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第71話 ゲームショップ襲撃事件

「はーいお給料だよ! これからも頑張ってね」


「「「わーい!」」」


 給料停止処置から3ヶ月……ようやく給料が支払われるようになったので怪人やベテラン戦闘員には給料停止期間+防衛戦のボーナス込みで1人200万から350万近くの給料が支払われ、それ以外の人造ヒーロー達には20万が支払われた。


 人造ヒーロー達はこれで1人1台ゲームが買えると大喜びで、俺に言ってゲームショップに行きたいとダダをこね始めた。


 で、この子達ももう少しで怪人になるため、表を自由に遊ぶ機会が無くなるだろうとベテラン戦闘員が引率して街に遊びに行くことにした。


 場所は札幌の日帰り旅行である。


 人造ヒーロー達は札幌の旅行雑誌を貰うと、どのルートで遊ぶか話し合いを始める。


 ちなみにベテラン戦闘員達も久しぶりの旅行に行けるとこちらも楽しみにしており、大人も子供も混じって旅行プランを考えるのであった。








 そんな皆が楽しい札幌旅行中に俺は博士から改良された怪人化薬を渡されていた。


「今までの怪人化薬の性能を25倍引き上げることに成功したねぇ〜! 今Kの怪人適性率は11%、引き上げた怪人化薬の薬効で成れるかは運次第!」


「では飲むぞ」


「うむ!」


 俺はごくごくっとビーカーに入っていた怪人化薬を飲み干した。


「……うぉぉぉぉ急激な痛みが!? ……起こらない……」


 待てど待てども変化が無い。


「精密検査をするよ」


 博士に言われるがまま検査を受けるが、結果は怪人に成れてないだった。


「うーむ、怪人化薬を投与したのに怪人適性率が下がっているよ……今5%だと」


「そんなぁ……」


「まぁKは戦闘員として頑張るしか無いねぇ……当分怪人化は諦めてくれたまえ」


 俺はしょんぼりしながら博士の研究室を出るのだった。








「やはりおかしいねぇ……私の計算であればKは今回の投薬で怪人になれているハズなんだけどねぇ……」


 私こと博士は確認作業に没頭していた。


「神のエキスを触媒とした新型怪人化薬……それこそ本人の素質より2段階上のクラスの怪人に成れる夢のような薬である。これとは別に怪人の覚醒を促す薬も作ったが……Kには効かないか。怪人適性率も下がってしまったし、本当にどんな身体をしているんだか……」


 私は出来上がった新型怪人化薬を眺めながら今後のヒーローと怪人のパワーバランスも大きく変化するだろうと思考する。


「アメリカの悪の組織……スペースジャックに薬の作り方は渡ったわけであるが、言ってしまえばブラックカンパニー程度の化学力でも新型怪人化薬や覚醒補助薬といった有用な新薬が作れたのだから……巨大組織のスペースジャックであれば更に強力な薬を開発することもできるのではないかねぇ」


「まぁアメリカでも神のエキスの原液やデータは保持したままだ。スーパーヒーローが跋扈するような世界になれば小道具が効かなくなるから嫌だねぇ〜」


 私はコーヒーメーカーのスイッチを押してコーヒーを作り、カップに注ぎ、椅子に座って思案する。


「北樺太の2分の1……樺太全体の4分の1……岩手県を少し大きくしたくらいの大きさであるが、日本に居るよりは出来ることが増えるだろうな」


 私はタブレットを操作する。


「可動可能な炭鉱が5箇所、樺太油田、海底の天然ガス、木材を使ったバイオ素材等も採取する事が出来るねぇ」


「私の得意分野であるロボットを増やして自動採掘や採取をするとして、得られる素材で更に兵器開発も出来るだろう……ブラックカンパニーは兵器類が弱いからねぇ……他の悪の組織では一般化しているプラズマ銃の技術すら遅れているから巻き返さなければ……」


 よっこいしょっと椅子から立ち上がり、壁に掛けられた地図を眺める。


「私を見捨てた企業への復讐もしなければな……さてKが持ってきてくれた人造ヒーロー製造装置を解析して教育用マシンを量産しなければ! やることは多いぞ! フハハハ!」


 私は白衣を着直して、コーヒーカップを食器洗浄機の中に入れると、再び働き始めるのであった。









「見て見てワン! 中京ファンタジーだよ! 中京ファンタジー!」


 僕達は札幌のゲームショップで色々なゲームを物色していた。


「えーこっちの道民コレクションも楽しそうだよ!」


「ねぇワン! 無人島開拓期だって! マルチプレイ対応だからこれ皆で買おうよ!」


 ワイのワイのと僕達人造ヒーロー達は初めての表の街ということで浮かれていた。


 ゲームショップで浮かれているとガシャンと何かが割れる音が響き、覆面の人達が侵入してきた。


「オラオラ! 金目の物を寄越せ!」


 銃をぶっ放しながら店内に入り込み、僕達は店の角で1まとまりになる。


「T1さん、あいつら悪の組織?」


「ちょっと待って……」


 T1さんはスマホのカメラで侵入してきた覆面軍団を撮ると、検索をかける。


「……悪の組織じゃないであります。バックに悪の組織が居るかも知れないけど直接的な悪の組織では無さそうであります!」


「やっちゃっていい?」


「ちょっと待つであります」


 T1さんがバッグをゴソゴソと漁ると戦闘員用のマスクを皆に投げた。


「顔がバレると不味いから被るであります。シックス、監視カメラをジャック」


「ケケ、任された」


 すると僕達が不審な動きをしている事に気がついた覆面集団が銃を構えてこっちにやってきた。


「おい! お前ら何をしている!」


 そう言った瞬間に銃口に花弁が詰まる。


「な、なんだこりゃ!?」


 花弁が詰まって銃が撃てなくなった瞬間にセブンが近づいてジャム小銃を掴むと飴細工の様にグニャリと銃を曲げてしまう。


「GO!」


 T1さんの指示で僕達は商品棚を障害物にしながら覆面集団に近づいていき、次々に無力化していく。


「な、なんだ! ガキか!?」


「遅い!」


 僕は目の前に居た覆面の顔面にパンチを入れると覆面はレジカウンターまで吹き飛び、背中を強打して倒れてしまう。


 店内ではあちこちで仲間達が戦っている。


 警報が鳴り響き、僕はカウンターの中に入ってリュックの中にゲームソフトを手当たり次第に入れていく。


 他に来ていたベテラン戦闘員の人達は僕達が倒した覆面集団を次々に捕獲銃で捕獲していく。


 混乱のどさくさに紛れて従業員や他の客は外に逃げ出したらしく、店内は直ぐに制圧することに成功した。


「時間無いであります! 荷物持って撤収するでありますよ」


 T1さんの号令が聞こえたので盗むのを辞めて従業員出入り口から撤退する。


 すると既にヒーローが店外で待ち構えていた。


「強盗集団ね! 私達ベジタブルファイブが倒すんだから!」


 などと叫んでいる。


「ヒーローは分が悪いであります! 応援を!」


 T1さんがスマホで緊急連絡ボタンを押した。


「怪人は……居ないぽいわね! 今のうちに制圧よ!」


 とヒーロー達が遅いかかってきた。


 俺達は臨戦態勢になり、ヒーローに抵抗する。


 僕は目の前に迫ってきているヒーローに向かって腕を十字にクロスし


「くらえ!」


 ビームを発射する。


 ビームに当たったヒーローは遠くに吹き飛んでいった。


「戦える! このヒーローそんなに強くないよ皆!」


 ヒーローが強くないとわかると反転攻勢。


 地面に潜った潜水艦の能力があるペタはヒーローの足元まで移動してヒーローを地面に生き埋めにしてしまったり、ジオツーは硬化してヒーローに突っ込み、ヒーローの技を突破して逆襲に転じていた。


 5人のヒーローチームを戦闘不能にした頃、イエローさんが増援として来たが、ヒーローの方も増援が到着する。


「皆先に逃げて」


 イエローさんに言われて僕達はワープベルトを起動する。


 起動する瞬間にヒーローを感電させて全滅させるイエローさんの姿が見えたのだった。










 ヒーローを瞬殺したイエローも無事に撤退することができ、この事件は札幌ゲームショップ襲撃事件として報道される事になるのだった。


 ちなみに捕獲された本物の襲撃犯達はオママのところに売られるのであった。


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