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第27話 ヒーローVSヒーロー候補生……漁夫の利のF

 戦闘員A改めイエローが怪人になったのでお祝いのパーティーをすることになった。


 僕がケーキを買ってきて、その間に戦闘員M(前沼)がイエローの好きな料理を作る。


 そのため僕はケーキ屋のある商店街に来ていたのだが、柄の悪い兄ちゃん達に絡まれていた。


「おいター坊コイツか? お前に恥かかせた奴ってのはな」


「そうそうこの女! 忘れもしねぇ! マジで復讐したくてよぉ!」


 5人ほどの男に囲まれ、正直めんどくさい事になったなぁと思った。


「面は良いじゃねぇか」


「ボコって回そうぜ」


「はいはい、そこ退いてね。お兄さん達」


 すると男の1人が近づいてきてボコっと私の腹を殴ってきた。


 まぁ痛くは無いが痛いふりをしておこう。


「かはっ! なにするっすか!」


「聞こえなかったか? お前はこれから俺等の玩具になるんだよ!」


「よかったじゃねぇか大人になれるぞ! キャハハ」


 あぁ面倒くさい……全員ボコボコにして倒そうかな。


 そう思っていると


「待ちなさい!」


 僕の後ろから声が聞こえた。


「女性を寄って集って暴力を振るい、レイプしようとする悪党共! この魔法ヒーローマジックガールが相手よ!」


「あん、なんだテメェ!」


「アニキ、最近出てきた新人ヒーローですよ。C級の」


「へぇヒーローの先輩なんだ」


 アニキと言われた巨漢はポリポリと顔をかきながらそう呟く。


「先輩さんよぉ。俺もヒーロー養成所の3年なんだが。ここは見逃してくれねぇか。この女が元々俺の弟分を殴った事が事の始まりなんだよ」


「だからって襲うのは良くないし! 貴方ヒーロー候補生ならこんな事をしても良くないことくらいわかるでしょ!」


「あー、悪いことってのはわかるが……で? ヒーローに夢見ちゃってる感じ? 先輩は? ヒーローになれば金と名誉が手に入るからヒーローやるだけ。多少のオイたもヒーロー不足のこの世の中じゃ目を瞑るって寸法よ」


「最低……真っ当にヒーローを目指す人を馬鹿にしてる!」


「正義感でヒーローになるやつなんて馬鹿だぜ! なぁお前ら」


 ゲラゲラと男達が笑う。


 僕はそれを見て、ヒーローの質がここまで低下しているのを見て、よく日本っていう国が保てているなぁと思ってしまう。


 言ってしまえば僕を悪の組織側って知らないヒーローが悪いヒーローと戦いを挑むという凄まじく滑稽なシュチュエーションである。


 巨漢とヒーローは戦い始めるし、巨漢が戦っている間に僕を拉致しようと動き始め、僕は近づいてきた男達を一瞬で制圧して捕縛銃でカプセルにぶち込んだ。


「また襲われても面倒くさいし、売り飛ばすか」


 ヒーローと巨漢の戦いは拮抗していて、両者疲弊していっていた。


 観戦していた僕はヒーローの顔が美人さんだなぁと思い、なんか加虐心的な心が渦巻いていた。


「マジカルアタック!」


 ヒーローが放った一撃が巨漢にクリーンヒットし、巨漢が地面に倒れ込んだ。


「正義は勝つ!」


 格好良く決め台詞を言って僕に近づいてきた。


「大丈夫? 怖くなかった?」


「あー、大丈夫っすが、僕の下僕になってくれません」


「ふぇ!?」


 意表を突かれたヒーローは僕の手刀を首に当てて意識を刈り取ると、カプセルの中に入れた。


 捕獲銃をリロードして巨漢の男も別のカプセルにぶち込み、証拠を隠滅。


 目撃者も特に居なかったので、多少の戦闘痕はあれど、それ以外は何も残らなかったのである。









 ケーキを買った僕は会社に報告しないといけないと思い、事務所で働いていたバニーさんに報告を入れた。


「馬鹿共とヒーローどうした方が良いっすかね? オママのところに売って良いっすか? 個人的にこのヒーローは人格入れ替えて戦闘員から怪人に闇堕ちさせても面白いと思うっすけど」


「随分とFも悪の組織に染まってきたわね……襲いかかってきた一般人達もヒーローも好きにすると良いわ。会社としても1枠空いているから社員にするのも問題ないわ」


「やりーっす!」


「売っぱらっちゃった方が色々楽よ」


「えー、でもヒーローが闇堕ちするの凄く興奮するっすよ」


「……まぁ良いわ。目撃者も居なかったのよね」


「居なかったっす。監視カメラもない場所だったっすね」


「とりあえず報告は受け付けたわ。会社としても襲われたから撃退したと処理しておくわね」


「はーいっす! じゃあ今日はイエローの怪人化祝いなので」


「はいはい、お疲れ様」











「そんな事があったっす!」


 ケーキと料理を食べながら僕はさっきあったヒーローの事を説明する。


「ヒーローが守ったと思った市民は悪の組織の戦闘員で、ヒーローとも呼べないようなクズが逆にヒーローとしての立場を真っ当していたとは奇妙な話ね」


「それで捕まえた人達やヒーローはどうするって?」


「自由にしていいって言われたっす。明日ちょうどオママのマッサージを受ける日っすからそのついでに売ったり改造してもらうっす」


「なるほどねぇ」


 6号のホールでケーキを買ったがすでに半分をイエローに食われていた。


「怪人になっても沢山食べるっすね! イエローは」


「お腹が空いちゃって……食欲が凄い事になってる。博士曰く落ち着くまで数週間はかかるって言われてる」


「待っててねイエロー! 私達も直ぐに怪人になるからね!」


「うん! 待ってる! ……あ、その唐揚げちょうだい」


「はいはーい」


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