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第22話 食いトレ

 焼肉屋に行った数日後、俺は3人娘を鍛えながら3人の怪人適性の数値を見ていた。


「Aが85%、Fが67%、Mが65%か……Aが早いと今月には怪人化ができそうだな」


 3ヶ月で怪人になるのはブラックカンパニーでは最速である。


 ただ怪人になってもAの戦闘への経験値が少なすぎて実力をフルで発揮出来るかは疑問だが……。


「Aは模擬戦闘訓練の比率を増やすか……FとMはこのまま鍛える感じで良いな」


 訓練プランを組み立てながら俺はランニングマシンで走り続ける3人に休憩を指示した。








「Kさん、次の仕事ってまだ無いっすか?」


 戦闘員F(藤原)が聞いてきた。


「今のところ良さそうな仕事がねぇな。危険度が高いのはあるが……」


「流石にそれは嫌っす。命あっての戦闘員なので」


「分かってきたじゃねぇか。というわけで訓練を当分続けるが、そろそろメニューを分けるべきだと思ってな」


「「「おお〜!」」」


「まず全員午前中にプールで遠泳3時間! スタミナを鍛えてから個別トレーニングだ。戦闘員Aアリス! お前は戦闘経験が浅すぎるから午後からは戦闘訓練室でひたすら戦闘訓練。難易度は訓練された戦闘員レベルにするし、空いているブラックカンパニーの戦闘員を誘って相手してもらうから覚悟するように」


「は、はい!」


「戦闘員F! お前はスタミナはあるが瞬発力が足りない。だから瞬発力を鍛えるメニューを組む」


「はいっす!」


「戦闘員M(前沼)は筋力不足だ。食事量増やすのと筋力を上げるトレーニングをする! 良いな」


「はい!」


「よろしい。じゃあ明日から個別訓練に移行するから頑張れ」


「「「はい」」っす!」











 訓練は明日からと言われたが、食いトレは今日から始まった。


「MちゃんKさんから言われたけど特盛にしたからね! これを食べきることって。AちゃんとFちゃんもいつもより量が多くなるから頑張って食べてね」


 今日はカツとエビフライのミックス定食だったが、カツが3枚、エビフライが10個も皿の上に乗っかっていた。


 私以外の2人もカツ2枚にエビフライ7個と多くなっている。


「3人共にご飯は必ず3杯は食べるようにだって。あと休みの日以外の外食は食べ終わってからなら許可だから頑張ってね!」


 食堂の六姉さんにそう言われ、私は覚悟を決めて食べ始める。


 食いトレということで量を食べて体を大きくしなければならない。


 普段は食事の綺麗さに気をつけているが、そうも言ってられない。


 ガツガツと勢いよく食べていくが、私よりも早くAが食べ終わり、Aはなんとおかずのおかわりをしていた。


「A、正気!?」


「最近やたらとお腹が空いていっぱい食べちゃうんだ!」


 おかずのおかわりは1回まで許されるが、言わなければ元の量がまんまよそわれることになる。


 デンとカツ2枚とエビフライ7個が追加される。


 一緒に食べていたFもAのおかずのおかわりにビビっている。


「んん! 美味しい!」


 目の前で次々に消えていく料理に大食い番組に出る人ってこんな感じなんだろうなという印象を覚えるのだった。









 Aの食事の様子を見ていた俺は一緒に食べていたタイガーさんと喋っていた。


「おお、すっげぇな。怪人になるために体がエネルギーを欲し初めたか」


「超人や怪人に急激に変化していると起こる変化だと聞きますが……やっぱり戦闘員Aは素養が飛び抜けていますね」


「でもK、お前も最初期はすっげぇ食べていたじゃねぇか。というか今もお前は食堂の特盛食った後に部屋でも追加で飯食ってるんだろ? 燃費の悪い体してるよな」


「まあ食わないとエネルギーになりませんし……タイガーさんが少食なだけでは?」


「俺は良いんだよ。というかこれが普通だ……で、食いトレをさせたってことは3人の怪人化の目処が立ったってことか?」


「ええ、Aは今月中にも怪人になれると思いますよ」


「流石じゃんK。ただ教育は怪人にしてからが本番だぞ」


「まあボチボチ頑張りますわ」


 話題を変えて、5人入った新人達のうち4人が人格が定着し、戦力になったことに話題を移す。


「今回の新人は当たりですね」


「4人生き残るとは思わなかったぜ。まあここから2年、3年生き残れば新人達も怪人化だからな」


「まぁ最初期を乗り越えられれば3年生を生き残るのは半分くらいいきますからね」


「全くだ。人命が軽すぎるなぁ! 裏社会は」


「ですねぇ……タイガーさんはこの後どうするんです?」


「オママの娼館でスッキリしてくるわ。お気に入りができてね」


「お? じゃあそのまま結婚ですか?」


「馬鹿、まだそこまでいかねぇよ。互いにちちくり合ってるくらいが丁度良いの」


「またまた……」


「Kはどうなのよ。久しぶりに遊ばねぇのか?」


「今のところは良いですわ。オママのところだと精液取られて知らないガキ作られそうだし」


「あー、確かに。Kの体質は特殊だからな。怪人の薬に耐性が有って怪人じゃなくて超人になっているからな。まぁヒーローの言う超人とも別枠だけど」


「突然変異ですからね。まぁお陰で表でも自由にやれるんですけどね」


「違いねぇな。怪人になると表で活動する時は一々変装しねぇといけねぇし」


「そう言えば博士が変装薬を作ってましたね。姿を怪人から人間に一時的に戻す薬。その時間弱くなりますが」


「大丈夫なのか? その薬」


「さあ? 博士の気まぐれなので」


「今度ウルフに試させよ」


 食事が終わり、俺は部屋に戻るのだった。









 部屋に戻った俺は自室のトレーニングルームで筋トレをする。


 タンクトップにボクサーパンツの姿で全身から汗を噴き出す。


「ふう、博士に作ってもらった2トンのベンチプレスでも軽くなってきたな……俺の身体どうなってくんだろうか」


 ベンチプレスも特注、サンドバックも特注……なんなら床に転がっている重りは1個500キロもする品である。


 そんな重りを両手、両足に3つずつ……合計6トン身につけて、壁に取り付けられた突起を掴まって懸垂を開始する。


 腕から汗が出てくるが、それでも体が限界の信号を送ることは無い。


 一通り筋トレを終えて、超人薬の原液をがぶ飲みし、腹を満たす。


 それからシャワーを浴び、トレーニング中に解凍していた馬肉を調理していく。


 スライスして卵黄を乗っけて馬肉ユッケの完成である。


 ついでに焼き鳥と味噌田楽を焼いて炊飯器から米を山盛りでよそう。


「ふう、夜食っと」


 超人薬をスープ代わりにし、ユッケと焼き鳥と味噌田楽でいただく。


「酒が飲みてぇ! 度数高い酒で酔っ払いてぇ! でも明日もあるし、我慢我慢」


 夜食を平らげながらテレビを見る。


『○○高校の襲撃があり、生徒125名が誘拐された事件で、現場で対応したヒーローの不手際が取り立たされており』


「うわぁ……大規模にやったなぁ……学生襲うのはだいぶやってるぞ……しかも日本でやったってことはヒーローが面子をかけて動くぞ……注意しねぇと」


 そのまま裏社会のネットニュースでカラーコミュニティが構成員を増やすために強硬策に出たと情報が出回り、カラーコミュニティが暴走していることが分かる。


「こりゃカラーコミュニティ終わったな。ラブプラネットだけじゃなくてヒーローと繋がっているところがカラーコミュニティの情報を流して潰しにかかるな……うちもカラーコミュニティから誘われてるって言っていたし、巻き込まれないようにしないとなぁ」


 俺はそう思いながらニュースを見続けるのだった。

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