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第21話 焼肉

 今日は待ちに待った給料日! 


 先月はスマホの購入代金で給料の殆どが吹き飛んだから、今月は夏服とかを買おうと楽しみに私こと前沼はしていた。


「今月の給料配るぞ」


 待ってましたとばかりに社員から歓声が上がる。


 社員達が配られていく中、私達の番になる。


「Mおつかれ、これが今月分」


 封筒が渡されるが、先月よりもずっしりと厚みが増していた。


 戦車の強奪の仕事、養殖場での仕事、Kさんからのボーナスと色々あったの、お金の重さを噛み締めながら、るんるんで列に戻る。


 全員の給料が配り終わり、今月の成績が張り出されるが、流石にKおじさんも1位から転落し、10位へと落ちていた。


 1位はテレキさんで5000万近く稼いでいた。


 伝達事項も終わり、解散とし、私達はKおじさんに焼肉を奢ってもらうため、着替えて焼肉屋に移動することになった。


 更衣室で戦闘員Fこと藤原が私に今月の給料を聞いてきた。


「どうだったっすか?」


「どれどれ……めっちゃ上がってる! 前回の3倍!」


「75万も行ったっすか!」


「積み立てで5万と組合費2万引かれて約75万!」


「おお! めっちゃ稼いだっすね!」


「内訳が戦車奪取の仕事が約37万、養殖場が約10万、Kおじさんからのボーナスで10万に基本給合わせて約82万、さっきの引かれて75万って感じ」


「やったっすね! 何買おうかな〜75万もあればテレビ買って、ゲーム買って、ソフトもいっぱい買えるっすね!」


Aアリスはどうするの?」


 私は横で着替えていた戦闘員Aに話題を振る。


「うーん、体のケアに使いたい」


「真面目っすね! ぱぁーっと使おうっすよ!」


「美味しい物食べて、色々オシャレしない?」


「うーん、でも来月もこれぐらい入るか分からないから貯金しておきたい」


 そう言われて、それもそうだと私は思った。


 Kおじさんの事だからトレーニング重視で1ヶ月仕事を取らない可能性もある。


 そう考えると大半は貯金しておくのが正解か……。


「ああ、闇銀行だと引き出すのがめんどい! 私も普通の銀行の口座持ちたい!」


「そのためには18歳にならないとっすね……あと3年。その前に怪人になりそうっすけど」


「M、怪人になれば闇市場に行き放題になるんだから別にいいじゃん。少し待とうよ」


 FにもAにも言われる。


 まあそうだよなぁと思いながら私は私服に着替えるのだった。










 商店街の近くの焼肉チェーン店。


 ただし普通の格安焼肉屋に比べてお値段が少し高いお店でKおじさんの奢りで食べ放題。


 学校に行っていた時には焼肉屋に行けなかったし、記憶の限り人生初の焼肉屋である。


 AもFも同じようで、店内でキョロキョロしている。


「おお、タッチパネル式の注文……」


「ロボットが配膳してくれてる……」


「肉食べようっす! 肉!」


 私達3人大興奮である。


 まずKおじさんが来店人数を設定し、ドリンクバーとお肉を注文していく。


「あー! 良いなぁKさんお酒注文してるっす!」


「私も飲みたい!」


「お前ら2人ともここ表なんだから未成年に酒は駄目だ。今度好きな酒を代わりに買ってやるから我慢しろ!」


「約束っすよ!」


「缶酎ハイ沢山買わないと」


 ボソッとAが


「頼むから自室で酔っ払ってよね……弱いんだから。介護したくないし」


 と呟く。


「お前らドリンクバー注文したから行って来い」


 Kおじさんに言われて私達はドリンクバーに移動する。


「色々あるっすね」


「じゃあ私コーラ!」


「肉を味わうから烏龍茶でいいっすね」


「私オレンジジュースで……」


 3人好みの飲み物をドリンクバーから入れて、席に戻ると頼んでいた肉とお米が到着していた。


「俺は最初焼き係になるからお前ら自由に食え。何からいく?」


「ホルモン! ホルモン!」


「タン食べたいっす!」


「カルビ!」


 言われた物をKおじさんが焼いていく。


「ホルモンは焼けるのに時間がかかるからな。タンやカルビから食っていけ」


「「「はーい」」っす!」


 というわけで肉を食べ始める。


 焼肉屋という場所の特別感と次々に焼かれるお肉の香りで食欲がそそる。


 これが部屋でやると部屋に焼肉の匂いが付いて換気や消臭しなきゃと思い億劫になるが、その心配も無い! 


 しかも今日着てきた服は焼肉の匂いが付いても大丈夫な安物の服……完璧! 


 白い服を着ているAは絶対にシミ作って部屋着になるルートだなぁと思っていたが、食べ進めていると気が付く。


 Aの食べ方が異様に綺麗な事に。


 食べる量もちゃっかりAが一番食べている気がする。


 私とFがご飯2杯の時にAは4杯目に入っているし、タレが一切こぼれてない。


 一方でFはタレで口元が色々付いていた。


 ほっぺたにご飯粒が付いているし……コイツは敵じゃない。


 いや、行儀において雑魚だ。


 こういう普段の食事から気品が現れる。


「あ、レアで食べたいからこれいただくっす!」


 F! まさかお前……普通の箸で生焼け肉を取るだと! 


 焼き手に対してあまりに失礼。


 そして食中毒の危険性があるんだぞ! 


 よく見たら片面が全く焼けて無く赤い汁が滴って……タレに落ちた! 


 はい、汚染された……。


 私知らない……絶対に腹痛になるコースだわアイツ。


 ん、Aが刻みニンニクを手にとって……行った! 


 レモン汁に刻みニンニクだと! 


 レモンのサッパリ感がニンニクで台無し! 


 いや、パンチの強いニンニクで喧嘩を起こすぞ……!? 


 刻みニンニクをスプーン5杯だと! 


 そんなに食べたら腸内細菌が悲鳴を上げる! 


 はい、これ腹痛コースですわ。


 食べ方が綺麗でもそれはアウト! 


 体を壊す食べ方。


「ホルモン焼けたぞ。皿出せ皿」


 ホルモンが焼けた。


 私はホルモンを塩で食べるが、Fはタレ、Aはさっき作っていたレモンニンニクに付けて食べている。


 ホルモンは塩に限る。


 そうネットに書いてあったし……。


 ん? なんか配膳ロボットがやって来た。


『おまたせしました。わさびでございます』


「お、きたきた」


 わさび? 


 ははーん、Kおじさん醤油党だな。


 でたでた何でも醤油を付ける人。


 わさび醤油でツーンとなる感じが好きなんだろうが……!? 


 れ、レモンだと!? 


 レモン汁にわさびを入れた! 


 ば、馬鹿な! 


 あり得ない……。


 そんなのがあり得て良いのか? 


「Kさん、レモン汁にわさび?」


「わさびの辛味がレモン汁にかかると落ち着くから、わさびの甘みをより楽しめるんだよね」


 そ、そんなぁ! 


 おじさんが……おじさんがそんなオシャレな食べ方をするなんて……。


「あ? Mどうしたっすか? なんか敗北したボクサーみたいな格好になって……」


「ま、負けた……おじさんに負けた……」


「何を言ってるっすか?」


 その後も焼肉が続くが、Aはご飯を10杯おかわりする大食いをしているのにすごい綺麗に食べるし、Kおじさんは私とFがギブアップした後に凄く美味そうに食べるし……Fは烏龍茶飲み続けるし……。


 ……今度1人焼肉にしよ。


 周りばっかり気になってしまうわ私……。

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