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第17話 戦闘員Fナンパされる

 2回目の仕事が終わった次の日、俺と3人娘達は午前中にオママの所でマッサージを受け、3人娘は午後から明後日までの2日半休みになり、俺は1週間仕事で溜まった書類を片付けにブラックカンパニーに午後から戻った。


「お疲れ様でーす」


「お、Kお疲れ、いやぁサーモン美味かったよ。皆喜んでいたぞ」


「そりゃあ良かったですわ」


 事務所には若が総領室ではなく、事務室で作業をしていた。


「あれ? 若、今日は総領室じゃないんですか?」


 若は総領室を指さすと前に清掃中の掛札が


「バニーさんが清掃してる感じですか?」


「いや、この前入った新人達にやらせてる。人格が馴染むまでは単純作業をやらせるに限るからな」


「なるほど」


 俺が書類棚から自分の書類を取り出して片付けていく。


「K、3人娘はどうだ?」


「ぼちぼちって感じですね。自分も1から育てるのは初めてなんで不馴れな所があるかもしれないですけど」


「でも成果は出てると思うぞ……ほら」


 若から書類が回ってくる。


 そこには3人娘の戦闘服からフィードバックされた怪人適正率が書かれていた。


「入社時がAが45%、Fが20%、Mが18%だったが、1ヶ月で全員20%近く上がってる。ちゃんと育ってるよ」


「俺はどうなんですか?」


「相変わらず10%を行ったり来たりだな」


 書類を若に返却して、自分の書類に再び向き合う。


「なぁK、俺達のブラックカンパニーが更にデカくなるためにはどうすれば良いと思う?」


 書類に記入しながら若の問に答える。


「どう……ですか? そうですねぇやっぱり専門職増やしてくべきじゃないですか? 事務作業をバニーさんと若の2人で回すのだいぶキツイと思うんで事務員増やして……博士のサポート要員増やしたり、開発班を拡張したり……あとは派遣だけじゃなくて別の業務を抱えるとか?」


「うむむ、やっぱりそうだよなぁ」


 若はローラー付きの椅子に乗って俺の所に移動してきて書類を覗き込んできた。


「でも金が足りない」


「ですよね~」


「いや、事務員は今後必ず増やす……というより経理担当任せられる奴をスカウトしてくるが、博士のサポート出来る頭脳持ちはなかなか居ないし、別の業務を増やすノウハウが無い」


「まぁ5年で弱小から中堅まで成り上がっただけでも立派でしょう。今は地盤固めの時期じゃないですか? そのために怪人増やしてるんでしょ」


「そうなんだよ。そうなんだよなぁ……はぁ……」


「何が不満なんですか?」


「いや、ヒーローと悪の組織が今日本だと拮抗……いや、悪の組織がやや有利だから悪の組織側が自分達の利権を増やすための内ゲバが始まってるんだよなぁ。得にラブプラネットに痛い目をみた会社が結託してカラーコミュニティって組織を作ってバチバチに攻撃を開始した」


「ええ、マジかよ……馬鹿な事したなぁ」


「嬉しくないことにカラーコミュニティに入らないかってうちも誘われてるんだよね」


「中立は無理なんですか?」


「厳しいなぁ……というかラブプラネットもカラーコミュニティ両方から仕事を受けないってなるとだいぶ経営的に厳しい。もう政争段階に規模が拡大してるから俺の政治力ではどうこうできないんだよなぁ」


「なんで悪の組織が他の悪の組織の抗争に巻き込まれにゃならんのですか。普通正義の味方と悪の組織って構図でしょうに」


「ヒーロー側もなーんかゴタゴタしてるっぽいし、イマイチ強くならないんだよなぁ……まぁヒーローが滅茶苦茶強いとこっちも困るが、弱すぎると内ゲバが始まって……本当ろくでもないね」


 ポンポンと若は俺の肩を叩いてまた椅子を転がして事務処理に戻り、俺も書類に集中するのだった。










「肉屋のおっちゃん! 豚バラ肉500グラムが欲しいっす!」


「あいよー! 藤原ちゃん学校の帰りかい?」


「はいっす!」


 僕こと藤原勇気……戦闘員Fは制服姿で行動していた。


 ブラックカンパニーの休みは僕達若年組は基本土日に合わせてくれるが、今日みたいに午後休になった時は制服で移動する。


 ブラックカンパニー近くに高校は無い為、適当な学校の制服を着ていれば疑われることは無い。


 平日の午後活動する時は前沼ちゃんこと戦闘員Mと一緒の制服を着て活動することもある。


 アリスこと戦闘員Aは高校生にしては幼すぎるので土日以外の日は出歩かない様に会社から言われていた。


「えっと豆苗買った。豚バラ肉買った。トマトとチーズ、あとお米っすね」


 今日は戦闘員といえども女子力は磨きたいと3人で僕の部屋に集まって料理の練習をすることになっていた。


 そのための買い物である。


 アリスは疲れているから仮眠を僕の部屋でとっているし、Mは溜まっている洗濯物をすると言っていたので社宅にあるランドリーで洗濯物を回したり、乾燥をしている頃だろう。


 その間に僕は今日料理する材料を商店街で買っていた。


「商店街に偶に来ているっすがなかなか色々なお店があるっすね!」


 肉屋、魚屋、八百屋などの食材を扱う所から町中華のお店やクレープ屋、ケバブ屋、唐揚げ屋などの料理を出してくれるお店、雑貨屋やゲームショップなんかも商店街の中にある。


 商店街からちょっと歩けば服屋が2店舗、スーパー銭湯、回転寿司、本屋なんかも有って結構便利な町だなぁと思う。


「よし、これで買い物はOKっす!」


 買い物を終えて帰ろうとすると、なんかチャラチャラしたお兄さんが話しかけてきた。


「ねぇねぇお姉ちゃん」


「ん? なんっすか?」


「ねぇお兄さんと良いことしない?」


「良いことっすか? あいにく、これから用事があるっすから他を当たって欲しいっす」


「いやいやちょっとだけで良いからさ」


 肩を掴まれて引き留められたが、僕はこれに少しイラッとしてしまった。


「しつこいっすね……用事があるんすよ!」


「……そうかい、じゃあちょっと失礼」


 バチッと腹部に痛みが走る。


「いったぁ!」


「はぁ? え? スタンガンが効かない?」


「もう怒った! くたばれ痴漢!」


 ボゴっと腹部を強めに殴ると一瞬男の体が浮き上がり、次の瞬間にゲロゲロとはいてしまった。


「お前が片付けておくっす!」


 そう言って僕は社宅に帰るのだった。










「買い物したら変なナンパに絡まれて大変だったわね」


「そうなんすよ! マジでめんどくさかったっす!」


 食卓には3人で作った料理が並んでいた。


 豆苗を豚バラ肉で巻いた物とトマトをスライスしてスライスチーズを乗っけて焼いた物、それに家にあった大根とネギの味噌汁とご飯が食卓に並んでおり、それを食べながらナンパに遭ったことを他2人に伝えた。


「殺さなかったわよね?」


「手加減したから殺してはないっすよ。年齢的には少し年上って感じでチンピラって感じだったっす。アリスも気をつけるっすよ。可愛いから攫われないようにしないと」


「不審者に会ったら顎に思いっきりアッパーを喰らわせる!」


「一応Kおじさんには言っておいた方が良いんじゃない?」


「言っておくっす……」







 事務作業を終えて俺が事務室で若と駄弁って居るとスマホが鳴った。


「ん、Fからだ」


「なになに?」


「ナンパされてチンピラを殴ったみたいですわ。一応の連絡入れたみたい」


「なーんだ。町出る時気をつけておけって連絡入れておいて。そこらのチンピラには戦闘員Fなら負けないでしょ」


「一応また絡まれても面倒くさいんで、俺も買い物とかに付き合うようにしますわ」


「そうしてくれー、はい、解散解散っと」


 俺は戦闘員Fにまた絡んでくるかもしれないから注意するようにメッセージを入れておくのだった。

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