第66話 銀行強盗
「えっと超、シックス借りて良いか」
「ん? シックスっすか? 何かに使うので?」
「銀行強盗してくるから電子ロック外せる能力持ってるんだろ? イエローの新人達に現場を慣れさせるためにもちょっと仕事してくるわ」
「わかったっす! シックス!」
「ケケ、呼んだか?」
黒髪の痩せた青年が走ってきた。
「初仕事っすよ! シックスの能力が銀行の電子ロックを外せるから、同じく電子ロックを外せるイエローやKさんと一緒に銀行強盗してくるっすよ」
「銀行か? 成功したらご褒美が欲しいんだが」
「ご褒美っすか? 何かあるっすか?」
「ケケ、街に行ってみてぇ。闇市場ってやつでお菓子やらゲームが買いたい」
俺が
「シックス、仕事に成功したら報酬で金額の1%をやるよ。1億盗めたら100万って感じだ」
「ケケ、そんなに貰っても良いのか? 今会社厳しいんじゃ」
「会社からじゃなくて、俺の預金からだ」
「ひゅー、Kさんって金持ちだね」
「まぁまずは仕事に慣れてくれや。今後何回か銀行強盗すると思うからな」
「ケケ、わかったぜ」
翌日、俺、イエロー、新人戦闘員5人、シックスの8名が朝に集まった。
「銀行強盗に慣れろってのは変だが、手口は覚えてくれ。時差を利用して海外の銀行を襲うからな」
「「「はい!」」」
というわけでワープベルトを起動してヨーロッパのとある国に到着した。
イエローも含めてマスクを被る。
暗闇に紛れて銀行の裏口まで移動し、イエローが警備員2人を電気ショックで気絶させる。
「Kさん無力化出来ました」
「よしシックス出番だ」
「ケケ、了解」
シックスが電子ロックに手をかざすとピーっと音が鳴り、裏口が開いた。
「金庫は地下だ。イエロー、俺は予定通り警備室を押さえる。イエロー達は地下金庫に直行しろ」
「はい!」
イエローはコンセント部分に耳から伸びるドリルをコンセントにぶち込むと、電気を流した。
すると銀行の電源盤がショートし、停電が発生する。
俺はその暗闇に紛れて警備室を制圧し、一緒に連れてきたシックスに予備電源で起動されようとしていた警備システムをダウンさせる。
「よし、俺達も地下に向かうぞ」
地下に行くとイエロー達が立ち往生していた。
「イエローどうした」
「この扉電子ロックじゃなくてダイヤル式で、番号がわからなくて……」
「まかせろ」
俺は力を込めるとバキバキと扉から嫌な音が響き、扉が開いていった。
「怪力だなぁ」
「今度からもっと電子化された銀行襲うことにするわ……さて中の物をちゃっちゃと奪うぞ」
巨大金庫の中には札束や金、銀の延べ棒が入れられていた。
ロックがかかっている金庫は俺が力任せに破壊していき、中身を次々に連れてきた戦闘員やシックスが亜空間袋に詰めていく。
10分ほどで金庫は空っぽになり、裏口から脱出し、ワープベルトで北海道の基地にワープするのだった。
「ケケ、正直Kさんありきの強盗だったな」
「ちょっと今回は場所の選定をミスった。もっと電子ロックされた銀行だと思ってたんだが、アナログだったな」
俺達はリビングルームで盗んできた札束や金銀の延べ棒を整理していく。
「これがヨーロッパのお金か」
「ユーロだな。1ユーロだいたい150円くらいだ。後で闇市場で日本円に換金してくるぞ。それよりもどれぐらいになりそうだ?」
俺がお金を集計している戦闘員B1に聞くと
「だいたい150万ユーロと金の延べ棒が30本、銀が60本になります」
「だいたい2億5000万くらいか……中規模の銀行だからこんなもんか」
「銀行っておもったより金が無いんですね」
「小さい銀行はもっと金が無いぞ。まぁ数千万はあるが、給料日前のATMを複数台襲った方がいい場合もある……というかATMだけ置いてある場所から抜き取った方が良い場合もあるな……今度シックスやってみるか? 護衛してやるから」
「ケケ、やってみたい!」
「おう、いいぞ。綺麗に並べたら束にして換金所に持って行くから闇市場行きたい奴居るか?」
そう言うと参加メンバーでイエロー以外全員が手を挙げた。
「おお、マジか……イエロー引率頼むわ。換金終わったら自由時間にして良いから……1人10万渡すから楽しんでこい」
「「「やったー!」」」
というわけで闇市場に飛んで換金所でお金を換金する。
どうしてもマネーロンダリングする必要があるので闇市場での換金は手数料が高いが、金銀に関しては表の相場とさほど変わらない。
とりあえずブラックカンパニーの指定銀行(複数)にお金を送金してもらい、人数分のお金を用意してもらった。
「とりあえずお前ら財布買え財布を」
戦闘員達やシックスは財布を持ってなかったので財布を闇市場で購入し、物陰でお金を渡していく。
「じゃあイエロー引率頼むわ。俺シックスがゲーム買いたいって言うからそっち回ってくる」
「はーい!」
というわけでシックスを連れてゲーム屋に向かった。
「ケケ! テレビでやってた最新ゲーム機だ! すげぇ!」
感覚も見た目と同じくらいなのであろう。
初めてゲーム機を見てはしゃいでいた。
人造ヒーロー達も頑張っているし、シックスだけじゃなくて、追加で表でも人気な携帯ゲーム機とソフトを幾つか購入し、シックスも欲しいゲームとソフトを購入できて満足らしい。
そのまま俺とシックスはゲーセンでレーシングマシンで遊んだり、クレーンゲームで遊んだりして満喫するのだった。
闇市場でゲームを買ってきたシックスは皆にゲームを貸し出してヒーローになり、終業後は皆集まってゲームをするのが日常になったが、シックスは自分のゲーム機があるので皆から羨ましがられた。
「Kさん! 俺も仕事してゲーム機欲しい!」
「Kさん!」
「Kさん!」
子供達は俺に仕事をせがむ様になったが、現状任せられる仕事が無いので、トレーニングで超が特に頑張ったと思う人にゲーム機を与えるとすると皆凄いやる気を出していた。
お陰で皆重力の倍率を3倍から5倍に上げてトレーニングを積むようになり、怪人適性率がメキメキと伸びるのであった。