第34話 ジオ◯グ系怪人レグレス爆誕!
「あれ? 風邪かな……なんか体がふわふわする……」
私ことMは朝起きたら、体がふわふわ浮く様な感覚に陥っていた。
ベッドから降りようとすると、ツルッと床を滑り、転びそうになったが、地面に体が倒れる前に意識すると、体が浮いた。
「えぇ……」
私はなんとか着替えて食堂に移動するとようやく体が落ち着いてきて、いつもの感覚に戻ってきた。
「あむ〜なんだったんだろう」
そのまま会社に移動して朝礼を行った後に、私はKおじさんに今朝の事を報告した。
「重力ベルト着けてないのに体が浮いた?」
「見ててね……ほら」
私は意識すると体が浮かび上がり、そのまま空中ででんぐり返しを数回してから着地する。
「怪人化の適性が100%になって、怪人になる前に肉体に変化が出たパターンだな」
「じゃあそれって!」
「あぁ、おめでとうM、怪人になれるぞ」
「やったー!」
「おめでとうっす!」
「おめでとうM」
「イエローもFもありがとう! 今日中に怪人化する感じ?」
「というか直ぐにでも博士の所に移動するぞ。このままだとどんな変化を起こすか分からないからな」
私は博士の所に移動して、怪人化の準備に入るのだった。
「じゃあこの怪人化薬を飲んだらベッドに横になってくれ」
「はーい」
私はちびっ子の博士に言われて薬を飲んで、ベッドに横になる。
すると手足をロックされて身動きができなくなる。
「ええ!?」
「言ってなかったねぇ。怪人になる時に結構な痛みを伴うから、暴れないように拘束するんだ。そろそろ薬が効き始めるよ」
ドクンと胃袋辺りからじわじわと体に液体が侵食しているのが分かる。
「ガァァァ!?」
「良いねぇ! いつ見ても人から怪人に変化する姿は美しい!」
博士は大興奮だが、こっちはそれどころではない。
全身が激痛……特にどんどん足の感覚がなくなっていく。
逆に腕や指の感覚はどんどん鋭くなっていき、目ん玉がグルングルンと回る。
永遠にも覚えた激痛が終わると私は失神してしまっていた。
「おーい、おーい! 大丈夫かい!」
博士に顔をペチペチと叩かれ、私は意識を取り戻す。
「はれ……私意識が飛んでた……」
「凄いねぇ……多くの人は痛みで意識を飛ばすこともできないのに……とりあえず鏡だ。新しい姿を確認したまえ」
博士はそう言って鏡で私の顔を見せると、スキー用の光を反射するようなデカいゴーグルを私は被っていた。
「なんですかこれ! ハズれないし……」
そこで気がつく……私の手がなんか凄いゴツくなっていることに……。
メカメカしいデザインの腕は肘から下が巨大化しており、元の腕より2回りも太くなっていた。
手は意識すると指が関節ごとに分離し、チューブみたいなので繋がっているが、指を四方に飛ばす事が出来る。
イメージはケーブルが繋がったラジコンみたいな感じか?
「ゴーグル可愛くない! 腕もゴツい!」
そのまま下に目を向けると、胸も胸部装甲みたいな感じで、女性らしさが減っている感じもした。
胸の真ん中にはビームをいかにも発射してくださいと言わんばかりのビームパネルが埋め込まれており、青く光っている。
そのまま下半身を見ると腹部を一周するレーンと移動式のパネルが組み込まれており、意識すればパネルを移動させることが出来る。
そして長いスカートに目が行く。
スカートは後に長くなっており、寝っ転がると横に伸びるが、テントウムシの甲羅を一体化したみたいな形をしており、後に伸びていた。
そして脚が消えた……。
「博士! 足が……足がなくなったんですけど!」
「その場合浮かべると思うぞ」
そう言われて恐る恐るベッドから降りてみると、浮かんだ。
「おお!? 浮いたぁ!?」
博士の頭上まで浮いて移動してみるが、特に問題は無さそうである。
パシャっと博士がスカートの中を写真を撮り、その映像を見せてもらうと、スカートの中は蜂の巣の様になっており、その穴の中に何かがびっしり詰まっていた。
博士が指でそれをほじくり出すと、小指サイズの小型のミサイルの様である。
「全身武器人間じゃな! 先に精密検査をした方が良さそうだねぇ」
「メッチャメカじゃん! ロボットじゃん! えぇ~私小悪魔系やサキュバスみたいな感じになると思っていたのに!」
「どちらかと言えば敵キャラのやられメカだねぇ〜」
「ヤダヤダ! これちゃんと食事出来るんだよね!」
「そこら辺は今から調べるから待っていておくれよ」
精密検査が終わり、私は若やバニーさんから驚かれたりしながら、トレーニングルームにふよふよ浮きながら移動した。
なんか腰辺りから空気を噴出してそれで高速移動が出来るっぽい……。
「お、やっと来た……はぁぁ!? え? 戦闘員M!?」
「メッチャメカじゃないっすか!」
「キャラ違うじゃん」
皆から総ツッコミを受ける。
大きな手で顔を覆いながら
「私もこんな姿になるとは思わなかったわ! メッチャロボットだし……足が無いし……」
「お、おう……精密検査受けたんだろ?」
「おじさんこれが結果……」
「どれどれ」
まず食事は問題なく出来る……というか体内は生体と機械ユニットがごちゃ混ぜになっているらしく、食べた食事は体を動かす燃料に分解されて動くらしい。
だから普通の食事は食べられるとのこと。
あと機械に見えるが、筋肉のように鍛えれば成長するため、どんどん進化していく可能性が高いと書かれていた。
一応生殖器官も残っているが……
「これだって……」
私はスカートの中から生殖器官を取り出す。
そこにはオナホにチューブが繋がっているような物が出された。
「オナホやん」
私は手を離すとスルスルと掃除機のコードみたいにスカートの中に戻り、格納された。
「おじさんが言うようにオナホみたいなのに管が繋がっていて、それが卵巣に更に繋がっているんだって……一応子供産めるらしいけど授乳は無理って言われた〜」
「お、おう……」
「しっかし昔のロボットアニメのメカにそっくりっすね……なんでしたっけ……」
「ジオ◯グ」
「そう、ジ◯ング! 搭乗員の仮面の男みたいにゴーグルしているから余計に似てるっす!」
「◯オング! ジオン◯うるさい! 私もそう思ったよ!」
ぶっちゃけ首から下は赤色に塗装されたジオ◯グである。
一部違うところもあるが……。
「ちゃんとした名前が欲しい! ジ◯ングは無しで!」
「うーん、この場で決めて良いのか? 皆からの投票を待つって選択肢もあるが」
「それでジオ◯グしか投票されなかったらヤダ!」
「そんなもんか……レグレスとかどうだ?」
「レグレス?」
「英語で足無しだ。レグって呼びやすいし」
「おじさんにしてはいい名前じゃない! 気に入ったわ! 私はレグレスよ!」
こうして私は怪人レグレスになるのだった。