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第35話 イエローVSレグレス

「でもこの体になってエネルギーが湧き上がる感覚はあるかも」


 レグレスという名前に決まった元戦闘員Mは浮かびながら俺達に対してそう言った。


「うーん、今のお前だと戦闘訓練室の仮想ヒーローは普通に倒せてしまうだろうからな……イエローと戦ってみるか」


「え? 私ですか?」


「俺だと瞬殺しちゃうからイエロー戦ってみてくれないか?」


「わ、わかりました……レグもいい?」


「私は大丈夫よ! 今ならイエローの電撃も効かない気がするわ!」


 と言うことで戦闘訓練室に場所を移した。


 モニタールームから俺と戦闘員Fは2人を見守り、自分達のタイミングで始めろと号令をかけるのだった。











『イエロー、こうしてあなたと対峙する機会は無かったわね』


「そうですね……私はいつも逃げてばっかりで……怪人になって強くなっても戦闘員M……いやレグが怪人になったらまた力関係が逆転しちゃうんじゃないかって怖かったんです」


『じゃあまた私が上に立ったと示さないとね』


『いや、私が強くなったことを証明してみせます!』


 戦闘訓練室のマイクが2人の声を拾う。


 僕は2人の様子を眺めながら、自分がまだ怪人になれてないため、遅れてしまったと思ってしまう。


「F、始まるぞ」


 Kさんがそう言うと、レグが両手をイエローの方に向けた。


 光が収束すると指先からビームが放たれる。


 そのビームをイエローはリニアシューズを起動させて高速移動をして回避する。


 あんなのに当たったら一瞬で体が溶けてしまう。


 イエローは一瞬で建物の影に隠れるが、レグは両手の指を発射して遠隔操作を開始。


 ゴーグルが七色に光りだして空中を飛び回る指先からビームを発射していく。


 建物は一瞬で穴だらけ……いや、崩れ始め、イエローは建物が崩れる前に別の場所に移動し、雷針銃を発射する。


 針を空中機動出来るレグは避けるが、指の1つに命中するとボンと音をたてて指が消し飛んだ。


「完全な耐電性能は無さそうだな」


「でもレグはまだ指が9本残っているっすよ」


「いや……」


 Kさんそう言うと発射していた指を戻しグーパーを数回繰り返すと指が再生した。


「さ、再生! 戦闘訓練室の効果っすか?」


「いや、戦闘訓練室は命に関わる傷は再生するが、指の欠損くらいはダメージが残る。純粋にレグレスの再生能力だ」


 レグは姿を現したイエローに向かってスカートの中から指ほどの大きさのミサイルを大量に発射した。


『消し飛べ!』


『なんの!』


 イエローは全方位に放電することで半円球の電気のドームを作り出し、電気に当たった瞬間にミサイルが爆発していく。


「み、ミサイルも放てるっすか!」


 熱光線のビーム攻撃にスカートの下から飛び出すミサイル攻撃……まだ何かありそうだが、これだけでも並の怪人よりも高い攻撃力を誇る。


 するとレグは腹部と胸部の円状のパネルが光だし、指のビームよりも強力なビームを射出。


 放たれた場所が一瞬で消し炭にしながら進んでいき、地面が抉れていた。


 ビームなので光速による攻撃であるが、胸部と腹部のビーム発射装置は溜めとクールダウンが必要らしく、連射はできないっぽい。


「Kさんならどう倒すっすか?」


「発射される前にぶん殴る……たぶんイエローもやるぞ」


 イエローはリニアシューズでで高速移動を繰り返し、ミサイルやビームを避け続けると、出力を上げて一気にレグに近づいた。


「直線じゃビームに当たる!」


 僕はそう言うが、レグも指のビームをイエローに向け、発射する。


 しかし、イエローは全身を放電状態で空気中の水分で膜を作り、ビームを体に当たらないように屈折させた。


『い!』


 イエローの高速の蹴りがレグに直撃し、当たった瞬間にバチバチと嫌な音が響いた。


 黒焦げになりながら落下するレグ。


 勝負がついたと思った瞬間にレグのゴーグルが光る。


 ゴーグルからもビームが発射されると思っていなかったイエローにゴーグルから放たれたビームが直撃し、イエローの胸部に穴を開ける。


 両者地面に落ち、動けなくなったところで訓練終了。


 僕達がモニター室から現場に向かうと両者再生を始めており復活していた。


「やられた……ビームが体の各所から放てるから勝てると思ったんだけど……」


「勝ちきれなかった……最後の最後で油断した……」


 僕にとっては凄まじい戦いだった……というかイエローもレグにも勝てるビジョンが思いつかない……。


 怪人化は本人の資質を引き出すというが、才能が高いと言われていたイエローだけじゃなく、同列と思っていたレグにもこれだけ差を付けられると……。


「F、今夜俺の部屋に来い。相談に乗ってやる」


「な、なんっすか! 悩み事なんってないっすよKさん」


「真っ青な顔でもか?」


「……」


「2人に先こされた気持ちがあるのはわかる。悩み聞いてやるから今夜来い……明日以降だとレグの怪人化祝いが入ってくるだろ」


「……気遣い感謝するっす」








 レグのトレーニングは重力5倍の状態で浮きながらダンベルカールをやらせたり、ひたすら泳がせる。


 足が無くなった事で足を使ったトレーニングが出来なくなり、泳ぐのも手を使わなくてもスカートの中のジェネレーターからエネルギーを放出することで進む事は出来る。(手で浮力を確保しないと重力5倍だと体の重さで沈むが)


 鍛えれば進化出来ると博士から言われているのでレグは特別メニューで鍛える。


 イエローも電気のキャパを増やすトレーニングが行われ、残った僕だけが普通のメニューをこなしていく。


 水泳、サイクリング、ランニング、筋トレ……重力2倍に増えた状態でも元の水準までトレーニング回数や距離を戻し、自分でいうのもなんだが、美形の顔涙や鼻水でぐちゃぐちゃにして頑張った。


 そして終業時刻になり、トレーニングが終わると私服に着替えて解散となるが、戦闘員服を着るのがFだけになって、1人だけになった更衣室で


「もっと頑張らないと駄目っす」


 と呟くのだった。


 その日はそのまま解散となり、次の休み前の日にレグの怪人祝いをやろうということになり、食堂で夕食をとってからKさんの部屋に僕は行くのだった。


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