第59話 人造ヒーロー奪取作戦
「よいしょっと……」
俺は捕獲銃だけじゃなく、博士が作ったアイテムを複数個亜空間袋の中に入れて、夜に出かけた。
ワープベルトを起動して、ワープし、目標地点から10キロほど離れた場所に着地する。
これ以上近づくとワープの探知機がある場合警備網に引っかかる可能性があるからである。
ダッシュして森の中を進んでいくと、鉄条網を発見した。
触ると電流が流れ、内部にはレーザーによる警備線が張られているのを戦闘員マスクの機能で確認した。
「さて、掘るか」
俺は折りたたみ式のスコップを取り出すと、エッチらホッチら掘り出して、穴を掘る。
そのまま3メートルほど掘り進み、横穴を作り、警備されている場所を突破して、内部に侵入。
施設周辺はサーチライトで照らされているため下手に侵入すればバレてしまう。
「室内か……天井か……」
俺はサーチライトが薄い部分を見つけるとジャンプで壁に張り付き、壁に指を食い込ませて落ちない様にし、道具を取り出す。
「斬れーる君っと」
斬れーる君は大半の物なら斬れてしまう小刀で、壁に小刀を突き立てると、バターの様にコンクリートが切れていった。
そこから穴を開けると監視カメラの映像をロックするジャミング機を内部に入れる。
その次に蜜蜂サイズの小型偵察機を侵入させる。
「パット見た感じこのフロアには人が居ないか」
俺は小刀で穴をもう少し広げると、内部に侵入し、男子トイレの中に入った。
そのまま小型偵察機と監視カメラをジャックして施設内部を確認していく。
「みっけ」
どうやら表層の部分は遺伝子の研究をしたり、薬品を作っている場所であるが、地下に目的の人造ヒーローの製造プラットフォームがあることが判明した。
「1フロア10人程度か……刷り込み教育する機械も入っているが、大きいのでも小学生高学年かそこらか」
とりあえず体がちゃんと出来上がっているフロアを選別して襲撃することにし、1フロアだけの襲撃にすることにした。
そこからは地下の換気ダクトの中を通るが見つからないで行けると判断し、換気ダクトの中に侵入。
そこから目的のエリアまで向かった。
目的のエリアは培養液から青白い光が灯っているだけで薄暗く、円柱状のカプセルが10基並んでいた。
監視カメラをジャミングしてから制御パネルを操作すると現在の進行度がそれぞれ書かれており、90%を超えていた。
「完成間近だったか……」
俺は培養液を抜くボタンを押し、カプセルのロックを外すと、全裸の男女5人ずつの10人が解放された。
俺は素早くそれを捕獲銃で捕獲し、ついでに小型で機械を床から切断して、小型化させる銃で小型化し、亜空間袋の中に入れ、その部屋にあった資料類も根こそぎ亜空間に入れてとんずら。
流石に異常を感じ取った研究所の警備員達だったが、その頃には俺は研究所の屋上からグライダーで滑空し、敷地内から脱出。
そのまま10キロほど走ってからワープベルトを起動してワープするのであった。
そのまま俺は人造ヒーロー達や機械、資料類を博士に提出した。
「どうだ博士、俺が盗んできた人造ヒーロー達は」
「実に素晴らしい素体だ。S級でも上位20人の遺伝子が使われているねぇ。しかも超人化薬が原液を数十倍濃厚にしたのを摂取しているから、肉体の強度も段違い。生まれながらにして超人というわけだねぇ」
「制御はできそうか?」
「私を誰だと思っている? 天才の博士ちゃんだぞ!」
「ちゃんって年齢でも無いでしょ……見た目だけなら確かにちゃんですけど」
「やかましい!」
「いや、振ったの自分でしょ……」
「ともかく予想以上に収穫さ! この子達を怪人にすることが出来ればブラックカンパニーは大いに戦力が増強することになるだろう!」
「でもしっかし美少女、美少年揃いだな。子供アイドル並に顔が整っているな……」
「多少は遺伝子操作がされているねぇ。一番いじられているのは生殖のところだけど」
「まぁ小学生高学年の肉体にこの男根はアンバランスだがな。金玉も竿も大きくて長い」
「おそらくヒーロー側は彼ら第一世代を優秀な種牡馬としても運用したかったのだろう」
「勃起してないで15センチくらいあるんじゃねぇか。俺よりでかいな」
「まぁこの遺伝子からすると、怪力の遺伝子が組み込まれているから普通の超人よりも怪力になるだろうね。育てばKに匹敵するかもしれないぞ」
「いよいよヒーロー側がスーパーヒーローを作ろうとしていたのは分かったが、これが怪人になったらどうなるんだ?」
「超やKさんみたいな例が無い限り最低S級怪人確定だねぇ」
「そいつはすげぇな。ところで悪側に染める事って出来るのか?」
「足りない部分は……そうだねぇKの人格で補う事にしようか」
「俺か?」
「あぁ、Kの事は何年にも渡りデータを取ってきたから足りない部分を補う程度の事は出来る。それにKもロボットみたいなのよりはある程度人格がある方が良いだろ?」
「そりゃそうだ」
「数日で仕上げるから待っていておくれよ! バニーさんにも言っておいておくれ」
「はいよー!」
翌日、俺達は取引先にカラーコミュニティの襲撃を受けたことと、取引の規模縮小であったり、取引停止の連絡を行っていた。
「本当に申し訳ありません」
『いや、ブラックカンパニーさんが襲撃されたことはニュースで見たけど派手にやったねぇ。まぁブラックカンパニーさんが大変なのは分かったから無理はしないようにな』
「ありがとうございます」
とりあえず俺とバニーさんが電話対応をし、ブラックカンパニーの代表がバニーさんに切り替わった事を悪の組織組合にも報告をした。
悪の組織組合は組合費が払えるのなら問題ないとも言われ、今後ともよろしくと言われた。
ヒーローの襲撃で被害を受ければ補助金が入るが、悪の組織同士の抗争だと補助金は支払われない。
まぁこれは仕方がない。
「うえーん! 書類が書いても書いても終わらないっす!」
「泣き言言うんじゃねぇ超! 当分はこんな感じだぞ!」
超とウルフがそう言い合うが、実際に書類との戦いである。
戦闘員達はT1に俺流のメニューを渡してトレーニングをさせている。
トレーニング機材は全て移転していたので無事であり、プールトレーニングは出来ないが、湖と川があるのでそこで泳いで魚でも捕まえてこいと言っておいた。
生き残ったベテラン戦闘員は怪人候補。
大切に育てないといけない。
オママにも連絡を入れて、戦闘員にできそうな奴はなるべく優先的に買い取らせて欲しいとお願いし、入荷次第連絡を入れてくれるようになっていた。
「今日の業務が終わったら六姉さんの美味い料理が待ってるんだ。2週間もすれば落ち着くから引き継ぎ作業を乗り越えるぞ」
「「「おー」」」