿泊施設があり、4階から8階が怪人マッチの会場。


 9階は発電施設や運営本部、10階がヒーロー達を閉じ込めておく監獄エリアになっている。


 10階は狭いエリアになっているし、もし万が一脱出を考えても、10階層から外に出たら極寒かつ暴風吹き荒れる7000メートル近くのデスゾーンの為に怪人に捕まるようなヒーローが生きて地上まで逃げれる可能性は低く、万が一地上に逃げれても、周囲の村々は悪の組織組合の息のかかった存在ばかりなので、怪人マッチが開かれてから30年……どんなヒーローも脱出できた者は居ない……とパンフレットには書かれている。


 そんで、私は今2階層の商業区域を歩いていた。


 大きな街って感じで闇市場に引けを取らないくらいの活気がある。


 使われている通貨はインドのルピーであり、1ルピーがだいたい1.5円という感じである。


 まぁとあるスイスにある悪の組織達が電子通貨を発行し、地域が違っても裏社会であれば電子決済出来る様になっているので、私もそのスイスが発行するルイコインというのと日本円を幾らか交換していた。


 ちなみにそのルイコインも価値が変動するために投資目的で使う人もいるが、基本的に裏社会で活用する電子通貨である。


 スパイシーな美味しそうな匂いに釣られて私は料理屋に入り、タンドリーチキンとライスのセットにワインを注文していた。


 ヨーグルトスパイスの効いた柔らかくてほろほろと口の中で崩れるチキンを米と一緒に食べていく。


 これが不味いわけがない。


 ワインと一緒に飲むと口の中がさっぱりする。


 そんなインド料理を堪能しているとモニターに超が映り、また挑戦者を返り討ちにしていた。


 超曰く強い怪人の血肉の食い放題と戦いながら噛みつき、腕の一部を持っていくので血に飢えた妖狐という渾名がつけられていたが、お陰で尻尾は増えてないものの相性の良い能力は吸収しているとのこと。


 まぁ能力が増えていることがバレると戦ってくれなくなるので、実力を隠しながら戦っているらしい。


 お陰でレパートリーがどんどん増えているとも言っていた。


 ただ無差別で能力のコピーが出来るわけではなく、あくまで相性が良いのに限られる。


 事実、私やレグの血を与えてもコピーできなかったし……。


 うん! タンドリーチキンうめぇ~! 


『ねぇブラックカンパニーの超って選手無茶苦茶美人よね!』


『強くて美人とか憧れるなぁ!』


『ブラックカンパニー壊滅したって流れてきていたが、あんだけ強い怪人が居ればそりゃカラーコミュニティは返り討ちに遭うわな』


『ブラックカンパニーこれで日本だと大企業でもないんだろ……日本って魔境過ぎないか?』


 等と店のお客さん達も話し合っている。


 盗み聞きしている形になるが、知り合いが褒められていると、なかなか気分が良い。


 でも実際バニーさんはこれからどうするつもりなのだろうか。


 私達が戻る頃には北樺太基地が完成して稼働する事に鳴っているし、人造ヒーロー達も数人怪人化に成功している頃だろう。


 人員もロシア市場から格安なのを買ってきて博士が再調整をして戦闘員に改造すると言っていた。


「まずは樺太の制圧からだろうけど、ロシア軍が黙ってるかなー」


 世界の軍事力だとアメリカが頭2つほど抜けている。


 時点で中国やインド、ロシアとなるが、そのロシアも悪の組織が内部侵食し、昔の強かったロシアは無くなっている。


 事実シベリア周辺は役人と悪の組織が癒着して、土地が闇市場で売られているのが現状である。


 ヨーロッパロシアを守るだけでも精一杯。


 そんなロシアの樺太防衛隊も5000人程度とバニーさんは言っていたので、戦力が整えば殴り込みにいくかもしれない。


 で、樺太を制圧してから本当に日本制圧の為に動くのか、それとも樺太だけで満足するのか……バニーさん次第としか言いようが無い。


 日本を制圧するとなると日本に居る悪の組織も敵に回す事になるだろうし、腐っても日本のヒーロー達が決死の抵抗を試みようとするのは目に見えている。


 学の無い私でもKさんから聞いた情報や自分が調べた情報でここまで調べられるので……どうなることやら。


 んむ! 旨い! おかわりしちゃおうかな! 


「店員さん追加!」


『はーい!』


 私はメニューを頼みながらモニターを見ると、今度はレグが戦っていた。


 相手は体中を宝石に変換出来る能力を持った怪人でビームが効いてないし、宝石の硬さを活かしてミサイルやガトリング砲の攻撃も効いてない。


 さてどうなることやら……。











 戦いの中で成長していくレグらしく、手のひらの細かい作業をするための小型アームが出ていた部分から片手の斧が飛び出した。


 両手の有線式指型ビットを手に戻し、この斧を掴むとエネルギーが供給されたのか黄色に光り輝き、高温になっていることがわかる。


 画面越しに観ていた私でもえげつないのが飛び出してきたなと思う。


 両手から斧を生やして握ると、レグが宝石怪人に向かって斬り掛かった。


 宝石怪人は腕でガードしようとしたが、一瞬の拮抗後に宝石部分が融解し、どろりと溶けて腕が斬り捨てられた。


 そのままレグは相手の四肢をプラズマカッターみたいな斧で切断してダルマにすると、流石に相手が降参を選び、S級89位に昇格した。


「どんどん武装がそろっていくな。ビームにミサイルにガトリング砲……トドメはヒートアックスかな? 凄いバリエーションになってきたな……まだ成長するとしたら今度は大砲でも出てくるのかな!」


 私も負けてられないなと思いながら店を後にするのだった。



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ザクだこれー!
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