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第43話 闇養殖所再び

「今日から皆さんよろしくお願いします」


 9月の第二週……今日から1週間デビルサーモンの養殖をしているグレーサーモン社の出荷手伝いをすることになっていた。


 そして私達の他に戦闘員が3人着いてくることになっている。


 女性戦闘員としては最年長のT1さんに、前回私達がダウンした時にヘルプに入ってくれたN3さんと新人のDの3人である。


「今日はよろしくであります!」


「気張っていきましょう!」


「よろしくお願いします」


 というわけで早速グレーサーモン社の養殖施設にワープする。


 事務所に行き、社長さんに挨拶する。


「お久しぶりです! 社長さん! ブラックカンパニーから派遣されてきた怪人のレグレスと」


「怪人イエローです!」


「えっと……久しぶり?」


「はい! 元戦闘員AとMです」


「……あぁ! え? 君達か! ずいぶんと立派になって! まだ前の時から4ヶ月程度だが怪人になれたのか! あれ? もう1人居なかったか?」


「戦闘員Fは怪人に成れてないので別メニューで特訓を受けています。今日は私達とベテラン戦闘員2人と新人1人で対応させてもらいます」


「そうかそうか! いやぁ助かる! やり方は前回と一緒。人をデビルサーモンの生簀に投げ込んで、食べたている間に網で掬って貰って、電気水槽で絞める。絞めたデビルサーモンをベルトコンベアに乗っけてもらう感じだ。今日のノルマは200尾で、多くても300尾以内でお願いします」


「わかりました。やり方はこちら一任で?」


「はい、配置は任せます。じゃあ30分後に開始で」


 私は社長さんと話、イエローや他の戦闘員の方と話す。


「配置なんですけど、イエローは前回と同じ電気ショックで絞める水槽担当。T1さんは私がどんどん網で捕まえていくのでそれの補助、N3さんとDは餌を生簀に投げ込む係で」


「それだと掬うレグレスの負担が大きいでありますよ!」


「いや、私」


 ウイーンと指を分離するのを見せながら1本1本で網を掴む。


「両手指自由に動かせるから網10本握れるからそんなに負担は無いわよ〜。それに浮いていて生簀に落ちることの無い私の方が適任でしょ」


 と言うとT1さんも反対意見は言わなくなった。


「じゃぁ時間まで待機で」







 イエローが叫ぶ。


「ベルトコンベア動き出したので時間でーす! 開始してください!」


 その合図に従ってN3さんが持ってきた餌が生簀に投げられる。


 ビチビチビチとデビルサーモンが食い付き、それを私が有線のフィンガービット(レグレスの指先)を操作して次々にデビルサーモンを掬っていく。


 それを水槽まで持っていき、水槽の中に入れる。


「電気ショック入りまーす!」


 バチバチとイエローは電気ショックを開始する。


 絞められたデビルサーモンをイエローが水槽からコンベアに運ぶが、1人だと時間がかかるのでT1さんにもそっちの補助に入ってもらい時短する。


 だいたい1回の流れが5分で、10尾が絞められ、ベルトコンベアに流れていく。


 1時間で120尾……MAXの300尾は2.5時間で終わる計算である。


 流石に早く終わりすぎるので1サイクル10分にしようと皆で話をし、安全に注意しながら仕事を行うのであった。


 今思えばイエローが電気の能力の怪人になったの……この電気ショックの仕事が人体に影響したからなのではないか? 


 と私は思ったり、思わなかったり……。


 そんなこんなで午前中の仕事を終わらせるのだった。












「今頃デビルサーモンも料理をイエローやレグは食べてる頃っすかね?」


 会社に残った僕ことFは社員食堂でKさんと昼食を食べていた。


 今日の日替わり定食は油淋鶏と台湾ラーメン定食。


 文字の通りミックス野菜のサラダの上に油淋鶏が並べられ、それと別の器に台湾ラーメンが入った定食だ。


 食いトレ中なのでこれをおかずにどんぶり3杯食べないといけない。


 最近は慣れてきておかずのおかわりも出来るくらい食べるようになった……というよりようやく体が怪人化する準備をし始めた感じかもしれない。


 食べた分だけ体のエネルギーになっている感じだ。


 食べた分筋肉は別に良いが、胸や尻に肉がついて食いトレを始めてから2カップもバストサイズがデカくなっていたし、パンツも前のやつが入らなくなっている。


「ビルドアップしたと喜ぶべきか……体重が増えた事を嘆くべきか……」


「なんだ? 体重の事で悩んでいるのか?」


「あ、聞こえてましたKさん」


「怪人になるために体が準備しているんだから体重が増えるのは割り切れ。怪人になったらもっと体重が増えたりするんだから」


「それは分かってるっすよ! ただ下着の買い替え頻度がこうも多いと出費が馬鹿にできなくて」


「女性物の下着は高いからな〜。男ならまとめ売りしてるパンツで十分だが」


「そこは男性がうらやましいっす……午後はどんなトレーニングするっすか?」


「午前中にノルマはこなしたか……俺も暇だから外でパルクールでもやるか」


「パルクールっすか?」


「ジャージに着替えて13時に会社の屋上に集合で」


「はーいっす」











 パルクール……それはフランスで発祥した元軍人が考案したスポーツであり、障害物をいかに活用して素早く移動できるかを競う競技である。


 一見ワープベルトのある悪の組織側に必要の無いように思えるかもしれないが、室内においてもパルクールの技術は活用出来るし、野外でも素早く移動できる、地形による障害を最小限に出来るというのは大きな利点である。


 ワープベルトを使うとどうしてもいきなり現れる為に目立ってしまうし、飛んだ瞬間の周りの情報把握ができないデメリットが存在するが、安全地点から屋根を伝って移動することが出来ればそれだけで取れる選択肢が広がるのである。


「外で活動するのあんまり無いっすね」


「そうだな。今日はこの町でパルクールをやってみるぞ」


 Kさんは指を指して。


「ここからあっちのボーリング場まで普通に走っても15分はかかる。ただ最短距離を進めば7分で他の戦闘員でも行ける事が前に計測して分かってる。重力ベルトも着けてないから5分以内で行くぞ」


「ハイっす!」


 まずはKさんが先に進む。


 ビルの屋根を飛び移りながら進んでいき、排水管でブレーキをかけながら下に降りて、そこからは地面を伝って移動する。


 私も後を着ける様に移動を始める。


 案外屋上も障害物が多く、例えば落下防止用の柵であったり、室外機が進路を邪魔している。


 落下防止の柵を掴み、よじ登り、室外機を跳び箱の様に跨いで進む。


 排水管を伝って、滑るように降りると、そのままダッシュ。


 公園に到達する。


 公園のランニングコースを走れば大回りになるので直線で突っ切る。


 鉄棒の下をスライディングでくぐり抜け、ブランコの乗る場所を足場に大ジャンプ。


 木の枝を掴むと、グルンと一回転して更に遠くに飛んでいく。


 そのまま次は歩道橋を渡って移動し、ビルの隙間を壁を側面走りをすることでゴミ箱等の障害物を避ける。


 そして目の前にボーリング場が見えたところでKさんに合流する。


「うん、合格」


「よし!」


「このまま街の色々な場所を警察に捕まらないように移動するぞ」


「はいっす!」


 そのまま4時間ほど街中を走り回るのだった。

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