第31話 襲撃!グルト社
その日のうちに俺はグルト社本部にワープし、襲撃を開始した。
ちなみにブラックカンパニーの戦闘員マスクとは違うマスクで侵入している。
「あ? 戦闘員? うちのじゃねぇな。何処のだ」
俺は目の前に居た怪人に近づくと頭を一瞬でもぎ取った。
頭を掴み、魚の骨を抜き取るように背骨を引っこ抜き、頭はパクパクと口を動かしている。
「な!? て、敵襲! 敵がは!?」
俺は近くの戦闘員達の首をへし折って行くと、戦闘員達は液体になってしまう。
警報が鳴り響き、戦闘員達が別の部屋からぞろぞろ出てくるが、近くのパイプ椅子のパイプを手刀で切断すると鋭利に尖った鉄パイプを思いっきり投げる。
ブォンと鉄パイプから風切り音が鳴りながら飛んでいき、戦闘員に突き刺さると鉄パイプは戦闘員を貫通して、複数人が液体に変わる。
テーブルに有ったボールペンを投げると戦闘員の首に突き刺さり、血を吹き出しながら倒れ、液体に変わる。
「か、怪人を呼べ怪人を!」
距離をとって攻めるのを戸惑っていた戦闘員達であったが、その前に俺が動く。
目の前に小柄な戦闘員の首を掴むと、首をバットの様に握って周りに居た戦闘員を吹き飛ばす。
勿論その戦闘員は首が変な方向を向いて絶命し、液体に変わる。
「なんだなんだ! 何処の馬鹿だ! グルトの本拠地に乗り込んできたのは!」
そう喋るやつに見覚えが有った。
銀行強盗の打ち合わせで戦闘員を馬鹿にしていた怪人である。
俺は近くに居た戦闘員を怪人に蹴り飛ばすと、怪人はその戦闘員に腕から伸びるブレードで斬り裂いた。
「マジキチかよ。あーぁ、こりゃ15人は殺られてるか……馬鹿にならねえ被害じゃねぇか」
「スパさん、舐めない方が良いです。一撃でベアードさんが殺られてます」
「あぁ? マジかよ……お前ら他の怪人呼んで来い。あと社長達の避難を……」
一瞬俺から目を背けた瞬間にスパと呼ばれた怪人の首が飛び、壁のシミに変わっていた。
頭を失った体からは噴水の様に血が噴き上がり、痙攣しながら倒れてしまった。
そのまま近くに居た戦闘員にフックを入れると腕が貫通し、飛び散った骨の一部が高速で周囲に飛び散り、散弾の様になり、周りの戦闘員達に致命傷を負わせる。
まだ戦闘員は残っているが、俺はスライド式のドアを腕力でこじ開け、通路に移動した。
通路からは遠隔式の銃が発砲してきたが、俺は壁を走りながら避けると、銃を手刀と蹴りで破壊し、突破した。
扉がまた閉まったので、俺は口で噛んでいた指向性ガム爆弾を吐き、扉に付けると、壊した遠隔銃を天井から引き抜いて投げつけると、ガムに引火して爆発。
爆風の中俺は突っ込み、迎撃しに来た怪人達に目を向ける。
熊、虎、龍……一般的な怪人だな。
襲いかかってくるが、先ほど爆発してガラクタに変わった銃だった物を俺は思いっきり蹴り飛ばした。
蹴り飛ばした瞬間に前に突っ込んできていた熊の怪人は両腕ででガードするが、破片が腕に突き刺さり、痛みでガードを解いてしまう。
そこに俺が突っ込んでいき、顔面に右ストレートをぶち込む。
パン!
拳の勢いが早すぎて熊の怪人の頭が破裂した。
勢いそのままに熊の怪人の体も引き飛び、後に居た龍の怪人に直撃する。
続いて虎の怪人が鋭利な爪で攻撃してくるが、俺は手の甲で、虎の怪人の顎を捉えると、思いっきり拳を振り上げた。
ドチャ
虎の怪人は天井に頭が突き刺さり、血が天井から滴った。
龍の怪人は熊の怪人の亡骸を退けると口からブレスを吐いたが、俺が左手で払うと、拳圧でブレスがかき消された。
龍の怪人は驚愕していたが、次の瞬間には俺の膝蹴りが飛んできて、壁を突き抜けて外に飛んでいった。
食堂と上の階に上がる階段があったので、俺は迷わず階段を登り、事務室に突入する。
事務室では戦闘員達や怪人に普通の事務員が震えていた。
「社長はどこだ」
俺は短く呟くが、誰も答えない。
「し、死ねぇ!」
拳銃を持った男が発砲するが、俺は弾丸を掴むと、掴んだ弾丸を親指に乗せ、人差し指で弾いた。
デコピンである。
弾丸は発砲した男に飛んでいき、男の頭部に命中し、脳味噌と血液を周囲にばらまきながら絶命した。
「もう一度言う……社長はどこだ」
誰も震えて動けない為、俺は、はぁ〜とため息を吐くと、そのままジャンプして天井を突き破って3階に移動した。
3階にはワープベルト必死に着けている男がおり、そいつが社長だと直感的にわかった。
成金の様な部屋であり、高そうなディスクには書類が束で置かれていた。
俺は一歩一歩そいつに近づく。
「な、何者だ! お、俺を殺したらカラーコミュニティが黙ってないぞ」
俺は何も言わずに近づく。
「か、か、金か? 金が欲しいのか? 金ならあるぞ! ほ、ほら!」
男は机から札束を置いていく。
「た、頼む! な、何か言ってくれ!」
俺はその男の前に立つと、男の頭を持ち上げ、首の下を掴むとブチブチと音をたてて首を引き抜いた。
「……帰るか」
俺はその瞬間に拳に力を入れてビルの床をぶん殴った。
すると拳圧がビル全体に行き渡り、ビルが倒壊を始める。
そのまま俺はワープベルトでワープをしてブラックカンパニーに戻るのだった。
翌日、イエローや戦闘員F、Mが昨日の一件でプリプリ怒っていたが、俺が
「報復は済ませた。ニュース見てみろ」
と事務所のテレビを着けるとニュースでとあるビルが崩壊し、そこから戦闘員や怪人が現れ、ヒーローに倒されるというのが流れていた。
『いやぁ物騒な事件ですね』
『最近は悪の組織の動きが活発化になっています。学校の襲撃、今回のビル倒壊……他にも銀行強盗や会社の襲撃が止まりません』
『元ヒーロー協会犯罪捜査科の錦織さんはどう見ますか?』
『治安維持を行っていたヒーロー達の消耗が大きくなったのが原因かと。残念ながら能力が足りなくても金に釣られてヒーローを志す若者が増えてきている昨今……そんなヒーロー未満の人材をヒーローにするためにヒーローを育成する学校が多数ありますが、それがかえって強力な個を消してしまう危険性がある』
『強力な個ですか?』
『悪の組織の活動は世界レベルで大きい中、ヒーローは各国に縛られてしまう。そうなるとただのヒーローではなくスーパーヒーローの出現無くして国を守ることはできんのです!』
「これがなんなんすか?」
「あー、昨日俺が裏切ったグルト社にカチコミしてきて主要幹部と社長を粛清してきた。悪かったな変な仕事持ってきてしまって」
「え、えぇ……」
「なに? おじさんあの後も動いていたの?」
「ずるいっすよ! 僕も行きたかったっす!」
「連れて行っても邪魔だ。俺も本気で暴れたら周り気にする余裕無くなるんだからな……守ってやれねぇのよ」
「むぅ!」
ポンポンと俺はFの頭を叩きながら
「じゃあ強くならねぇとな〜」
と言うと、Fは言ってからあ、早まったみたいな顔をしたが、3人娘のトレーニング量を1.5倍に増やすのだった。