第37話 レグレスの怪人祝い
「レグ外人化おめでとう!」
「ありがと〜!」
休日の前日……俗に言う華金。
私ことレグレスはイエローと戦闘員Fに準備してもらった料理を食べる。
「パスタにグラタンにケーキも! 本当にありがとう!」
「ねぇレグ。ロボット化して味覚が変わったりとかはしてないの? あと排泄するのって大丈夫なの?」
イエローが食事前にそんな事を聞いてきた。
「いや、私もそれを心配したんだけど博士に精密検査してもらったらさ、排泄とかはカプセルに溜め込まれる感じなんだよね」
「カプセル?」
「よいしょっと」
私はスカートの中から排泄物を溜める金属の容器を取り出す。
「私の体内普通に栄養とかを小腸で吸収したら、残りカスは体内にできた小型の炉で焼却されるの。で、残った煤や灰、そして尿とかがこの金属のカプセルに溜まって、トイレで中身を捨てる……みたいな感じ」
「えー、じゃあ自分の行きたい時に自由に排泄できるってこと?」
「そうそう。ただ時々洗浄しないといけないかもしれない……まぁ食事前だからこれぐらいにしようか」
「怪人になると体内が色々変わる人も居るって聞いていたけど不思議ねー」
「私の場合メカって感じだからね。色々変わるわ。あーあ、こんな容姿だとメスガキムーブできないわね」
「俗物が! とか言ってみたら?」
「なにそれ……F、さっきから黙ってるけど大丈夫?」
「大丈夫っすよ! ちょっと疲れが出ただけっす」
「F、今日凄い頑張ってたもんね」
「体壊さない様にしなさいよ」
「分かってるっす! ささ、レグの為に料理作ったから食べるっすよ!」
夕食を3人は食堂で食べていたが、追加でイエローと私は普通に食べる。
Fも食べてはいるが、少々キツそうである。
「F、無理して食べないほうが良いよ」
「食べ過ぎだよ……」
「うぷ。ちょっとこれ以上はキツイっす……2人はよく入るっすね」
「胃袋大きくなったっぽいんだよね。だから私は普通に食べられるよ」
イエローは胃袋がデカくなったらしい。
一方で私は
「胃袋部分が何個もある感じ? 胃袋もカプセルみたいになっていて、それを食べてない時に徐々に消化する感じ」
イメージはリボルバーである。
弾丸を胃袋として回す事で予備の胃袋が小腸と繋がる……みたいな。
うーん、人外……。
「というか私ビーム放つのに結構なエネルギーを消費するから、大量に食べないと駄目っぽいんだよね」
「うぷ……そうなんっすね」
「F、ケーキ食べれる?」
「キツイっす……自分の分は取っておいて後で食べるっす……」
「そうしなそうしな」
なんだかんだで楽しい会になるのだった。
「体洗うのすっごい面倒くさい……」
大浴場で私は風呂に入るが、指を飛ばしながらスカートの中のミサイルを飛ばす発射口を掃除していく。
「怪人になって洗う場所増えたよねー」
横でイエローが長い耳? みたいな部位を洗っている。
「イエローは胸も大きくなって良いなぁ……私の胸、柔らかくなくなったもん」
「胸じゃなくて胸部装甲って感じっすからね」
Fも体を洗っているが、一番洗う面積が少なくなっていた。
怪人になるデメリットである。
体を洗い終わり、風呂に入る。
「かぁ~染みるー」
「ロボロボしてるけどお湯とかは気持ちいいの? レグ」
「皮膚の感覚は残ってるから気持ちいいよ」
私がそう言うと2人は以外みたいに言われた。
「ねぇ、怪人になったってことはそのうち戦闘員を率いて戦闘をすることになるんだよねぇ……おじさんみたいに出来るかな?」
「どうなんだろう……私は自信ない……」
「それどころじゃないってのが一番っす。置いていかれてるっすから」
「Fはそうだろうけど……そういう事も覚えていかないといけないんでしょ……おじさんみたいに人間じゃなくなったから現地の下見も難しいし」
「私は変装すれば……ギリギリ……レグは難しいよね」
「うん……この姿だからなぁ……博士が作った変装薬だっけ? それでも足が無くなってるから目立つよね」
「下見ができないのは痛いなぁー」
そんな事を話し、私が空気を押し出してジェットバブと言って遊んだりもしながら風呂を上がった。
「じゃぁまたねー」
「またー」
「またっす!」
それぞれの部屋に移動して寝る準備をするのだった。
僕ことFは部屋に戻ると湯上がりのコーヒー牛乳をコップに注いで椅子に座り、スマホを弄る。
闇サイトに繋ぎ、各怪人の情報サイトにアクセスする。
そこには前に行った怪人マッチを運営しているサイトだ。
選手登録している怪人の大まかな情報が書かれていた。
「やっぱり動物系が多いっすね……熊とかライオンとかから龍やペガサスなんかの架空の動物由来の怪人もいるっすね……」
他にも虫由来の怪人なんかも多い。
「どんな怪人が強いっすかね……」
例えばこの怪人マッチのランカー達を見ていくと1位はサッカー怪人というサッカーボールを頭にした怪人だったりする。
一見弱そうであるが、キックは音速を超え、繰り出されたボールは戦車の砲弾の様に飛んでいき、対象近くで爆発するというとんでもない怪人だった。
弱そうな能力でも能力を鍛えれば強くなれる典型的な例である。
「強くなれるような拡張性の高い怪人になれたらなぁ……」
怪人になって成長余地があまり無い怪人になってもしょうがない。
なるんだったらどんな場面でも対応出来るような怪人になりたい。
「うーんどんな怪人になれればいいだろうか……」
僕はなりたい怪人を色々調べるのであった。