第41話 夏だ!海だ! 2
「……は!? 私倒されていた!?」
「ものの見事にぶっ倒されていたっすよ」
「大丈夫?」
私がムクリと起き上がると場所は海の家だった。
「なんだレグレス。S級怪人に挑んでやられたって」
私の横にはKおじさんがボリボリととうもろこしを食べながら私に喋りかけてきた。
「あ、Kさん、休憩っすか?」
「あぁ、今別の奴に代わってもらった。無謀なことしてんなぁ」
「一度S級怪人の強さを体験したくて……」
「いや~まぁ、挑んだことを否定しているわけじゃないが……分かったろ今のお前らじゃ格下は簡単に倒せるが、格上を倒すのには難しいってことが」
「身を持ってわかりました」
「まぁお前らはどんどん成長する余地があるから生き延びればS級にもなれると思うから頑張れやー」
そう言っておじさんは別の場所に移動していった。
「でも全く効かなかったなぁ……ビームもミサイルもS級怪人には」
「多分私の電撃も効かなそう……やっぱりS級は別次元に強いんだね……」
「ねぇFにレグレス。A級ヒーローとかS級怪人とかってどれぐらいの比率でいるものなの? Kさんみたいに例外を除いたとしてもどれぐらい居るかしってる?」
イエローが私達にそう聞いてきたが、私達も詳しくは知らない。
そういう時は知っている人に聞くに限る。
近くを見渡すと若が読書をしていた。
「若さんに聞いてみない?」
「え、大丈夫かな」
「でも詳しいの若さんじゃない」
「確かに! 若〜教えてほしいことがあるっす!」
「あっ……ちょっと……」
Fが突っ込んでいき、何か少し喋ると、読書を辞めて若さんがこっちに来てくれた。
「ヒーローや怪人の事で聞きたい事があるとFから聞いたが」
イエローと私が顔を見合わせて
「はい、ヒーローや怪人のランクってあるじゃないですか。C級とかS級とか……その比率とかそもそも悪の組織ってどれぐらいあったりするのか」
「あ~なるほどねぇ確かに君達はそういう事も知っておく必要があるな。よし、教えようか」
若さんは椅子に座ると教え始めてくれた。
まず悪の組織の数はどれぐらいあるかは分からない。
というのも日々出来たり潰れたりしているし、悪の組織組合に参加しているのでも数十万社あると言われた。
悪の組織は世界規模で多数あり、世界各地に支部があるような巨大な組織もあったりする。
なんなら政府と癒着して石油採掘業者になっている悪の組織や武器を開発して兵器を軍に納入している悪の組織もあるので、表と裏がごっちゃになった悪の組織も含めると更に数が増えるとのこと。
そんなんなので悪の組織の数もそれだけ膨大だと構成員の数も膨大である。
「ちなみに構成員1位なのだけは確定してる。アフリカに悪の組織が国を乗っ取って国家運営している場所は国民1000万人総構成員とかわけわからないことを言っているから……」
それで潰されないのも凄い話であるが、その国は悪の組織の方がまともな国家運営が出来ているとして他国からも国として認められている稀有な例である。
例外は置いておいて、悪の組織の規模の話に移る。
悪の組織として認められるのが10人からで、怪人1人以上構成員20人で弱小、怪人5人以上構成員50人から100人で中堅、怪人20人以上構成員100人以上で大企業と日本では言われる。
イメージはVチューバーの企業がわかりやすい。
怪人をライバー、構成員をスタッフに置き換えればよくわかるのでは無いか? と若さんに言われた。
ちなみによく名前の上がるラブプラネットは怪人100人、構成員が1000人以上抱える大企業である。
表の芸能関係のマネジメントをしている人数を含めると5000人以上の関わりがあるとも言われ、押しも押されぬ大企業である。
閑話休題。
「で、日本には怪人が約10万人居るって言われてる。約50%がC級怪人、約45%がB級……残りの5%がほぼA級だからA級怪人は5000人くらい、S級怪人は0.1%……100人って言われてるな」
「ええ! そんなに少ないの!?」
「Kさんが私達A級怪人って言われてるけど……」
「まぁ怪人のランクは怪人マッチに登録されている奴以外は自己申告た。K見てればわかるだろ……S級並の力があるのに戦闘員だから評価されない奴とか……力を隠していた方がやりやすいと思ってる奴とか……色々居るからな。日本だけでも100人だ。世界だと怪人だけでも数千万人居るんじゃないか? 大陸の国なんかは軍隊に怪人部隊を作ったところもあるし……」
「なんか……凄いっすね」
「日本はこれでもヒーローが強い部類だからな」
「日本以上にヒーローが強い国ってどこなんすか?」
「アメリカと韓国」
「アメリカはなんとなくわかるわ。スーパーヒーローがゴロゴロ居そうだけど韓国?」
「今の韓国の首相は世界のスーパー怪人でも恐れるスーパーヒーローだからね。まだ若いから首相だが、そのうち大統領になるんじゃないか? おかげで韓国には悪の組織が両手で数えるほどしか無いハズだ」
「逆に日本って大丈夫何ですか……韓国やアメリカに比べて酷いことになってますけど」
「政治家の大半が悪の組織と癒着してるくらいだ。駄目だろ。俺は知らね」
ちなみにヒーローはというと日本だと30万人のヒーローが居るとのこと。
ヒーローは事件解決数、知名度、ヒーロー協会からの評価からランキング式になっているらしく、上位100人がS級ヒーロー、5%がA級ヒーロー、B級、C級はその年によって変動という形らしい。
まぁあくまで日本でのヒーローの基準だが。
「警察や自衛官くらいヒーローって居るんだ……」
「イエローは知らないと思うが、多分Fやレグレスは学校である程度は習ってるだろ?」
「まぁ本当に触りだけ」
「そうですね……」
「あと何か聞きたい事あるか?」
「あ、じゃあ! ブラックカンパニーを若さんはどうしたいとかあるの?」
「会社の方針か? とりあえず大企業にしたい。社員数を200人くらいまで増やして大手と言われるくらいに会社を拡張したいな」
「あ、若さん的には社内恋愛ってありっすか?」
「んー? 社内恋愛は別に良いぞ。そんな決まり無いし」
「そうなんっすか? なんかこの前バニーさんが他の人とKさんと付き合いたいって愚痴言ってたっすが」
「まーじでそれはちょっと面倒くさい問題なんだよな。俺もKが怪人に成れないとは思って無かったから、そのうち怪人に成るだろうと思ってそう言ったが、ズルズル5年……バニーの奴も婚期的に焦り始めてるし俺は別にくっついても良いと思うんだけどなぁ」
「じゃぁなんでストップかけてるんすか?」
「俺の親父だ。元総領の親父が頑としてバニーとKが付き合うのを認めねぇからな。ただそろそろいい加減俺も妹の為にキレると思う」
「なるほど……この話はバニーさんに言っても?」
「いや、説得に失敗するかもしれないから黙っておいてくれ」
「「「はーい」」っす」
そんなこんなで若さんに聞きたい事を聞くのであった。