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第58話 戦後の後始末 2

「DNA情報が一致した。残念ながら若は……」


 俺が若とタイガーさんの亡骸を別荘に運ぶと悲壮感が漂った。


 博士が直ぐに検査をしたが、頭が潰された若の亡骸と思われる物は若と一致してしまった。


「そんな……兄さんが……」


「ペココ総帥達を襲撃したのは何処だったんだK!」


「カラーコミュニティの粛清部隊だ。ただ奴らも本拠地を襲撃された以上どうすることもできねぇよ」


「仇討ちも出来んのか……若もペココ総帥も……」


「俺があの時行くべきでした! そうすれば若もタイガーさんも」


「よせウルフ……お前が行っても亡骸が増えていただけだ。Kさんクラス出ないと無駄だ……」


「テレキさん……」


 パンと俺が手を叩く。


「亡くなってしまったものは仕方がねぇ。タイガーさんと若はせめても供養してやろう。バニーさん、貴方が仕切ってくれ」


「わ、私が!?」


「前総領の爺さんはもうボケが進行していて話にならねぇ。血縁であるバニーさんが会社を引き継ぐのが一番手っ取り早い」


「……わかりました。私が会社を引き継ぎます」


「よし、T1お前が今後戦闘員の纏め役だ。ベテラン戦闘員はなるべく早く怪人化させて戦力を補強する。イエロー、レグレス、超、お前達3人ももう見習いじゃなく会社の重要な戦力として扱う。良いな!」


「「「はい」」っす!」


「テレキさん、タイガーさんの代わりに貴方が怪人の最年長です。怪人の纏め役をお願いします」


「わかった。Kはどうする」


「会社が軌道に乗るまで私を殺して会社の活動資金源を調達してくる。幸い戦力になりそうな者を作っている情報がある。そこに襲撃を仕掛けてまずは人材をかっぱらってくる」


「僕も行くよ」


「超お前は駄目だ。イエロー、レグレスもだ! 超はまずは博士に身体の強化が一時的で無いか確認しろ。一時的で無いのなら力の使い方を覚えろ。あんなアクセルベタ踏みみたいな力の使い方やられたら何も作戦に投入することができねぇからな」


「わかったっす!」


「男共は俺の別荘もあるからそっちに寝泊まりしろ。女性陣は若の別荘を使え。事務所としてもつかうが、当分の仕事は白紙だ……バニーさん、一言お願いします」


「殆どKに言われたけど、生き残ったここにいる19名が現在のブラックカンパニーの総人数です。会社の規模は大きく縮小しましたし、ベテランの戦闘員や怪人がほぼ居なくなっています……故に成り上がりのチャンスと思ってください。会社の方針が決まるまでは仕事は停止します。給料も一時的に凍結させて貰います」


「緊急事態ですが、兄さんが残した遺産や基地機能は移転できているので当分の外回りはKに任せる事になりますが、今一度ブラックカンパニーを復活させるために頑張りましょう!」


「「「おぉ!」」」


 こうして新生ブラックカンパニーが始動するのであった。











『掘削中! 掘削中!』


『忙しい! 忙しい!』


 博士のロボット軍団が新しい社宅の建築を始めていた。


 ちなみに若の別荘は避暑用に作られた北海道の僻地にある物で、冬になると数メートルの雪が積もる日本海側の豪雪地帯である。


 そんな場所なので周囲の山3つ含めてブラックカンパニーのダミー企業の土地扱いになっており、最寄りの町まで50キロとわけわからない距離を移動しないと到着しない僻地中の僻地であった。


 一応基地機能が移転されているため、インターネットは接続出来るが、表での物資調達は物理的な距離故に難しく、必然的に闇市場で購入する必要があった。


 あとは悪の組織御用達のネット通販……ワープで物資が届けられるので転送料金が上乗せされるが、今は外で買い物も出来ない状況なので仕方がない。


「ほらほら! ロボット軍団! 社宅を早く作りたまえ!」


 まぁそんな場所なので土地だけは有り余っているため、今は俺と若の別荘しか建ち並んでいなかったが、皆の住む社宅が急遽作られていた。


『うっせえ博士! 地熱発電施設やトレーニング施設、社員のリラクゼーション施設も作る計画を立てやがって! 非常時じゃなかったらスト起こすのに!』


『『『そうだそうだ!』』』


「へへーん、非常事態期間中は一切の団体交渉や集団労働抗争は認めないってプログラミングされてるからねぇ! ほらほら手を動かせ! 手を!」


『ムキー! 覚えてろよ博士!』


「はーっはっはっは! 実に愉快だ!」


 そんな事を言いながらも博士は俺やバニーさんのところに戻ってくる。


「一応地下に色々な施設を作ることにより、衛生写真に映らない用にしますが……酸素循環装置などを作らないと酸欠になる危険性がありますし、やはり拡張性を考えると地上にある程度の建物を建てることになるかと……」


「わかったわ。博士の思うように基地機能の拡張はしてちょうだい」


「わかりました」


「……で、人材の充てがあるとKは言っていたけど……何をする気?」


「実はヒーロー達が体外受精で育てる人造ヒーロー計画が進んでいるととある情報屋から話が出た。それを調べる仕事は一度断ったんだけど、そんな素材が作られているところを襲撃すれば、強い怪人になる素体を確保出来るとは思わないか」


「それは……そうだけど……K危険すぎないかしら」


「多少リスキーだが、当たった時のメリットがでかい。組織の立て直しの時間を大幅に短縮することも出来るだろうし、今弱っているところをつけ込まれたら、他の会社に従属することになるかもしれない。若の遺産が残っているうちにある程度基盤を回復させないと」


「わかったわ。決行はいつにするの?」


「明日には行う。町1つが吹き飛んだし、カラーコミュニティが滅んで表も裏も大混乱している今しか無いからな」


「くれぐれも気をつけて」


「おう!」









「検査結果が出たよ。超……一時的な強化じゃない! 永続的な強化だ」


 すっかり美しく人らしい美女にに変わっていた超だったが、7本の尻尾をブンブン振って喜びを爆発させた。


「良かったっす!」


「戦闘員時代に限界まで鍛え、怪人になってからも努力を続けていてよかったねぇ。怪人としての許容量を大きく引き上げる結果になって、とてつもない能力を身に着けたねぇ」


「良かった……今までやってきた努力が無駄にならなかったっすね!」


「その通りだ! それと喜べ超、まだ君は覚醒したわけじゃないよ。通常強化でその強さを手に入れたのさ」


「マジっすか!」


「マジさ! これから新生ブラックカンパニーは君やレグレス、イエローの3人が引っ張っていく事になるだろう。頑張ってくれたまえ!」


「頑張るっす!」




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