第135話 そしてこれから
イエローは新しく総領になったことで、人事をKと話し合っていた。
「今まで曖昧になっていた幹部階級にもメスを入れたいと思います。最高幹部はKさんと博士、古参幹部をレグ、超、テレキさん、ウルフさん、参謀にホワイトとミズチさん、他元人造ヒーローとか合併した会社の幹部人材は幹部にそのまま配置して発言権がある状態で……この幹部の下に怪人を置くという感じにしたいですがKさんはどう思いますか?」
「参謀って役職はいるのか?」
「戦略的な見方が出来るのが幹部人材だとこの2人が抜けているので、以後のブラックカンパニーの方針を最高幹部と古参幹部、参謀で話し合ってから幹部との話し合いに移りたいと思います」
「なるほどな。まぁいいんじゃねぇか? 回らなくなったらまた調整すれば良いし」
「そうですよね……というか超とレグも私に総領を押し付ける為に暗躍していたなんて……気が付きませんでした」
「イエローが教育総監で2人と仕事上の距離が空いていたからな。しかたがないんじゃないか?」
「そうかもしれませんが……」
「とは言え、新しいブラックカンパニーが始まったからな。イエロー的には樺太共和国では正義の集団として押していくんだろ? 頑張らないとな」
「はい、悪徳大統領とこの後話し合いをしていますが、Kさんも行きますか?」
「そうだな。悪徳先生に挨拶しねぇとな」
悪徳大統領の居る大統領執務室でイエローがブラックカンパニーの総領になった報告と、ブラックカンパニーとしての方針を言うと、悪徳大統領は笑いながら、アメリカでちょうど政府の意向に従う悪の組織を政府が恩赦し、戦力として活用するようになった時勢から、問題なく機能するだろうと言われた。
「というか今の樺太政府は後ろ盾が無い状態だから、悪の組織の傀儡と思われても、後ろ盾と思われる状態にする必要がある。ブラックカンパニーは裏社会では怪人マッチでそこそこ名を挙げている組織であるから共存関係であると見せるのが良いだろう」
悪徳大統領の意見で方針は固まった。
ただ悪の組織として倫理観的にまずい人体実験や人間牧場の施設は厳重に隠すように共言われた。
「あとは見せ札としての軍を率いられそうな人材は居ないかい?」
「でしたら会社に従順でKの息子でもあり、まだ怪人ではない戦闘員Fなんかどうでしょうか」
イエローは戦闘員Fについて紹介し、逃げてきた中に軍事知識の豊富な者を教師とすることで今のハリボテみたいな樺太軍を使える軍隊に育成することも決めたのだった。
あとは引き続き食料や燃料の輸出に、亡命してきた企業の取り扱い等を話して会合は終わるのだった。
「母さん、俺の考え通してくれてありがとうね」
家に帰ったイエローに息子の戦闘員Aが声をかけた。
超もそうだが、2人は息子達と同じ家で生活をしていた。
「いや、別にAの意見を通したってより、私も現実的な視野から今は内政に充てるべきと判断しただけよ」
「それでもさ、ホワイトとかは極東共和国建国とか言っているけど、兵隊が居ないんだから無理だよ」
「まぁ攻め時であるには間違いないけどね。ただ今攻めてロシアが本気出されても困るし」
「そうそう……鉄資源とかロシアに拠点を持つ悪の組織から格安で入手出来るルートをKさんが確保してくれたし、当分は内政で良いからね。ぬくぬくしようや」
「そうだね……でも私15歳で総領になるなんて……」
「肉体年齢だと俺も15歳だから母親と子供が15歳同士ってことになるのか……不思議だね」
「本当ね……あ、そう言えば闇市場で美味しいお酒手に入れたんだけど飲む?」
「飲む飲む」
コルクを開けて、コップに注ぎ、2人で乾杯をするのだった。
総領の座を降りたバニーは空回りしていたのが無くなり、息子達の教育を自分でするようになり、子供達は総領になれという重圧から解放されて、バニーに懐く様になり、家族仲は修復していった。
Kは相変わらず最高幹部になった事で現場に出たいと嘆きながら仕事をしている。
ホワイトとミズチは参謀になった事でまた色々裏で暗躍を続けながらも会社の為を思って活動を続けている。
博士は増えたナンバーズに仕事を割り振りながら100万人の人口にするために奮闘し、レグレスは矯正された自身の娘達を率いて紛争地域の仕事を受け持つ。
超は九尾になるために再び怪人マッチに参加し始め、今回は本気で1位を目指して活動する。
ブラックカンパニーは本当の意味で安定期に突入し、樺太共和国と共に発展していくのであった……。
ブラックカンパニーの安定END